晴乗雨読な休日

休日の趣味レベルで晴れの日は自転車に乗ってお出かけ。雨の日は家で読書。

池波正太郎 『雲ながれゆく』

2020-03-03 | 日本人作家 あ
気が付けば3月。

しかし「気が付けば」なんて書きますと、まるであっという間に3月になっちゃって時間の経つのがはやく感じて歳は取りたくないねえというジジイの戯言のように思われますが、時の流れがさほど早く感じられません。充実した毎日を過ごせているからなんでしょうかね。結構なことで。

さて、池波さん。

女性が主役の作品です。

あとがき解説にもあるのですが、女性が主人公の作品はけっこうあるのです。主人公でなくとも、例えば「剣客商売」の小兵衛の妻(おはる)や大治郎の妻(三冬)は「主要な登場人物」でして、ドラマ化などすれば、小兵衛役や大治郎役よりもむしろおはるや三冬は誰が演じるんだろうと気になったりします。

主人公は(お歌)。3年前に夫を亡くしました。お歌の嫁ぎ先は「笹屋」という菓子屋。お歌には子がいなく、亡夫には福太郎という弟がいるので、笹屋は弟が継いでお歌は実家の料理屋に戻ろうとするのですが、この弟、まあ頼りにならないやつでして、職人は次々と辞めてゆき、番頭はお歌に(ずっと笹屋にいてください)と懇願。
そんなお歌ですが、ある日、急な雨に降られて雨やどりに近くの小屋に入ると、そこにいた男に襲われます。

いきなりな展開ですが、なぜかお歌は(その男)が脳裏から離れません。数日のち、お歌は偶然(その男)を目撃します。街中で浪人たちが乱暴をしているところにあらわれたのが(その男)で、一瞬で浪人たちをやっつけてしまいます。

家に戻ったお歌は、料理屋の(常連客)である関口という大名家の家来から頼みごとがあると聞いて、関口のいる部屋へ行くと、まだ若い侍といっしょにいます。(頼みごと)というのは、三沢というこの若い侍をしばらくどこかで匿ってくれないかというのですが、理由を聞いてもはっきりとは答えてくれません。
なんだかんだでお歌の友人夫婦の家で匿ってもらうことになり、お歌は実家の料理屋で兄夫婦の手伝いをしていこうと思っていたのですが、笹屋の番頭が「奥様がいてくれないと店はつぶれます」と連れ戻そうとします。嫁ぎ先をそう邪見にもできなく、お歌は期限付きで笹屋に戻ることに。ところがこれにお歌の兄が大激怒・・・

そっちの問題とはまた別の問題が。

例の(三沢)という若い侍、じつは(敵討ち)のために国許から江戸に出てきたのです。ところが(敵討ち)というのは敵が(返り討ち)にしてしまってもよいもので、なんとこの(敵)、返り討ちにしてくれようと逆に三沢を探しているというのです。しかも剣の実力は大したもので、三沢ではとても相手になりません。そこでお歌はひらめきます。いつぞや私を襲ったあの男、どこかで見かけたときに浪人たちを簡単に倒したな、と・・・

お歌は(あの男)のもとへ行き、敵討ちの助太刀をお願いしますが、はたして(その男)の返事は・・・

この当時の女性に「思い通りに生きる」という自由などほぼ無く、良くも悪くも周囲の男(父、兄弟、夫)次第、といったところでしょうか。
コメント
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