【概要】
堀口 大學は、明治から昭和にかけての日本の詩人・歌人・フランス文学者。
訳詩書は300点を超え、日本の近代詩に多大な影響を与えた。
雅号は十三日月。
葉山町名誉町民。
日本芸術院会員、文化功労者、文化勲章受章者。
欧米生活を経て、フランス近代詩の訳詩集『月下の一群』を発表した。
詩人・翻訳家。
九万一の長男。
東京生。
吉井勇の短歌に触れ〈新詩社〉に入り「三田文学」「スバル」に短歌・小品を発表するが、明治44年から父と共に海外で生活をする。
大正6年帰国し、訳詩集『昨日の花』、処女詩集『月光とピエロ』、処女歌集『パンの笛』を出版。
雑誌「パンテオン」「オルフェオン」を編集し後進を育て、フランスの新文学も精力的に紹介した。
昭和56年(1981)歿、89才。
サン=テグジュペリ『人間の土地』(新潮文庫)
ボードレール『悪の華』(新潮文庫)
メーテルリンク『青い鳥』(新潮文庫)
ランボー詩集(新潮文庫)
ヴェルレーヌ詩集(新潮文庫)
ボードレール詩集(新潮文庫)
アポリネール詩集(新潮文庫)
幻露抄 堀口大學詩集 茗渓堂 1971、松本和男編
朱唇紅臉抄 堀口大學詩集 茗渓堂 1973、松本和男編
堀口大學詩集 「現代詩文庫1019」思潮社 1980、新書版
幸福のパン種 堀口大學詩集 かまくら春秋社 1993、増補版2011、堀口すみれ子編
【評論・随筆】
ヴェルレエヌ 世界文学大綱 東方出版 1927
註と解 仏蘭西現代詩の読み方 第一書房 1932
季節と詩心 随筆集 第一書房 1935。講談社文芸文庫 2007(解説長谷川郁夫)
山巓の気 生活社 1945
詩と詩人 講談社 1948
ヴェルレエヌ研究 昭森社 1948
饗宴にエロスを招いて 昭森社 1960
捨菜籠 随筆集 彌生書房 1972
秋黄昏 河出書房新社 1980
虹消えず 新潮社 1983
【翻訳】
水色の目 天佑社 1920 欧州現代大家小説戯曲飜訳集
サマン選集 アルベール・サマン アルス 1921
沙上の足跡 箴言集 ルミ・ド・グルモン 東京堂 1922
シヤルル・ルヰ・フィリップ短篇集 近代文明社 1923
燃え上る青春 アンリ・ド・レニヱー 新潮社 1924 のち新潮文庫
夜ひらく ポール・モオラン 新潮社 1924 のち角川文庫
夜とざす ポオル・モオラン 新潮社 1925
夜ひらく・夜とざす ポオル・モオラン 旧新潮文庫 1929
科学の奇蹟 キネマ新話 ジユル・ロオメエン 第一書房 1925
聖母の曲芸師 現代仏蘭西短篇集 至上社 1925
レヰスとイレエン ポオル・モオラン 第一書房 1925
恋の欧羅巴 ポオル・モオラン 第一書房 1925
マリヤンヌの気紛れ ミユッセ、タンタヂイルの死、ペレアスとメリザンド メエテルリンク 近代劇全集 第一書房 1927
死市 ダヌンチオ 近代劇全集第35巻 第一書房 1928
三人女 ポオル・モオラン 第一書房 1928
詩人のなぷきん 仏蘭西短篇集 第一書房 1929 / 新編・ちくま文庫 1992
オルフェ 戯曲 ジヤン・コクトオ 第一書房 1929
文学 ポオル・ヴァレリイ詩論 第一書房 1930
文学雑考 ポオル・ヴァレリイ 第一書房 1935 「文学論」角川文庫 復刊1989
ジヤツク・マリタンへの手紙 ジアン・コクトオ 第一書房 1931
わが魂の告白―マリタンへの手紙 人文書院 1952、求龍堂 1973 新版1994
詩法 マツクス・ジャコブ 第一書房 1931
パリュウド アンドレ・ジイド 第一書房 1931 のち角川文庫
ドルヂェル伯の舞踏会 ラデイゲ 白水社 1931 のち角川文庫、新版・講談社文芸文庫 1996
阿片 ジァン・コクトオ 第一書房 1932、のち角川文庫、東京創元社「全集」、求龍堂
仇ごころ ヴァルリィ・ラルボオ 青柳瑞穂共訳 第一書房 1932
白紙 ジヤン・コクトオ 第一書房 1932、斎藤書店 1946
昼顔 ジョゼフ・ケッセル 第一書房 1932(発禁)のち新潮文庫
感想私録 ボオドレエル 第一書房 1933、小学館 1946
赤裸の心・覚書 ボオドレエル 創藝社近代文庫 1950
一粒の麦もし死なずば 上巻 ジイド 第一書房 1933、のち完訳・新潮文庫ほか
彼女には肉体がある ルミイ・ド・グウルモン 裳鳥会 1934
ドニイズ レイモン・ラデイゲ 日本限定版倶楽部 1934
