小説の本質とは、当然のことながら、物語の筋がきちんと書けている
のと、作中の登場人物に共感し、喜んだり、怒ったりできることだと
思うので、つまり、人物をきちんと描けてこその共感といえるのです
が、これが主人公が殺人鬼であったり、どうしようもない最低な人物
だったりしても、この場合は共感というものは持てないのですが、し
かし、どんなに人物に嫌悪していたとしても「こいつの生き様を見届
けてやる」と読ませきることができていれば、それは良い小説といえます。
この小説の主人公、在日朝鮮人の金俊平は、図体大きく、喧嘩強く、
凶暴で、酔えば暴れ、というようなヤクザも逃げ出すような男。
気に入った女がいれば力ずくでものにする、その女とのあいだに子供
ができたとしても、家庭を顧みるような優しさは持ち合わせていない。
とにかく、他人から様々な恩恵は受けるのですが、それに感謝し、
恩返ししようなどとは、露ほども思えないのです。
彼の非人間性も酷いのですが、当時の日本における在日朝鮮人に対する
扱いもこれまた非人道的なものがあり、だからプラマイゼロというわけ
ではないのですが、一分の同情くらいは向けることができる、かな。
善悪は別にして、圧倒的な存在感。
彼や彼の家族を助ける同郷や近所の人たちの存在は、この小説を読んで
いる中で、ホッとさせてくれます。
絶望的な境遇で生まれ育つと、このような凶暴性を持つ人間が育つのも
むべなるかな、とはいうものの、周りの互助精神は保たれているのです。
強烈な作品です。怒りと悲しみを込めて読み進みました。
のと、作中の登場人物に共感し、喜んだり、怒ったりできることだと
思うので、つまり、人物をきちんと描けてこその共感といえるのです
が、これが主人公が殺人鬼であったり、どうしようもない最低な人物
だったりしても、この場合は共感というものは持てないのですが、し
かし、どんなに人物に嫌悪していたとしても「こいつの生き様を見届
けてやる」と読ませきることができていれば、それは良い小説といえます。
この小説の主人公、在日朝鮮人の金俊平は、図体大きく、喧嘩強く、
凶暴で、酔えば暴れ、というようなヤクザも逃げ出すような男。
気に入った女がいれば力ずくでものにする、その女とのあいだに子供
ができたとしても、家庭を顧みるような優しさは持ち合わせていない。
とにかく、他人から様々な恩恵は受けるのですが、それに感謝し、
恩返ししようなどとは、露ほども思えないのです。
彼の非人間性も酷いのですが、当時の日本における在日朝鮮人に対する
扱いもこれまた非人道的なものがあり、だからプラマイゼロというわけ
ではないのですが、一分の同情くらいは向けることができる、かな。
善悪は別にして、圧倒的な存在感。
彼や彼の家族を助ける同郷や近所の人たちの存在は、この小説を読んで
いる中で、ホッとさせてくれます。
絶望的な境遇で生まれ育つと、このような凶暴性を持つ人間が育つのも
むべなるかな、とはいうものの、周りの互助精神は保たれているのです。
強烈な作品です。怒りと悲しみを込めて読み進みました。
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