ロゴス古書

 年年歳歳 花相似たり
 歳歳年年 人同じからず 

初版の謎

2008年11月21日 | 随想・日記

 

 

   『「宮沢賢治受容史年表」からの報告(1)』に、大山さんは「十字屋版」の「刊行開始(第三巻)は、十四年六月三十日・十四年十一月・十五年三月の三説」であるが、「六月三十日」が「信頼できる日付」と思えるとしている。私も「六月三十日」説に同感である(詳説は省く)。 しかし刊行開始の混乱は何故起こったのか である。

 

 上記写真は、第三巻・第四巻奥付の写真である。大山さんの「各巻発行日表」にもあるが、どちらも第一版発行日付が昭和十四年七月十五日である。

 

 第四巻の初版発行日は、「大山表」にもあるが、昭和十五年三月十七日である。第三版・第四版の「第一版発行日・昭和十四年七月十五日」には、残念ながら大山さんは触れておられなかったようだ。昭和二十二・三年には第一版発行日が昭和十五年三月十七日となっていたのが、十字屋版後期出版(昭和二十六・七・八年)になると「混乱」が見られるのである。どうしてこのようになったのか、それには幾つか考えられると思う。

 「別卷」の発行日については、ミスプリ・正誤表が有れば誰しもが納得がいく問題であった。しかし第三巻や第四巻の発行日に付いてはもう少し複雑のようだ。

  初版の謎は、検印 「藤原版」にも関連があるように考えられる。


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