Ⅲ 詩と歌謡の作り方
先日「宮澤賢治の詩の世界」で佐藤惣之助を採りあげていた。
わたしは阪神フアンでは無いが、今年の春、
巨人との開幕戦を見に行った。
三塁側の為、黄色のメガホンに囲まれての観戦であった。
勿論「六甲おろし」の大合唱を肌身にしみこまされて帰ってきた。
わたしは佐藤惣之助や辻潤についてはよく知らないが、
三十一年版「賢治全集」の「宮澤賢治研究」(33年8月15日発行)に、
佐藤惣之助が「宮澤賢治」と題して、
また 辻の「情眠洞妄語」が前の頁研究欄に見られる。
さて 『詩と歌謡の作り方』が「佐藤惣之助全集」に入っているかどうか。
此処では、昭和十三年八月二十二日 新潮社から発行された(写真参照)本を紹介したい。(もしこのことに関して、何方かお書きになられていたら教えてくださるよう、お願い致します。)
第七章 詩の類別と主題の方向 (ニ)の所
「紀行詩と田園詩」の項目の中に、賢治の詩、
「雲の信号」を採り上げている。(次回の写真参照)
「真に日本の田舎の味を生かしてくれる詩人が欲しい。
そこによい耕作の歌が生まれる、労農の讃歌が生じ、
収穫の頌歌が現れて来よう。<途中略>
私はいつも草深い農村から・・・・・新しい宮澤賢治や
山村暮鳥が生まれてくるのを期待している。」
ただ是だけの事ではあるが、十字屋版の全集がまだ出版ていなかった頃であるにも拘らず、佐藤の賢治の詩にたいしての深い認識が窺われる。