本を読む魅力のひとつに「知らない世界を垣間見ることができる」
というのがあると思いますが、ふだん利用している割にはよく分
かってない世界といえば、病院、銀行。
病院も銀行も閉鎖的なコミュニティというわけではないのですが、
専門的ではありますね。
個人的に好きな銀行の小説といえば、銀行の合併話から白紙まで
を描いた高杉良さんの「大逆転!」ですが、この小説の主人公は、
第一銀行の常務の島村。
「第一銀行」といっても、架空の銀行ではありません。「日本の
銀行の父」といわれた渋沢栄一が創設に関わった銀行。
今の「みずほ銀行」は第一勧業銀行と富士銀行と日本興業銀行が
合併してできた銀行で、赤地に白のハートマークの看板(懐かし
い!)第一勧業銀行は、第一銀行と日本勧業銀行が合併してでき
た銀行。
前作「オレたちバブル入行組」で、主人公の半沢直樹や、同期の
友人の渡真利や近藤が、新卒で入行したのが、都市銀の「産業中
央銀行」。のちに「東京第一銀行」と合併し「東京中央銀行」と
なります。頭取は「行内融和」をスローガンにたすき掛け人事を
行ってはいますが、実情はひとつの箱にふたつの銀行が入ってる
といった状態。お互いに(旧S)(旧T)と呼んだりしています。
さて、冒頭「伊勢島ホテル」が百二十億の損失を出したと報告が。
じつはつい先日、東京中央銀行は二百億円の融資をしたばかり。
専務の羽根いわく「運用に失敗した」とのことですが、損失を出
すことを見抜けなかったお前らが悪いなどと開き直ってます。
財務資料を精査しなかったといわれればその通りで、実際ライバ
ルの銀行は審査部が融資を断っているのです。
営業二部の次長、半沢のもとに副部長から伊勢島ホテルの担当を
やってもらいたいと頼まれます。しかも「頭取命令」だ、と。
本来は「審査部」にまわす案件なのですが、近々、金融庁検査が
あり、この伊勢島ホテルの融資が「回収できない」と判断される
と業績悪化。そこで「伊勢島は立て直すことができますよー」と
納得してもらわなければいけなく、その白羽の矢がぶっ刺さった
のです。
そこで調べていくと、もとは京橋支店の取引だったのが、法人部
の所管に移ったという経緯があり、京橋支店の担当者に聞いても
「俺らのせいにするつもりか」とキレ気味。
もともと京橋支店は(旧T)の名門店で、店舗を存続させる代わ
りに大口の取引先だった伊勢島ホテルを(旧S)の法人部に引き
渡したという過去も知ることに。
いよいよ金融庁の検査。主任は黒崎という男で、別の銀行の検査
で隠していた資料を暴き出し破綻に追い込んだという「切れ者」
で、みんな戦々恐々。
まずは正攻法で融資を返済してもらおうとしますが「伊勢島ホテ
ルの融資返済の件は待ってほしい」との要請が。
それは、常務の大和田からで、大和田は元京橋支店長で羽根とは
仲が良いそう。つまり検査の為に行内融和が滞ってはいけないと
いうわけ。
勝算の無いまま、半沢はいよいよ金融庁の検査に。主任の黒崎が
部屋に入ってくるや、いきなりオネエ言葉で怒鳴りちらし、早速
「この伊勢島ホテルの件なんだけど」と切り出され・・・
こちらの話とは別に、半沢や渡真利らの同期で近藤という人物が
いるのですが、心の病気で休職して、現在は復職したのですが、
出世コースからは外れ、今は「タミヤ電機」という中堅メーカー
に総務部長として出向しています。
社長からすれば銀行からの出向を受け入れれば楽に融資が受けら
れる程度の存在で、まともな事業計画も出しません。当然、融資
は断られ、経理は非協力的で、近藤はにっちもさっちも行かずに
いましたが、ある日、会社の決算におかしな部分があるのを見つ
けて・・・
半沢は伊勢島ホテルの立て直し策を金融庁の黒崎に示すことがで
きるのか、近藤は出向先の会社で自分の居場所をみつけることが
できるのか。両者に立ちはだかるのは銀行内にいまだ蔓延る旧S
と旧Tの軋轢・・・
ドラマの方を見ていないので、漠然とした知識しかありませんが、
片岡愛之助さん演じるオネエ言葉の人物がいたという程度は知っ
てまして、それがこの黒崎なのですね。
黒崎が銀行のトップシークレットをなぜ知っているのかという謎
も最終的に、また半沢が例の「倍返しだ」で明るみになるのです
が、こちらもきっかけは前作「オレたちバブル入行組」の逆転劇
と共通してる部分があります。それは「家族」。
銀行の合併というのは異文化の融合で、ささいなことから違いを
意識させられます。例えば「代金取立手形」は旧Sは「代手(だ
いて)」、旧Tは「取手(とりて)」と略していて、女性の先輩
から「ねえ、だいてちょうだい」といわれた新人が「こんな昼間
からですか」といったことがあったり、旧Sの作成する文書は、
「文語体のようでいて文語体でない」難解な文章で、これを見た
旧Tの人は「古い言葉を使えばいいのか」といって「~にて候。
~でござる」と書いた、などあり、これが仲間内で「あいつは旧
Sだから」になり、それが「まったく旧Sの奴らは」と差別意識
に変わります。どんな世界もいっしょですね。
