さしこうスタッフブログ

さしこうスタッフが日替わりでお届けする日々のおはなし

【過去記事】「イラン・大自然の絨毯に出会う旅2016」第六回

2020年05月03日 | 番外編

※さしこう全店臨時休業の為、2016年に公開した記事の再アップです。

 

 

【連載】 「イラン・大自然の絨毯に出会う旅2016」第六回

 

4日目(前半)

 

イスファハンのアバシホテルで朝目覚めると、さっそく美術館のようなこのホテルを散策。

エントランスから待合所、レストランや天井に至るまで全てが豪華絢爛。

美しい調度品や珍しいペルシャ絨毯にとうっとりしながら、

後ろ髪引かれる思いで、8時にはホテルを出発。午前中は世界遺産であるイマーム広場へ。

 

サファビー朝(1501~1736)の首都であったイスファハンの中でもイマーム広場は中核の場所。

かつて「世界の半分はここにある」と言わしめた程の美しいモスクや

大規模なバザールが広がっています。ここだけでもじっくり見れば1日以上かかります。

まずは広場の中心的存在イマーム・モスクの中へ。

う~ん。これにはやられました!柔らかなドームの曲線や鮮やかなブルーのタイルは、

イラン芸術の最高美にして、見るものをただちに虜にしてしまうほどの美しさ!

見れば見るほどため息しか出ません。

 

吸い込まれそうなブルーの誘惑に踏ん切りをつけ、イマーム広場を少し歩きます。

 

少し歩いた先にはペルシャ絨毯の工房「ハギーギー工房」がありました。

栄華を極めたこのイスファハンもアフガンの侵入を受け、街は破壊された経緯があります。

そして、絨毯産業も長い間停滞を余儀なくされましたが、このハギーギー工房の復興と共に

街も再生し、徐々に活気を取り戻してゆきます。

時代の煽りを受けながらも力強く歩み続けたハギーギー工房は、緻密で色鮮やかな

ペルシャ絨毯を作り、現在もイスファハンの有名工房として地位を確立しています。

 

まずはハギーギー工房の美しいペルシャ絨毯を見せてもらった後は、工房見学。

 

こちらは作製中のデザイン画。デザイナーが図案を線描きし、彩色していきます。

このデザインの段階では文様や色をざっくりと入れていきます。

 

次にデザインが出来上がると細かな正方形の目の入った意匠紙に色を入れていきます。

正方形のマスひとつひとつに違う色を入れる細かい作業です。

 

 

色付けが完成するとこの意匠紙を見ながら、織子さんが絨毯を織っていきます。

 

一方、遊牧民が織るギャッベはもともとこの意匠紙がありません。

意匠紙が無い故に、織子の感性と経験によってのみ織られる素朴さがあるのです。

 

話を戻して、続いてはペルシャ絨毯の織り工程へ。

写真上に見えるのが先述した意匠紙。

縦糸に草木染めした糸を一つ一つ結んでいきます。とても気の遠くなる作業です。

 

こんな美しい文様も!素晴らしい技術ですね。

 

縦糸に結ぶパイル糸もこんなにたくさん色の種類があります。

 

そして、何か月も何年もひたすらこの細かい作業を繰り返して、

完成したのがこのようなペルシャ絨毯です。

何人もの技術を極めた専門家たちと織子さんの緻密な作業によって、

途方もない時間をかけた一枚のペルシャ絨毯が完成します。

 

私たちはこの伝統ある技術と手間暇をかけた絨毯を扱わさせていただいている

誇りと責任を持ち、それ相応の知識を持って皆様にご紹介しています。

ペルシャ絨毯の知識は中東の歴史からはじまり、素材・染め・デザイン・織り・仕上げなど

それぞれの専門的分野の奥深くまで学ばなければなりません。

奥深いからこそ面白くもあり、みなが真剣だからこそ感動が生まれると信じています。

 

しっかりとペルシャ絨毯の工程を堪能して、さらなる目的地へと向かいます。

        つづく

 

