「で、明日はあの場所で、ということです。」
「あの場所とは?」
「私は知りませんが、あなたはわかるはずです」
「そういわれてもわかりませんよ、どちらのことだか」
「困りましたね、思い出してみてくださいよ、あなたが知るすべての場所を」
「…」
「生まれた時からすべて」
「おもな場所しか思い浮かびません。家や学校、駅など」
「いいえ、念のためすべての場所を思い出してください」
「それは無理です」
「どうして?」
「幼少の記憶なんてはじめからほとんどないし、第一、印象的でない場所は記憶にないですよ」
「そうですか、では…」
「明日になればわかるのかもしれません。」
「なぜ」
「明日はまだ存在すると思うからです」
「はは…答えになっていませんね」
「たいがい答えなんてありませんよ」