のほほんとしててもいいですか

ソプラノ歌手 佐藤容子のブログです。よろしくお願いいたします!

ベートーベン越え

2009-09-27 | 『音楽のはなし』



昨日、ベルリオーズの『幻想交響曲』第2楽章(舞踏会)のメロディをアレンジした曲をやったので、他の交響曲とはちょっと変わった『幻想交響曲』について書きます。


ベートーベンが交響曲第9番『合唱付き』を作曲したあと、ロマン派の作曲家にとってその存在は巨大で乗り越えることができないかのように見えた。

ベートーベンの『第9』は外面的には現存する器楽曲中最大で、これ以後、量も目標も汲みつくされたかに思われた、と、シューマンは記している。

そんな中、フランス人作曲家ベルリオーズが作曲した『幻想交響曲』には、新たな可能性が感じられた。

この曲は標題(プログラム)交響曲として書かれ、主人公の若い音楽家(たぶん本人)が描く恋人のイメージが『固定楽想』として設定され、物語的に展開する。

1827年、ベルリオーズが24歳のとき、革命が迫り不安なパリにイギリスからシェイクスピアの劇団が来た。

その劇団の美しい女優のヘンリエッタ・スミスソンに恋をしてしまい、告白するが相手にされなかった。

ベルリオーズはその失恋のショックを『幻想交響曲』の作曲につぎ込んだ。

楽譜には自分のことと思われる筋書きがついている。
『感じやすく空想力ある若い芸術家が、恋の情熱を爆発させ麻薬を飲んで自殺しようとするが、死にきれず、いろいろな幻想を描く…』


第1楽章『夢と情熱』(不安と言い知れない気持ちでいると、すばらしい女性が現れ、たちまち喜びと情熱の炎が燃え狂う)


第2楽章『舞踏会』(舞踏会で再び憧れる人に出会う)


第3楽章『田園風景』(美しい野原を歩き、若い芸術家の心は静まるが、そこへ憧れる人の姿が現れ再び不安と寂しさに襲われる)


第4楽章『刑場への行進』(愛する女性を殺してしまい絞首刑になる)


第5楽章『夢に見る悪魔の饗宴』(若い芸術家の葬式に悪魔がより集まり、恐ろしい地獄の踊りが始まる)



こんなようなストーリーが付いています。

後に、ベルリオーズは望みが叶い、ヘンリエッタと結婚しますが、お金の使い方が荒い女性で、幸せな結婚ではなかったようです。


この『幻想交響曲』の楽器編成は、ベートーベンにおいて確立した二管編成(フルート、オーボエ、クラリネット、ファゴットの木管楽器が2本ずつ用いられる)に加え、イングリッシュホルン、変ホ調クラリネット、コルネット、オフィクレイド(1817年に考案された金管楽器)、ハープで編成されている。

また第2楽章では海綿で覆ったバチでティンパニを叩いたり、終楽章ではヴァイオリンの弓の木の部分で弦を弾く(コル・レーニョ)など、新しい工夫がされた。



こんな感じの曲です。
機会がありましたら聴いて下さいね。




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幸せな天才

2009-09-26 | 『音楽のはなし』


毎週ピアノレッスンでは、週変わりで作曲家とその作品を紹介している。

今日はメンデルスゾーンでした。

メンデルスゾーンは1809年ドイツ、ハンブルクに生まれ、38歳まで生きました。

初期ロマン派の音楽家で、死後演奏されなかったバッハ作品の再演に尽力し、バッハ作品を一般に復興させた。
フルネームは、ヤーコブ・ルードビヒ・フェリックス・メンデルスゾーン・バルトルディ。

裕福なユダヤ系銀行家の子として生まれた。
ユダヤを示すバルトルディを名乗らなかったので、メンデルスゾーンとなっている。
のちに、プロテスタントに改宗している。

簡易な音楽史には、メンデルスゾーンはお金と愛情に恵まれ、明るさに満ちた曲が多い、といった内容が多いが、幸せだけな人生なんかあるのかな、と学生の頃は思った。

メンデルスゾーンは9歳でピアニストデビュー、11歳で自作公開演奏。

序曲『真夏の夜の夢』は、17歳で作曲された。
16年後にシェイクスピアの同名の劇に音楽を付けた。

メンデルスゾーンは風景画が得意で、風景を音楽に変えることも得意だったそうです。

W. スコットの小説を読んで憧れていたホリールードの古城では、交響曲第3番『スコットランド』の書き出しを思いつきました。(下の写真)

西海岸のヘブリテン諸島へ遊びに行った時には、スタファ島のフィンガルの洞窟へいき、管弦楽のための序曲『フィンガルの洞窟』を書きました。(上の写真)
ワーグナーは『すばらしい風景画家だ』と評したそうです。


私は学生時代、佐藤峰子先生が熱心にメンデルスゾーンの二重唱をご指導下さり、年中二重唱に取り組んでいました。

今では、劇団四季でご活躍の北澤裕輔先輩とも『ズライカとハーテム』など歌っていました。
二重唱では、『秋の歌』『船路』『シオンたすけよべど』など、ドキドキするいい曲がたくさんあります。






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価値の可視化

2009-09-26 | 『毎日のこと』

写真ておもしろい。

友人が旅行に出かけ、撮影した何枚かの写真を送ってくれた。

写真て、被写体の焦点や構図、フレームの設定なんかを見てると、撮影者が何を重視し、何を美しいと思って撮影しているかわかって、楽しい。

ちなみに、その写真をくれた友人は、被写体を通り越した何かを見ていて、独特な感性だな、と思った。

写真展は、知り合いの方のくらいしか行ったことがないけど、かなり興味が湧いてきました。

ちなみに、リンクしている、ゆんさん、も日本や世界を周ってすばらしい写真を撮ってますので、見てくださいね。



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とどけて

2009-09-24 | 『絵』描きました

Are you going to Scarborough Fair?

叶わない想い。

でも、届けたい気持ち。

というわけで、描いてみました。






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抑圧と創作

2009-09-24 | 『毎日のこと』
たまたま、店の中でスメタナの曲がかかっていた。

スメタナはチェコの作曲家で、チェコの民族的な要素を取り入れた曲を作曲した。

チェコは長くハプスブルグ家に統治され、いつも開放を願っていた。

なにかを作る力は、押さえつけられた現状を打破したいという欲求によって強く打ち出される、と思う。

日本は、土地繋がりに周囲を他国に囲まれていることはないので、歴史的に危機感が薄いと思うけれど、差別化をしてアイデンティティーを確立したいと思うとき、ルーツにたち返り、持ち物の査定とたたき直しが必要なんだと思う。


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