<過去の連載>

「イラン・大自然の絨毯に出会う旅2016」第一回

「イラン・大自然の絨毯に出会う旅2016」第二回

「イラン・大自然の絨毯に出会う旅2016」第三回

「イラン・大自然の絨毯に出会う旅2016」第四回

「イラン・大自然の絨毯に出会う旅2016」第五回

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【過去記事】「イラン・大自然の絨毯に出会う旅2016」第五回

2020年05月03日 | 番外編

※さしこう全店臨時休業の為、2016年に公開した記事の再アップです。

 

 

【連載】 「イラン・大自然の絨毯に出会う旅2016」第五回

 

3日目(後半)

 

シーラーズからイスファハンへ到着して、最初にペルシャ絨毯工房を訪れた先は、

緻密で豪華な高ノットのペルシャ絨毯を作り続ける「ダルダシティ工房」。

 

さっそくダルダシティさんとご対面。

すでにかなり高齢ですが、目力が強く、厳しい時代を生き抜いてきた貫禄が漂います。

 

絨毯も見せてもらえることになり、地下へ移動。

最初は金庫かな?と思いましたが、いえいえこれが絨毯の倉庫です。

倉庫の扉は分厚くて、いかにも頑丈そう!

自分の大切な商品は自分で守る!という強い思いを感じました。

この奥には美しい絨毯が宝物のように保管されています。

 

連続花瓶文様の絨毯。華やかな花瓶がリズム良く並ぶ、規則性のあるデザインです。

この他にもどれも素晴らしい絨毯ばかりでテンション上がりっぱなしです!!

 

たくさんのペルシャ絨毯を惜しげもなく見せていただき、

ダルダシティ工房の歴史をお伺いしてから1件目の工房を後にしました。

 

さて、次の工房は個人的にとても楽しみにしていたあの伝説の工房へ。

イスファハンではセラフィアンと並ぶ2大巨匠の一人「へクマトネジャード工房」。

 

へクマトネジャードは、マジュヌーニー(=熱狂者)と自称するほど、

絨毯にのめり込み、あらゆる情熱を絨毯に注ぎ込んできた名匠です。

私のイメージでは、奇人・変人・頑固オヤジ!みたいなイメージです。笑

気難しい彼はイランでもご自宅まで伺わせてくれることは滅多にないそうです。

 

ガイドに連れられ、彼の自宅を訪れると広々としたリビングに通され、

ぽつりぽつりと絨毯に対する思いや激動の人生を語ってくれました。

怖いくらいの威圧感がありますが、その落ち着いた語り口調や

絨毯を見る目は、本当に絨毯が好きなんだな~と、なんとなく感じました。

そして、「絨毯を見るかい?」と数枚の絨毯を広げて見せてくれました。

 

彼の絨毯を似せた絨毯も数多く出回る中、本物のへクマトネジャード工房の

絨毯を本人に見せてもらえるとは、、、本当に感動です!!

 

あっちから、こっちから絨毯をのぞき込んで、ん~、ん~、と悩むこと20分。

高価なものなので、とても迷いましたが、こんな機会はもう中々ないだろうと思い、

思い切って買い求めました。それがこちら!

 

さすがに熱狂者が作ったと見える力強くも美しいデザインです。

 

高齢なので目が良く見えないそうなのですが、サインまでいただきました!

ちゃんと「MASASHI」と名前も書いてくれました。

 

あとで気づきましたが、ペルシャ絨毯の分厚い本にも載っているデザインでした。

へクマトネジャードの絨毯はかつて王室ご用達の絨毯だったこともあり、

現在もドイツやフランスなど、世界各国の宮殿や王室に納められています。

 

この絨毯はさしこう本店にありますので、ご興味のある方はぜひ一度見てみてくださいね! 

