【連載】 「イラン・大自然の絨毯に出会う旅2016」第五回
3日目(後半)
シーラーズからイスファハンへ到着して、最初にペルシャ絨毯工房を訪れた先は、
緻密で豪華な高ノットのペルシャ絨毯を作り続ける「ダルダシティ工房」。

さっそくダルダシティさんとご対面。
すでにかなり高齢ですが、目力が強く、厳しい時代を生き抜いてきた貫禄が漂います。
絨毯も見せてもらえることになり、地下へ移動。

最初は金庫かな?と思いましたが、いえいえこれが絨毯の倉庫です。
倉庫の扉は分厚くて、いかにも頑丈そう!
自分の大切な商品は自分で守る!という強い思いを感じました。
この奥には美しい絨毯が宝物のように保管されています。

連続花瓶文様の絨毯。華やかな花瓶がリズム良く並ぶ、規則性のあるデザインです。
この他にもどれも素晴らしい絨毯ばかりでテンション上がりっぱなしです!!
たくさんのペルシャ絨毯を惜しげもなく見せていただき、
ダルダシティ工房の歴史をお伺いしてから1件目の工房を後にしました。
さて、次の工房は個人的にとても楽しみにしていたあの伝説の工房へ。
イスファハンではセラフィアンと並ぶ2大巨匠の一人「へクマトネジャード工房」。
へクマトネジャードは、マジュヌーニー(=熱狂者)と自称するほど、
絨毯にのめり込み、あらゆる情熱を絨毯に注ぎ込んできた名匠です。
私のイメージでは、奇人・変人・頑固オヤジ!みたいなイメージです。笑
気難しい彼はイランでもご自宅まで伺わせてくれることは滅多にないそうです。
ガイドに連れられ、彼の自宅を訪れると広々としたリビングに通され、
ぽつりぽつりと絨毯に対する思いや激動の人生を語ってくれました。
怖いくらいの威圧感がありますが、その落ち着いた語り口調や
絨毯を見る目は、本当に絨毯が好きなんだな~と、なんとなく感じました。
そして、「絨毯を見るかい?」と数枚の絨毯を広げて見せてくれました。
彼の絨毯を似せた絨毯も数多く出回る中、本物のへクマトネジャード工房の
絨毯を本人に見せてもらえるとは、、、本当に感動です!!
あっちから、こっちから絨毯をのぞき込んで、ん~、ん~、と悩むこと20分。
高価なものなので、とても迷いましたが、こんな機会はもう中々ないだろうと思い、
思い切って買い求めました。それがこちら!

さすがに熱狂者が作ったと見える力強くも美しいデザインです。

高齢なので目が良く見えないそうなのですが、サインまでいただきました!
ちゃんと「MASASHI」と名前も書いてくれました。

あとで気づきましたが、ペルシャ絨毯の分厚い本にも載っているデザインでした。
へクマトネジャードの絨毯はかつて王室ご用達の絨毯だったこともあり、
現在もドイツやフランスなど、世界各国の宮殿や王室に納められています。
この絨毯はさしこう本店にありますので、ご興味のある方はぜひ一度見てみてくださいね!
(ウール+真っ白いところはシルク・1750×1090)
本日の最後に訪れたのは、先述したへクマトと並ぶこちらも名匠の「セラフィアン工房」。
セラフィアンさんはへクマトさんと違い、笑顔でウェルカムな感じだったので、
すこし緊張の糸が緩みます。笑
セラフィアン工房は地域社会への貢献も素晴らしく、国や市から表彰された写真がずらり。

ここでもセラフィアン工房のルーツを知り、絨毯を見せていただくことに。
こちらでも買い求めるか、かなり迷った絨毯がこちら。

すごく好きなデザインなのですが、ちょっと高くて買えませんでした。残念

最後にがっちりと握手を交わし、本日の工房巡りも終了。
宿泊はイスファハンのアバシ・ホテルへ。
このホテル、美術品・工芸品がホテルの随所に使われており、
さながら美術館の中に泊まっているような素晴らしいホテルです。
ペルシャ絨毯もかなりの枚数が敷いてあるそうなので、
明日も早く起きて、館内を巡ろうと思いながらしばしの休息です。
つづく
<過去の連載>
「イラン・大自然の絨毯に出会う旅2016」第一回
「イラン・大自然の絨毯に出会う旅2016」第二回
「イラン・大自然の絨毯に出会う旅2016」第三回
「イラン・大自然の絨毯に出会う旅2016」第四回