というのがあると思いますが、ふだん利用している割にはよく分
かってない世界といえば、病院、銀行。
病院も銀行も閉鎖的なコミュニティというわけではないのですが、
専門的ではありますね。
個人的に好きな銀行の小説といえば、銀行の合併話から白紙まで
を描いた高杉良さんの「大逆転!」ですが、この小説の主人公は、
第一銀行の常務の島村。
「第一銀行」といっても、架空の銀行ではありません。「日本の
銀行の父」といわれた渋沢栄一が創設に関わった銀行。
今の「みずほ銀行」は第一勧業銀行と富士銀行と日本興業銀行が
合併してできた銀行で、赤地に白のハートマークの看板(懐かし
い!)第一勧業銀行は、第一銀行と日本勧業銀行が合併してでき
た銀行。
前作「オレたちバブル入行組」で、主人公の半沢直樹や、同期の
友人の渡真利や近藤が、新卒で入行したのが、都市銀の「産業中
央銀行」。のちに「東京第一銀行」と合併し「東京中央銀行」と
なります。頭取は「行内融和」をスローガンにたすき掛け人事を
行ってはいますが、実情はひとつの箱にふたつの銀行が入ってる
といった状態。お互いに(旧S)(旧T)と呼んだりしています。
さて、冒頭「伊勢島ホテル」が百二十億の損失を出したと報告が。
じつはつい先日、東京中央銀行は二百億円の融資をしたばかり。
専務の羽根いわく「運用に失敗した」とのことですが、損失を出
すことを見抜けなかったお前らが悪いなどと開き直ってます。
財務資料を精査しなかったといわれればその通りで、実際ライバ
ルの銀行は審査部が融資を断っているのです。
営業二部の次長、半沢のもとに副部長から伊勢島ホテルの担当を
やってもらいたいと頼まれます。しかも「頭取命令」だ、と。
本来は「審査部」にまわす案件なのですが、近々、金融庁検査が
あり、この伊勢島ホテルの融資が「回収できない」と判断される
と業績悪化。そこで「伊勢島は立て直すことができますよー」と
納得してもらわなければいけなく、その白羽の矢がぶっ刺さった
のです。
そこで調べていくと、もとは京橋支店の取引だったのが、法人部
の所管に移ったという経緯があり、京橋支店の担当者に聞いても
「俺らのせいにするつもりか」とキレ気味。
もともと京橋支店は(旧T)の名門店で、店舗を存続させる代わ
りに大口の取引先だった伊勢島ホテルを(旧S)の法人部に引き
渡したという過去も知ることに。
いよいよ金融庁の検査。主任は黒崎という男で、別の銀行の検査
で隠していた資料を暴き出し破綻に追い込んだという「切れ者」
で、みんな戦々恐々。
まずは正攻法で融資を返済してもらおうとしますが「伊勢島ホテ
ルの融資返済の件は待ってほしい」との要請が。
それは、常務の大和田からで、大和田は元京橋支店長で羽根とは
仲が良いそう。つまり検査の為に行内融和が滞ってはいけないと
いうわけ。
勝算の無いまま、半沢はいよいよ金融庁の検査に。主任の黒崎が
部屋に入ってくるや、いきなりオネエ言葉で怒鳴りちらし、早速
「この伊勢島ホテルの件なんだけど」と切り出され・・・
こちらの話とは別に、半沢や渡真利らの同期で近藤という人物が
いるのですが、心の病気で休職して、現在は復職したのですが、
出世コースからは外れ、今は「タミヤ電機」という中堅メーカー
に総務部長として出向しています。
社長からすれば銀行からの出向を受け入れれば楽に融資が受けら
れる程度の存在で、まともな事業計画も出しません。当然、融資
は断られ、経理は非協力的で、近藤はにっちもさっちも行かずに
いましたが、ある日、会社の決算におかしな部分があるのを見つ
けて・・・
半沢は伊勢島ホテルの立て直し策を金融庁の黒崎に示すことがで
きるのか、近藤は出向先の会社で自分の居場所をみつけることが
できるのか。両者に立ちはだかるのは銀行内にいまだ蔓延る旧S
と旧Tの軋轢・・・
ドラマの方を見ていないので、漠然とした知識しかありませんが、
片岡愛之助さん演じるオネエ言葉の人物がいたという程度は知っ
てまして、それがこの黒崎なのですね。
黒崎が銀行のトップシークレットをなぜ知っているのかという謎
も最終的に、また半沢が例の「倍返しだ」で明るみになるのです
が、こちらもきっかけは前作「オレたちバブル入行組」の逆転劇
と共通してる部分があります。それは「家族」。
銀行の合併というのは異文化の融合で、ささいなことから違いを
意識させられます。例えば「代金取立手形」は旧Sは「代手(だ
いて)」、旧Tは「取手(とりて)」と略していて、女性の先輩
から「ねえ、だいてちょうだい」といわれた新人が「こんな昼間
からですか」といったことがあったり、旧Sの作成する文書は、
「文語体のようでいて文語体でない」難解な文章で、これを見た
旧Tの人は「古い言葉を使えばいいのか」といって「~にて候。
~でござる」と書いた、などあり、これが仲間内で「あいつは旧
Sだから」になり、それが「まったく旧Sの奴らは」と差別意識
に変わります。どんな世界もいっしょですね。
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