(ウール+真っ白いところはシルク・1750×1090)

 

本日の最後に訪れたのは、先述したへクマトと並ぶこちらも名匠の「セラフィアン工房」。

セラフィアンさんはへクマトさんと違い、笑顔でウェルカムな感じだったので、

すこし緊張の糸が緩みます。笑

 

セラフィアン工房は地域社会への貢献も素晴らしく、国や市から表彰された写真がずらり。

 

ここでもセラフィアン工房のルーツを知り、絨毯を見せていただくことに。

こちらでも買い求めるか、かなり迷った絨毯がこちら。

すごく好きなデザインなのですが、ちょっと高くて買えませんでした。残念

 

最後にがっちりと握手を交わし、本日の工房巡りも終了。

 

宿泊はイスファハンのアバシ・ホテルへ。

このホテル、美術品・工芸品がホテルの随所に使われており、

さながら美術館の中に泊まっているような素晴らしいホテルです。

ペルシャ絨毯もかなりの枚数が敷いてあるそうなので、

明日も早く起きて、館内を巡ろうと思いながらしばしの休息です。

        つづく

 

<過去の連載>

「イラン・大自然の絨毯に出会う旅2016」第一回

「イラン・大自然の絨毯に出会う旅2016」第二回

「イラン・大自然の絨毯に出会う旅2016」第三回

「イラン・大自然の絨毯に出会う旅2016」第四回

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【過去記事】「イラン・大自然の絨毯に出会う旅2016」第四回

2020年05月03日 | 番外編

※さしこう全店臨時休業の為、2016年に公開した記事の再アップです。

 

 

【連載】 「イラン・大自然の絨毯に出会う旅2016」第四回

 

3日目(前半)

 

遊牧民たちとの宴が明けて早朝、ザクロス山脈の日の出を見る為、

ひとり早起きをしました。広大な土地にそびえ立つザクロスの山々と日の出は

さぞ美しいことだろうとわくわくしながら、準備をしていざ出発!

 

日中は40度を超える猛暑ですが、明け方は10度前後にまで下がり、

朝はダウンがないと外に出られないほどです。少し歩くと開けた場所に到着。

地平線に響き渡る鳥のさえずりを聞きながら、

もうすぐ日の出を迎えるうっすらと明るくなった山に向かいカメラをセット。

もうすぐ夜明けです。

 

日の出が間近にに迫ったその時!

運よく羊の遊牧が目の前を通り過ぎようとしています。

これは願ってもないチャンスとばかりにシャッターを切り続けます。

 

朝焼けの中、羊飼いと共にゆっくりと進む羊の群れ。美しい光景です。

 

羊の歩みと共に夜が明けてきました。

 

羊の群れが通り過ぎるまでの10分間、無我夢中でシャッターを押し続けました。

あっという間の出来事でした。

朝焼け色に染まった羊は、なんとも神秘的で、神々しさまで感じました。

生命の営み、大自然の雄大さ、脈々と続く伝統、、、様々な言葉が頭をよぎりますが、

どれもしっくりと来るはずもなく、唯々ひたすらに言葉にできない感動が溢れます。

イランの、大地の、「鼓動」を目の当たりにした瞬間でした。

 

 

日が昇るにしたがって、植物や動物たちも目を覚まします。

 

この犬は追いかけてきて、すごい怖かったです。汗

 

この旅が始まってから初めてのひとり行動で、充分に楽しんだあと

ムサビさんの家に帰ろうとしましたが、ん?? ここはどこだっけ??

美しい景色や動物たちを夢中で撮っているうちにちゃっかりと迷いました。笑

 

右を見ても左を見てもどこまでも同じようなレンガ造りの家がずらり。

ここでもまた違う犬がよそ者を睨みつけています。汗汗 (写真右側)

怖い犬に追いかけられるし、帰る家はわからないし、ちょっと一人で泣きそうでした。笑

 

やっとの思いでムサビ邸に到着した後、朝ご飯をいただき、ムサビさんとはここでお別れ。

別れを惜しみつつもまた会える日を約束して、いざ次の目的地へ。

シーラーズを出発し、次なる目的地はイスファハン!

 

マイクロバスに乗り込み、乾いた大地と抜けるような青空を走ること8時間。

朝から出発し、ようやく目的地のイスファハンに到着したのは、16時でした。

 

イスファハンではいよいよペルシャ絨毯の工房を数件巡ります。

伝説的な工房へもお邪魔する予定で、ここでもまた素晴らしい逸品との出会いがありました!

        つづく

 

<過去の連載>

「イラン・大自然の絨毯に出会う旅2016」第一回

「イラン・大自然の絨毯に出会う旅2016」第二回

「イラン・大自然の絨毯に出会う旅2016」第三回

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