この作品は短編集で、前に読んだ「いっぽん桜」と同じく、花の種類に
ちなんだ話になっています。
全編、登場人物が高齢で、たとえば、長く連れ添った妻が痴呆症になって
(江戸時代では痴呆はまだ原因不明の病とされていました)、うろたえる
夫や家族のもの、しかし愛情は失われずに妻と向き合う・・・といった話
(「路ばたのききょう」)だったり、老いらくの恋だったり、それまでの
山本一力さんの作品に多くみられた、登場人物のひたむきさに元気をもらう、
といった感じではなく、むしろ”重い”です。
ですが、人の情の大切さはジーンと伝わってきて、ちょっとホロリときたり
します。
この中で好きな話は「砂村の尾花」。東京都江東区にある砂町のあたり、今
では埋め立てでだいぶ海からは遠くなっていますが、当時が海の近くで、広大
な荒地がひろがっていて、そこに土地を買って、ススキを栽培して売っている
「柏屋」の話で、安易に売ればいいのではなく、愚直にそれまでの流儀を曲げず、
だからこそお客さんは柏屋のススキを選んでくれるのだという信念のもと商売を
続ける、といった、「仕事とは」「お金をいただくということ」の心構えを
ビシッと描いています。
あと、「御船橋のの紅花」は、さきほど挙げた”老いらくの恋”の話なのですが、
こちらも好きです。
山本一力さんの「だいこん」という作品で、「なまじっか才覚があるよりも、仕事が
遅くてもまじめな方がよっぽど尊い」みたいなセリフがあって、これはすべての
作品に通じる作者の伝えたいことですね。
ちなんだ話になっています。
全編、登場人物が高齢で、たとえば、長く連れ添った妻が痴呆症になって
(江戸時代では痴呆はまだ原因不明の病とされていました)、うろたえる
夫や家族のもの、しかし愛情は失われずに妻と向き合う・・・といった話
(「路ばたのききょう」)だったり、老いらくの恋だったり、それまでの
山本一力さんの作品に多くみられた、登場人物のひたむきさに元気をもらう、
といった感じではなく、むしろ”重い”です。
ですが、人の情の大切さはジーンと伝わってきて、ちょっとホロリときたり
します。
この中で好きな話は「砂村の尾花」。東京都江東区にある砂町のあたり、今
では埋め立てでだいぶ海からは遠くなっていますが、当時が海の近くで、広大
な荒地がひろがっていて、そこに土地を買って、ススキを栽培して売っている
「柏屋」の話で、安易に売ればいいのではなく、愚直にそれまでの流儀を曲げず、
だからこそお客さんは柏屋のススキを選んでくれるのだという信念のもと商売を
続ける、といった、「仕事とは」「お金をいただくということ」の心構えを
ビシッと描いています。
あと、「御船橋のの紅花」は、さきほど挙げた”老いらくの恋”の話なのですが、
こちらも好きです。
山本一力さんの「だいこん」という作品で、「なまじっか才覚があるよりも、仕事が
遅くてもまじめな方がよっぽど尊い」みたいなセリフがあって、これはすべての
作品に通じる作者の伝えたいことですね。
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