夜間飛行 アントワアヌ・ド・サン テクジュペリ 第一書房 1934 のち三笠書房・新潮文庫
アンドレ・ワルテルの詩 ジイド 第一書房 1934
贋金つくりの日記 ジイド全集 第8巻 金星堂 1934
日本詩歌と外国語 テクニツクと翻訳 ジヨルジユ・ボノオ 国際文化振興会 1935
南方飛行便 サン・テクジュペリ 第一書房 1935 のち三笠書房・新潮文庫
シヤベエル大佐 バルザツク全集 河出書房 1935
一粒の麦もし死なずば 全訳 アンドレ・ジイド 第一書房 1935 のち新潮文庫
わが青春記 ジヤン・コクトオ 第一書房 1936
闘牛士 アンリ・ド・モンテルラン 第一書房 1936 のち新潮文庫
マリイ・ロオランサン詩画集 昭森社 1936
山と風と太陽と泉 四つの要素 アンドレ・シヤンソン 第一書房 1936
新しき糧 アンドレ・ジイド 第一書房 1936 のち新潮文庫
僕の初旅世界一周 ジヤン・コクトオ 第一書房 1937
嶮しき快癒 ジヤン・ポオラン 伸展社 1937
孤児マリイ マルグリット・オオドゥウ 第一書房 1937 のち新潮文庫
地上の糧 アンドレ・ジイド 第一書房 1937 のち角川文庫
女の学校 付・ロベエル アンドレ・ジイド 第一書房 1937 のち角川文庫
ソヴェト紀行修正 アンドレ・ジイド 第一書房 1937
対話と言葉 グウルモン 第一書房 1938
光ほのか マルグリット・オオドゥウ 第一書房 1938 のち新潮文庫
田園交響楽・パリュウド アンドレ・ジイド 第一書房 1938 のち創藝社、河出書房
ノアの方舟 シュペルヴィエル 第一書房 1939
マリイの仕事場 マルグリット・オオドゥウ 第一書房 1939 のち角川文庫
人間の土地 サン・テクジュペリ 第一書房 1939 のち河出書房、新潮文庫
娘の嫉妬 フイリップ 新潮社 1939
街から風車場へ マルグリット・オオドゥウ 第一書房 1940
夢見るブゥルジョア娘 上巻 ドリユウ・ラ・ロッシェル 新潮社 1940 のち文庫
未完の告白 アンドレ・ジイド 第一書房 1941
現代ブラジル文学代表作選 第一書房 1941
強く生きんとて マルセル・アルラン 実業之日本社 1941
毛虫の舞踏会 青磁社 1943
フランスの天才達(正・続)アナトオル・フランス 第一書房 1943-44
戦ふ操縦士 サン・テクジュペリ 河出書房 1945
架空会見記 アンドレ・ジイド 鎌倉文庫 1946
情熱の波 ポール・モーラン 岡倉書房 1946
セシルの恋 エドモン・ジャルウ 斎藤書店 1947 「セシル夫人の恋」角川文庫
十三本目の木 ジイド 斉藤書店 1947
無駄奉公 モンテルラン 新潮社 1950
善の悪魔 アンリ・ド・モンテルラン 新潮社 1951 のち文庫
女性への憐憫 アンリ・ド・モンテルラン 新潮社 1951 のち文庫
幸福の後にくるもの 全4巻 ケッセル 新潮社 1951-52 のち文庫
芸術論 ジャン・コクトオ 佐藤朔共訳 人文書院 1952
花のノートルダム ジャン・ジュネ 新潮社 1953 のち文庫、全集
ビュビュ・ド・モンパルナス シャルル・ルイ・フィリップ 新潮文庫 1954
誘惑者(上下) ジャン・マリー・カプラン 人文書院 1954-55
青い麦 コレット 新潮社 1954 のち文庫
沙漠のバラの恋物語 モンテルラン 新潮社 1955
恋路 ケッセル 新潮社 1955
薔薇の奇蹟 ジヤン・ジュネ 新潮社 1956、のち文庫、全集
ミツの初恋 娘達はどうして女になるか コレツト 角川小説新書 1956
黄色い部屋の秘密 ガストン・ルルウ 新潮社 1956 のち文庫
モンパルナスの夜 ジョルジュ・シムノン 新潮社 1956 (探偵小説文庫)
カルメン メリメ 新潮文庫 1956、のち改版
オデットの男友だち サン・ローラン 新潮社 1956 (愛の小説叢書)
見るもの食うもの愛するもの へそまがりのフランス探訪 ピエール・ダニノス 新潮社 1958
1/4秒に生きる男 ポール・モーラン 講談社 1958
813 ルパン傑作集 第1 モーリス・ルブラン 新潮文庫 1959
続813 ルパン傑作集 第2 ルブラン 新潮文庫 1959
奇岩城 ルパン傑作集 第3 ルブラン 新潮文庫 1959
或る男の首 ジョルジ・シムノン 新潮文庫 1959
思考の表裏 ポォル・ウァレリイ、アンドレ・ブルトン、ポォル・エリュアル 昭森社 1959
