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「あした来る人」
監督 川島雄三
主演 月丘夢路
(物語)芦屋に居を構える会社社長梶は、東京での常宿にしているホテルの一室で、娘八千代の紹介で来たカジカの研究者曽根と会う。彼の研究書の自費出版費用の融資を依頼された梶は、実は八千代とは知り合ったばかりと正直に話す曽根の実直な人柄を見込み、自分は出さないが学術研究に理解のある有望な投資家を紹介すると約束する。
梶には、東京に自分が出資して洋裁店を持たせた、杏子という女性がいた。何かと彼女の世話を焼く梶だが、彼女にはあくまでパトロンとして振る舞い、一線は越えない関係を保っていた。
八千代は、仕事と趣味の登山にしか興味のない夫、克平に愛想を尽かし始めていた。今日も、自分が犬嫌いなのを知っていながら子犬を貰ってきた夫といさかいになってしまう。
梶への口利きのお礼に、八千代夫妻宅を訪問する曽根。子犬のことがきっかけで知り合う克平と杏子。
それぞれの間の微妙なバランス関係が、少しずつ揺らぎ始めていた…。
◇ ◇
'55年公開の日活映画。
川島雄三監督の「幕末太陽伝」という映画が大好きで、TSUTAYAで今やってる日本映画のキャンペーンで監督の作品がいくつかあるので、まず、これをレンタルして見てみました。
設定だけ見たら、平日午後1時半からのフジテレビ、東海テレビ制作枠でやってそうな、百%のメロドラマ。でも、原作の井上靖の持ち味なのか、中盤以降、人間関係はかなりもつれますが、あまりドロドロした展開にはなりません。全体に、乾いたスタイリッシュな仕上がりになっているのは、川島監督の個性も大きいでしょうね。
曽根役の三國連太郎さんと克平役の三橋達也さんが、もう若くてかっこよくて、同じ男なのに見惚れてしまう(笑)。杏子役の新珠三千代さんが、物語のキーとなる女性杏子を好演しています。
メロドラマだけど、男目線が強いかな。女性から見ると、不満が感じられる内容かもしれません。
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