定年退職後の第二の人生の送り方として、「海外ロングステイ」が脚光を浴びています。
もうだいぶ前の話になりますが、海外に移住して老後を過ごすことを国が支援する施策が真剣に議論されました。「シルバーコロンビア計画」を覚えていますか?受入側も当時バブル景気に沸く日本人を受け入れることにより地域振興に役立て、外貨獲得の目玉にしようと動いた国が多数ありました。自動車、エレクトロニクス製品、コンピューターに飽き足らず、日本はとうとう「老人の輸出」まで始めるのかと多くの国々の顰蹙を買い、この計画は国家プロジェクトとしては頓挫したと記憶しています。
ビザがクリアでき生活環境もよく、日本より安い生活費で暮らせるとはいっても、言葉の問題、文化の違い等から「永住」はなかなか難しく、夢半ばで永住を諦めて帰国するケースが今でも多いようです。まさに「異文化の壁」は想像以上に高く厚いということなのでしょうね。
最近は「永住」ではなく、生活のベースは日本に残したまま海外に夫婦で長期滞在して、現地の異文化を体験する「ロングステイ」が増える傾向にあるようです。関連情報を提供してロングステイを支援するNPO組織も数多く出来ていますね。いわゆる団塊の世代が社会の第一線からを退くここ数年、この傾向が続くといわれています。でも、ちょっと気になるのは、このNPO活動と旅行ビジネスとの境界線が曖昧な感じがするのです。
海外旅行の好きな人にとっては「好きな期間だけ、好きな所に行く」旅行の繰り返しができることが一番の理想でしょう。これができれば「ロングステイ」は不要というか概念そのものが成り立ちません。旅行会社にとってみれば一番の上客、常顧客というわけです。
時間はあっても、その資金が無い者にとっての次善策として「合理的コストの範囲内で一箇所に長く」滞在する「ロングステイ」が意味を持ってくるわけです。旅行者では体験できないような異文化体験もロングステイの魅力かもしれません。旅行会社が入り込む余地が実はここにあります。このグループこそ企画商品「ロングステイ」を売り込むべきターゲット層なのです。
異文化を体験する意欲と熱意があるならば、この曖昧なNPOやら旅行社の商品に飛びつかず、自分で情報収集して、自分自身の手で「ロングステイ」を作り上げるべきだと、私は思います。私もインターネットを通して情報収集し、ひょんなことから私自身の「ロングステイ」プログラムを作り上げる結果となりました。
この話は次回にいたします。
(続く)