強盗紳士 ルパン傑作集 第4 ルブラン 新潮文庫 1960
ルパン対ホームズ ルパン傑作集 第5 ルブラン 新潮文庫 1960
水晶栓 ルパン傑作集 第6 ルブラン 新潮文庫 1960
バーネット探偵社 ルパン傑作集 第7 ルブラン 新潮文庫 1960
青い鳥 メーテルリンク 新潮文庫 1960
八点鐘 ルパン傑作集 第8 ルブラン 新潮文庫 1961
ルパンの告白 ルパン傑作集 第9 ルブラン 新潮文庫 1961
棺桶島 ルパン傑作集 第10 ルブラン 新潮文庫 1964
ドン・キホーテ セルバンテス 新潮社 1965 /〈世界文学全集6〉講談社 1976
タマンゴ・エトリュスクの壷 メリメ 新潮文庫 1966、「カルメン」と合本改版 1972、改版2006
宿なしジャンの歌 一より九まで イヴァン・ゴル プレス・ビブリオマーヌ 1967。限定本
エッフェル塔の花嫁花婿 コクトー 求龍堂 1979
乳房新抄 ラモン短篇30 ラモン・ゴメス・デ・ラ・セルナ(フランス語版) プレス・ビブリオマーヌ 1970、新編1980。限定本
堀口大學訳 短篇物語 全3冊 書肆山田 1989、横田稔装画
シュペルヴィエル抄 小澤書店 1992。新編
【訳詩集】
昨日の花 仏蘭西近代詩 籾山書店 1918
月下の一群 第一書房 1925、新編1928、白水社 1952。初版復刻・日本近代文学館ほか
文庫判:新潮文庫 1955、講談社文芸文庫 1996、岩波文庫 2013
動物詩集 又の名・オルフエさまのお供の衆 ギイヨオム・アポリネエル 第一書房 1925
空しき花束 訳詩集 第一書房 1926
ヴエルレエヌ詩抄 第一書房 1927、のち「ヴェルレエヌ詩集」新潮文庫 ほか
アポリネエル詩抄 第一書房 1928、のち「アポリネール詩集」新潮文庫
グウルモン詩抄 第一書房 1928、のち「グウルモン詩集」新潮文庫、彌生書房
ジャン・コクトオ詩抄 第一書房 1929、のち「コクトー詩集」新潮文庫 ほか
青白赤 訳詩集 第一書房 1930
キユピドの箙 抒情訳詩集 太白社 1930
ポオルフオル詩抄 第一書房 1934
酔ひどれ船 アルチュウル・ラムボオ 日本限定版倶楽部 1934、「ランボー詩集」新潮文庫 ほか
シュペルヴィエル詩抄 版画荘 1936、のち「シュペルヴィエル詩集」新潮文庫、彌生書房
馬来乙女の歌へる イヴァン・ゴル(フランス語版) 版画荘 1937、昭森社 1955、プレス・ビブリオマーヌ 1967。各・限定版
果樹園 ライナア・マリア・リルケ 青磁社 1942 のち角川文庫
檳榔樹 訳詩集 青磁社 1943
悪の華詩抄 シャルル・ボオドレェル 操書房 1947
悪の華 ボードレール 白水社 1951 のち新潮文庫、改版2002
ボオドレエル詩集 講談社 1949 のち新潮文庫
ランボオ詩集 新潮社 1949
フランス詩集 創藝社近代文庫 1951
ジャム詩集 新潮文庫 1951
コクトオ詩集 アンリ・パリソ編 創元社 1951
訳詩集 海軟風 新潮社 1954
詩集幽明抄 コクトー 昭森社 1968。限定本
鴛鴦集 イヴァン・ゴル/クレール・ゴル 詩抄 白凰社 1969。
恋愛 箴言集 ポール・レオトー プレス・ビブリオマーヌ 1971
アポリネール遺稿詩篇 昭森社 1972
デスノス詩集 彌生書房 1978。限定版も刊
堀口大學訳詩集 「現代詩文庫1020」思潮社 1980、新書版
【回想・伝記】
『想い出の堀口大學 別冊かまくら春秋』(かまくら春秋社、1987年)。多数の関係者による回想
堀口すみれ子『虹の館 父・堀口大學の想い出』(かまくら春秋社、1987年、再版1992年)
『父の形見草 堀口大學と私』(文化出版局、1991年)[11] 写真多数
関容子 『日本の鶯 堀口大學聞書き』 角川書店、1980年→講談社文庫、1984年→岩波現代文庫、2010年
松本和男 『詩人堀口大學』(白凰社、1996年)
工藤美代子 『黄昏の詩人 堀口大學とその父のこと』(マガジンハウス、2001年)
長谷川郁夫 『堀口大學 詩は一生の長い道』(河出書房新社、2009年)
晩年の担当者で、回想を交え前半生を描く大著の伝記。21世紀初頭から『季刊 三田文學』に断続的に連載。
佐藤正二『詩人堀口大學のライフ・ストーリー』新潟日報事業出版、2020年。ISBN 978-4861327520
大村梓『異国情緒としての堀口大學』青弓社、2023年。研究