Ⅰ 無何有郷通信記
宮澤賢治ー所蔵図書目録ー に記載されている 『(70) 世界大思想全集』の第50巻には、「カンパネラ」 「モーア」 「モリス」 「ベーコン」の著者の書が翻訳されている[写真参照]。
カンパネラやモリスが載っているこの世界大思想全集が、残念な事に昭和四年八月二十五日発行である。この本が大正十三年頃までに世に出ていると、私にとっては「銀河鉄道の夜」や「農民芸術概論綱要」の制作時期に合致するので参考になるのであるが。
ウイリアム・モリスの「無何有郷通信」の訳者 村山は、この本の序言に「昭和三年三月末 南総の仮寓にて」の記載がある。おそらくこの「全集」以前の発表は無かったと考えられる。このウイリアム・モリスの「無何有郷通信」も完訳伏字無しである。