晴乗雨読な休日

休日の趣味レベルで晴れの日は自転車に乗ってお出かけ。雨の日は家で読書。

ケン・フォレット 『第三双生児』

2013-01-24 | 海外作家 ハ
ケン・フォレットは、今まで出された作品の全部を読みたいと思わせて
くれる、好きな作家のひとりで、とはいっても、相変らずダラダラと他の
作品に手を伸ばしてしまい、全部読むのは遠い未来。

舞台はアメリカのボルティモア、ジョーンズ・フォールズ大学。
ここで、体育館のボヤ騒ぎの中、大学職員が何者かに暴行されます。

大学助教授のジニーは、襲われたリサを発見、病院に連れて行きますが、
警察の取調べも、病院の医者も、被害者の心の傷をさらに深めるような
言葉で、ジニーは怒り心頭。

さて、ジニーは大学で遺伝の研究をしていて、「犯罪の遺伝」をテーマに、
別々に育てられた同じ遺伝子を持つ双子が、片方が犯罪者でもう片方が真っ
当に暮らしている、といったケースを調べます。

そこに呼ばれたのがスティーヴという青年。彼は現在ロースクールに通う、
「真っ当な暮らし」の好青年で、ジニーは、自分が開発したシステムにより
スティーヴがじつは双子で、どういった経緯か別々の家庭に養子に出され、
しかも、その双子の片方は、殺人で刑務所にいることを発見します。

そこに、ジニーを大学に紹介してくれたベリントン教授が研究室に入って来る
なり、驚愕の表情に。

なぜスティーヴを見て驚くのか、聞いてもあやふやな答えで、その場はまあ
いいか、とスティーヴは帰ろうとしたのですが、なんと警察が彼を取り囲み、
リサへの暴行容疑で捕まるのです。

全く身に覚えのないスティーヴ。しかし、リサが面通しをしたとき、間違いなく
あの男です、と・・・

ジニーは、スティーヴがリサを襲った犯人だとは信じられませんが、とりあえず
スティーヴの双子の片方に会いに刑務所へ。そこに現れたのは彼に瓜二つ。
狡猾で暴力的で、性格は真逆。しかし、これでジニーの研究していることが正しい
ということになれば、好青年のスティーヴも、生まれながらに犯罪者になる性質を
持っているのか・・・

スティーヴは無罪を証明しようと、DNA検査をしてほしいと訴えます。が、検査の
結果、リサから検出されたDNAは間違いなくスティーヴのもの。

ジニーはさらに調べを進めていくと、スティーブも双子の片方も、父親が軍関連の
仕事をしていて、同じ病院で生まれていたことがわかりますが、そこに、彼ら双子
と同じ遺伝子を持つ青年が別にもう1人いることが分かります。

その「三つ子」を探そうとしているところに、なんと新聞社がジニーの開発した
システムをプライバシーの侵害だと記事にして、これを重く見た大学側は彼女を
クビにしようと・・・

ベリントン教授と上院議員、それに「ジェネティコ」という会社の社長の3人は、
何かを企んでいるのですが、それはとんでもない陰謀で・・

例の「三つ子」に会いに行くジニー。彼もスティーヴと瓜二つで、真犯人はこいつ、
と思ったのですが完全なアリバイがあり、もうわけがわからなくなっているとき、
仮釈放中のスティーヴに襲われて・・・

途中「えっ」と、さらに「ええっ」となり、ラストには「えええっ」となる、
もう読み始めたら止まらない驚きの連続。

母親が痴呆で、もっと上等な施設に移してあげようにも、助教授の給料ではどうに
もならない、父親は泥棒で収監中、少女時代にパンクに走って鼻にピアスを開けて
テニスが上手くて大学はスポーツ奨学生で入学、ただ今29歳、というジニー。
複雑な謎解きの中に彼女のバックグラウンドも詳細に盛り込んで、ほかのキャラ設定
もお見事。

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