晴乗雨読な休日

休日の趣味レベルで晴れの日は自転車に乗ってお出かけ。雨の日は家で読書。

宇江佐真理 『髪結い伊三次捕物余話(九)今日を刻む時計』

2021-11-18 | 日本人作家 あ

いつの頃からでしょうか、季節の食べ物、いわゆる「旬」を食べないとなー、という意識が芽生えてきたんですね。といって、もう秋もそろそろ終わるんじゃないかっていう11月も半ばになって今年まだサンマを食べてないことに気づいてしまい、悲しみに打ちひしがれております。あ、柿はたべました。よく旬のものを食べると75日寿命が伸びるといいますが、逆に食べないと75日死期が早まるってことはありませんよね。

 

そんな与太話を書き込んだところで。

 

髪結い伊三次です。しばらく読んでなかったので話の続きがどんなだったかちょっとうろ覚えだったので、登場人物の年齢が「あれ、こんなだったっけ?」と頭上にはてなマークをいっぱい浮かべながら読んでいましたが、あとがきで作者が「10年ワープした」と書いていて、この違和感は間違ってなかったのねと安心しました。

 

ざっとおさらいを。

もともと流し(フリーランス)の髪結いだった伊三次は、町奉行の同心、不破に目こぼししてもらって(流しの髪結いは犯罪でした)、不破の手伝いをすることに。といっても十手持ちの岡っ引きではなく、あくまで手伝い。伊三次の妻は深川芸者のお文。二人の間には男の子が。

といったところから、一気に10年後。伊三次とお文の間に女の子が誕生してます。さらに、不破の息子の龍之進はもういい年齢になっていて、同世代はみんな結婚していて独身は龍之進だけ。お見合いしても相手方から断られますが、それを、母の(いなみ)が元吉原女郎だったことが原因だと己の器量のなさを棚に上げて自暴自棄になって芸妓屋に入り浸ってます。そんな中、日本橋で包丁を振り回している男がいると伊三次に知らせが入って、龍之進のいる芸妓屋へ急行し、叩き起こして「さ、行きますよ」と・・・という表題作の「今日を刻む時計」。

 

ある日のこと、龍之進が見回りをしていると、急に雨が降ってきたので、雨宿りに酒屋の軒下に入ったのですが、店の娘らしき女の子が立呑の客と勘違いして店主を呼んでしまいます。そこで店主と話をしていると、さきほどの娘は「ちょいと訳ありで預かっている」とのこと。翌日、同僚に酒屋のことを話すと、あの娘は(おゆう)といって日本橋大和屋という廻船問屋の娘だというのです。訳ありというのは、お見合いが破談になってしまったそうなのですが・・・という「秋雨の余韻」。

 

「秋雨の余韻」からの流れで、不破家でおゆうの行儀見習いをすることになったのですが、龍之進はおゆうを結婚相手と意識し始めます。そんな話とは別に、伊三次は鋏を修理に出そうと、二十年以上前に鋏を買った刃物屋に行きます。後日、その店にいた若者を見かけて声をかけます。若者は青物の棒手振りで千吉といい、刃物屋の主人は千吉を気に入って、よかったら刃物職人にならないかと誘ってくれています。ところが、千吉は過去に盗みで捕まって、腕には入れ墨が・・・という「過去という名のみぞれ雪」。

 

松太郎という龍之進の友人がいるのですが、重い労咳を患ってもう長く、龍之進はお見舞いに行きます。すると、松太郎から頼まれごとが。じつは松太郎には婚約者がいたのですが、労咳になり婚約破棄。ですが、死ぬ前に婚約者に会いたいと・・・という「春に候」。

 

龍之進の後輩で同心見習い中の笹岡小平太がどうしようもないトラブルメーカーなので指導役から龍之進に面倒を見てやってくれと押し付けられることに。そこで小平太の親に話を聞こうと家に行くと、家には小平太の母と姉が。小平太は養子で、小さい頃から母代わりで懐いていた姉の徳江と離れるのは嫌だと駄々をこねたので徳江もいっしょに笹岡家に住んでいるのですが・・・という「てけてけ」。

 

伊三次の家にいる(おふさ)という女中がいるのですが、不破家で中間を務めている松助を結婚相手にどうかという話がある中、事件現場に駆けつけた伊三次は、野次馬の中に徳江がいるのを見つけます。すると背後にいた笹岡の妻が徳江の頬ををいきなり平手打ちし・・・という「我らが胸の鼓動」。

 

最終話で、龍之進と徳江が結婚します。けっこう唐突に。ラブストーリーは突然に。

 

 


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