もう一人、敬愛するアーチストであるJ.A.シーザーですが、
90年代の初めの頃は、文献でしか名前を見る事がない
幻のアーチストでした。
元々、寺山修司さんの右腕として天井桟敷の舞台の音楽や
映画のサントラを担当したりして、表舞台には出てこない人でした。
発表されたのは前述の音源が殆どで、
自分名義で発表されたのは、デビューシングルと
(当然ながら激レアです。後年になってオムニバス盤にてCD化してます)
ライブ盤であるこの「国境巡礼歌」ぐらいです。
1973年2月に日本青年館で開催されたJ.A.シーザーリサイタルを
編集した本盤は、寺山修司さんが構成、演出を担当し、
新高恵子さんや蘭妖子さん、昭和精吾さんらの
天井桟敷のメンバーも参加し、演劇色が強いリサイタルでした。
シーザーの紡ぐ音楽は、和風をベースとしながら混沌とした独特な音楽で、
この時は、初期のピンクフロイドの影響が若干感じられます。
しかしながら唯一無地の音楽は真似が出来ないものです。
確かに聴く人を選ぶ音楽ですが、興味があれば体験してみればと思います。
最後に収録されている「大鳥の来る日」は圧巻です。
国境巡礼歌 (full album) - J.A. Seazer & Tenjō Sajiki (1973) - YouTube
90年代の終わりになって、突如シーザーは一部で注目される事になります。
「少女革命ウテナ」というアニメで、劇中歌にシーザーの作品が使われたのです。
毎回の決闘シーンで使われたシーザーの曲が妙にマッチして、
アニメファンの度肝を抜く事になったのです。
それ以降、発表される事のなかった作品も世に出るようになりました。
そして「国境巡礼歌」も完全盤も発表されました。
まずは、5枚組の音楽作品集で発表、後にミックスとマスタリングをやり直した
単独盤も発売されています。
入手を考えるならこちらの方を勧めたいですが、残念ながら入手困難です。
公演最後に歌われる「山に上りて告げよ」には衝撃を受けました。
シーザー関連は、また少しずつ紹介していきたいと思いますが、
マニア以外には需要はないでしょうなぁ。
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