晴乗雨読な休日

休日の趣味レベルで晴れの日は自転車に乗ってお出かけ。雨の日は家で読書。

髙田郁 『あきない世傳金と銀(十三)大海篇』

2022-12-29 | 日本人作家 た

今年も残す所あと数日となりました。2022年に投稿した自転車関連は抜かして小説だけで34回。月に3冊くらいですか。かつては目指せ年間100冊なんて意気込んでたんですけどね。来年はもうちょっと頑張って50冊は読みたいですね。

あと数日で来年なんで鬼さんも微笑みくらいでお願いします。

さて、髙田郁さん。このシリーズもとうとう最終巻。あれですかね、「みをつくし料理帖」みたいに映像化するんでしょうかね。ああでもちょっと波乱万丈というかドロドロ過ぎますか。昼の1時半からやってるドラマ枠、「牡丹と薔薇」やってた、あれだったらいけそうですけど。

吉原で行われる「衣裳競べ」に参加することになった五鈴屋。誰に衣裳を着てもらうかというと、花魁ではなくなんと女芸者。歌扇という芸者は、もとは遊女で年季奉公は終わったのですが、唄と三味線の芸者として吉原に残ることに。吉原に入った遊女が外に出られるのは・年季奉公が終わったとき・落籍(借金を完済してもらって女房か妾になる)されたとき・死んだとき、の三つしかない、といわれていて、歌扇は本来であれば出られるのですが、幼い頃から吉原というカゴの中で暮らしてきていきなり外で一般市民として暮らすのはどだい無理な話で、そういう人は吉原に残ってランクの低い女郎になってゆく、というパターンが多かったのです。

そんなことがあって後日、歌扇の髪につけていた笄(こうがい)が五鈴屋の奥の小間物屋で売っていることにある客が気付きます。菊栄デザインの笄の値段はなんと銀三匁と格安で使い勝手も良さそうでしかもオシャレ。「菊栄」ブランドの笄は飛ぶように売れます。

浅草田原町の五鈴屋では手狭になってきたので、日本橋近くの呉服町の物件を手に入れ、そこの間口を菊栄の小間物屋と五鈴屋とで半々で分けて営業をはじめますが、いきなり町名主がやって来てこの物件は二重契約なので明け渡せと・・・

この一件に音羽屋は絡んでいるのか。頼りにしていた幸の元亭主、惣次はこの件をどこまで知っているのか。

ものすごい大団円でハッピーエンドというわけではありませんが、まあ落とし所としてはこれしかない、というラスト。いわゆる経済小説というジャンルとはちょっと違いますが、「経済」とは中国の古典の「経世済民(世を治めて民を救う)」から来ていて、これが英語の「エコノミー」の訳として定着したのですが、根底に流れているものは同じかと。

今年の投稿はこれでおしまい。良いお年を。

コメント
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