これまでに読んだ藤原伊織作品はどれもけっこうなハードボイルド
作品でして、主人公がどこか人生に張りがないというか、つまらな
い日常を送っているところに突然大仕事が舞い込む、といった感じ
の物語でしたが、今回読んだ『雪が降る』は、表題作含む計6作の
短編なんですけど、どれもほんわかと心温まるような作品です。
まあ、ハードボイルド的な作品もあるにはあるのですが、話の主軸
をタフな主人公から世間の人の繋がりや優しさにしています。
『雪が降る』は、仕事はいいかげんではないものの、上昇志向はな
くなり、よれた背広でもお構いなしという大手企業の課長職の志村
が、ある日「雪が降る」というタイトルのメールを開いてみると、そこ
には《母を殺したのはあなたですね》という内容。
送り主は、会社の同期で、現在は上司である高橋の息子。
そして、志村は高橋の息子と連絡を取り、ふたりで会うことに。
まだ志村も高橋も若い頃、一人の女性をめぐり争うことがありました。
それが高橋の妻。しかし彼女は交通事故で亡くなっており、息子は
母が生前、志村と再会していたことを知り、しかも亡くなったのは志
村との再会のすぐ後であった・・・
じつにロマンチックな話で、しかしただロマンチックで終わらせたくな
かったのでしょう、ちょっとしたどんでん返しを加えています。
こういう遊び心が話にどこか余裕を感じさせ、読むほうも肩肘はらず
に楽な気持ちで物語に入り込めるのです。
ある程度の人生経験を経てからのほうがこの本は楽しめますね。
だからといって若いヤツは読むな、というわけではないんですけど。
作品でして、主人公がどこか人生に張りがないというか、つまらな
い日常を送っているところに突然大仕事が舞い込む、といった感じ
の物語でしたが、今回読んだ『雪が降る』は、表題作含む計6作の
短編なんですけど、どれもほんわかと心温まるような作品です。
まあ、ハードボイルド的な作品もあるにはあるのですが、話の主軸
をタフな主人公から世間の人の繋がりや優しさにしています。
『雪が降る』は、仕事はいいかげんではないものの、上昇志向はな
くなり、よれた背広でもお構いなしという大手企業の課長職の志村
が、ある日「雪が降る」というタイトルのメールを開いてみると、そこ
には《母を殺したのはあなたですね》という内容。
送り主は、会社の同期で、現在は上司である高橋の息子。
そして、志村は高橋の息子と連絡を取り、ふたりで会うことに。
まだ志村も高橋も若い頃、一人の女性をめぐり争うことがありました。
それが高橋の妻。しかし彼女は交通事故で亡くなっており、息子は
母が生前、志村と再会していたことを知り、しかも亡くなったのは志
村との再会のすぐ後であった・・・
じつにロマンチックな話で、しかしただロマンチックで終わらせたくな
かったのでしょう、ちょっとしたどんでん返しを加えています。
こういう遊び心が話にどこか余裕を感じさせ、読むほうも肩肘はらず
に楽な気持ちで物語に入り込めるのです。
ある程度の人生経験を経てからのほうがこの本は楽しめますね。
だからといって若いヤツは読むな、というわけではないんですけど。