先週くらいからですか、関東南部は急激に寒くなって、出かけるときはコートを着てます。若い頃は暑いのと寒いのとどっちが苦手かと行ったら断然暑いほうで、むしろ寒くなるのは歓迎してました。ところが歳を取ってきますと寒さが身体にこたえてきまして、寝てる時に足のつま先が冷たくなってしょうがないので靴下をはいて寝るように。じつは歳のせいだけではなくて、若い頃はぽっちゃり体型でして、マックス体重は95キロあったこともあります。ぽっちゃりどころかブーデー。そりゃ暑いの嫌ですよね。でも今は痩せ型で体脂肪も10パーセント前後。体脂肪が少ないと風邪引きやすいんですよね。
暑さ寒さも彼岸まで。
気がついたら宇江佐真理さんの作品を3連続投稿してしまいました。まあこういうこともあるでしょう。この作品は短編集です。これといって特に共通のテーマはありません。
神田鍋町にある煙草屋「結城屋」の娘おゆみは、女中と古着屋が並ぶ道を散歩しています。病弱のおゆみはある古着屋の前で足を止め、大蛇のようなものが炎を吐いている帯を見つけます。店主に帯の由来を聞くと、これは俵藤太の百足退治伝説を描いた帯だといいます。俵藤太とは藤原秀衡のことで、平将門を討った武将。おゆみはこの帯を締めれば元気になれそうだということで買います。が、帯を締めること無く息を引き取り、おゆみの友達が形見分けでこの帯をもらうのですが・・・という「藤太の帯」。
深川佐賀町の干鰯問屋「蝦夷屋」の手代、弥助は薮入りで休みをもらいますが、どこにも行く宛がなく店にいると女中のおかなが声をかけます。おかなはこれから出かける様子。おかなは「いっしょに(堀留の家)に行こう」と誘います。堀留の家とは引退した岡っ引き夫婦の住む家で、子どもが独立した後、親のいない子どもを引き取って育てていて、弥助もおかなも堀留の家で育った仲。ふたりは堀留の家に上がって育ての両親に挨拶をすると「お父っつぁん」と呼ぶ鎮五郎は弥助を酒の相手にし、おかなと所帯を持てと・・・という「堀留の家」。
出羽米沢藩上杉家の出身の富子は吉良上野介に嫁ぎます。ところが赤穂藩士の討ち入りで主人は命を落とします。ふたりの間に生まれた長男は上杉家の養子、上杉綱憲になっていて、じつは討ち入りの日、綱憲は騒ぎを聞いて吉良家に援軍に行こうとしましたが、それを富子は止めます。もし加勢してたら上杉家は改易させられてたかもしれませんので結果的には良かったと富子は思います。ある日のこと、亡き夫の墓参りに行った富子はふたりの思い出に・・・という表題作「富子すきすき」。
吉原の引き手茶屋の奉公人、沢吉は、大身旗本家の用人の小原という武士が田丸屋の九重花魁を指名したので、田丸屋へ行くと「沢どんが直接聞きに行けばいいや」と言われます。じつは沢吉と九重は小さい頃からの知り合いで沢吉は密かに九重に想いを寄せています。ところが、今日は具合が悪いといって振袖新造(花魁のお付き)が小原の相手をしますが、小原は馬鹿にされたと思い刀を抜き・・・という「おいらの姉さん」。
木場の材木問屋「大野屋」の主人の息子、市太郎は、母親が病気になって息子の世話ができないということで、わがまま放題に育った市太郎を外に出して他人の世話になって鍛えようということで、浅吉という辰巳芸者の家でお世話になることに・・・という「面影ほろり」。
浅草、下谷車坂町にある長屋に住む手習い指南の先生、元武士の吉村小左衛門のもとに知人が訪ねてきます。その知人とは町奉行の同心で、捕まった盗賊の娘を預かってほしいというのですが、その娘は読み書きができないというので、小左衛門は断ります、ところが数日後、「吉村小左衛門の家はここか」と女が訪ねてきて「おれ、この家で居候することになった」というのですが・・・という「びんしけん」。
どれもハッピーエンドでも大団円でもなく、しんみりとする話。「おいらの姉さん」の中で、花魁(おいらん)の由来は諸説ありますが若くして吉原に売られた女の子は家族が恋しくて世話役の先輩女郎を「おいらの姉さん」と実の姉のように慕って呼んだことからそれを短縮して「おいらん」になったそうです。それを聞くと切なくなりますね。