のほほんとしててもいいですか

ソプラノ歌手 佐藤容子のブログです。よろしくお願いいたします!

かぐや姫

2009-10-25 | 『コンサート』


秦野マンドリンクラブ第20回記念演奏会にゲスト出演させていただき、ミュージカルファンタジー服部正作曲『かぐや姫』を歌いました。

反省点はありますが、収穫の多い舞台でした。

合唱で舞台に立った高校生たちからも元気をいっぱいもらいました。

共演したたくさんの方々との交流も楽しかったです。

秦野マンドリンクラブ様のますますのご発展を願います。

わたしも課題を得たので、また歌の修行にでようかと模索中です。


大開拓をしようと思いますので、がんばります!









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創作;ときどき南向き

2009-10-18 | 『創作・短いお話』
今回はちょっとおとなっぽいのを書いてみました(笑)

絵は、影絵っぽいのを意識して描いてみました

南の島に行きたくなって、この次のも南の島を舞台に書いてます(無事書き終れたら載せますね








南の島には、よく来る。

日頃、都会の無機質なビルに囲まれていると、週末にもなれば酸欠になった。

荷物と言う荷物も持たずに身軽に飛び出す南国は、いつもとても爽快だった。

島に着いたらまず海に出て、ただ寝転ぶ。

頭の中を真っ白にして。

ずっとずっと繰り返される波の音だけ、脳内を通過させた。


本島から目と鼻の先のこの小さな島は、しょっちゅう来ていたし、話しかけてはこないものの、ホテルのスタッフもお馴染みをもてなす笑顔を見せた。

わたしも、いつも快適に過ごせた。

島にはカップルも多く見られたけど、私はいつも一人だった。

同じ職場で働く男性達は、丸の内らしくという事なのか、仕事も女性の扱いも、それなりにスマートな人が多かった。

交流していて、特別嫌になることもない代わりに、その逆もなかった。

敬遠しているわけではなかったけど、特別な恋人を持たずに何年も経っていた。

それが今回、この島に来て、恋でも始まりそうな気持ちになっている自分に、正直ドキマギしていた。


私は南の島で始まる恋なんか、信用していない。

大したことない男性だとしても、美しい景観と解放的な空気が、最低5割増にする。

スキー場での出会いもそうだけど、東京に戻って、会った時の冴えない感じは否めない。

ところが、今回ばかりはそんな自分の考えさえ否定しようとする自分がいた。


それはこうだ―

昨日、1日浜辺で過ごし、さすがに日も暮れだした頃、急に空腹を感じてホテルにあるチャイニーズに向かった。

この店はニューヨークに本店があるよく知られた店で、私はこの店自慢の新鮮な魚介が好きだった。

店の入口に向かって歩いていると、不意に男性に声をかけられた。



「あの、落ちましたよ…」

「あっ…」


私が落としたのは、昼間、海で一部が欠けてしまった髪留め用のバレッタだった。

壊れていたから、髪から落ちてしまったのだ。

私は気恥ずかしさも手伝って、少し粗雑に受け取ってしまった。

すると、その男性は私のそんな態度を咎める風でもなく、柔らかく会釈をすると、一人で店内へと入って行った。


ただそれだけ。

その男性に関する情報はただそれだけなのだが―


もう一度話をしてみたい、自分がいた。

一目惚れ?

そんな言葉には、自分は一番縁遠いはずだ。

その男性のゆとりある物腰が、私のような多少跳ねっ返りの女も受け入れてくれるような期待が生まれていた。

私はちょっとおかしく感じて、笑った。

それこそ、5割増で良く見えてしまったのではないか…。


今日もレストランで見かけられるかな。

今日は、昨日よりドレスアップして出かけたい気持ちになっていた。

ゆっくり暮れる赤い太陽が、昨日よりもどかしく感じた。


おわり


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ヒマラヤの塩

2009-10-14 | 『毎日のこと』



ヒマラヤの塩で作ったのは~





サンドウィッチ!

ちょっと塩メインて感じじゃないね…

でも、このお塩、塩っけが強いけど、まろんとまろやかでおいしす


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創作;宮廷カルタ 1

2009-10-14 | 『創作・短いお話』
7月頃に、今度オペラ歌手が出てくる話を書いてみて、とお題をもらいました。
なかなか手付かずだったけど、書いてみました。
エピソード1、エピソード2、を作りました。
オペラ歌手は1にしかでてきませんが。。
絵は昔のオペラ座をイメージしてみました。








【エピソード1】

10月の、ある水曜日。

宮廷の中は、表面的にはいつもと変わりなかったが、その実、暗鬱として不気味な空気が立ち込めていた。

某国宮廷内において血生臭い殺人事件が起きた。

その殺し方はあまりにも残忍で、書き表すことは難しい。

殺されたのは宮廷に遣える、ソプラノ歌手。

彼女は国王の愛妾でもあった。

名前はマリー。

その美声は常に聴衆を魅了し、別世界へと誘った。

また外見も、正妻の王妃レオノールの存在がかすむほど麗しく、多くの画家たちが、彼女をキャンバスに収めたいと願った。

国王は人目をはばからず、マリーをかわいがった。

レオノールはひどく嫉妬する気持ちはあったが、平静さを保とうとするのが高貴な身分の誇り、と心得ていたので、努めて装った。

人の前で歌を晒すような道化師…。

マリーのことをそう思うようにして、かろうじてプライドを保った。

当然、宮中ですれ違おうと、レオノールからマリーには、「あら」程度でさえ、声をかけられることはなかった。

マリーは、自分の方が若さ、美しさ、実力を備え、国王の気持ちのすべてを得ている自信があったので、そんなレオノールの態度にはなんとも思わなかった。


その数日後、国王の誕生会が催された。

長く在任し、国家をここまで引き揚げた国王の偉業を讃えて、国中が歓喜した。

もちろん夜には、国費の半分はつぎ込んだと言われている、贅を尽くしたオペラ座で、マリーが主演するオペラが催された。

演目は、国王が最も好きなオペラ、という事で、ドニゼッティの「ランメルモールのルチア」と決まっていた。


マリーはいつもに増して艶のある美声で、完璧な技を披露した。

国王もその歌声に、いつも以上に心を揺さぶられた。

隣に座るレオノールは、国王のそんな様子に、いわれもない呪いが沸き上がるのを押さえることができなかった。


やがて舞台は、最大の見せ場である、狂乱の場に差し掛かった。

マリーが演じるルチアは、コロラトゥーラの技術を駆使して、恍惚としたメロディーを響かせていた。


レオノールは不覚にも、その歌に一瞬酔いしれた。

レオノールはその失態に愕然とし、一瞬の酔いは強烈な破壊の気持ちを産んだ。

舞台は上気した熱狂のうちに幕となり、国王は上機嫌でレオノールに言った。

「なんでも良いぞ、なにか願いはないか?」


レオノールは言った。

「とても許すことが出来ない罪人がおります。世界で最も残酷な方法で殺めて下さい。」


国王は一瞬眉間に皺を寄せたが、レオノールのなにか突き動かされた物言いに、しぶしぶ納得した。

もちろんレオノールは、殺す相手が誰であるかは、国王には言わなかった。


マリーは、その晩に、レオノールから好演の祝いを渡したい、と言われ、裏庭へ呼び出された。

裏庭の女を最も残酷な方法で、と命を受けた男達は、その女がマリーであることにひどく驚いたが、国王の命令であるので、従った。

二階からその裏庭の様子を見ていたレオノールは、ひどく晴れやかな気持ちだった。


マリーへ魅力されるという、最も恥ずべき失態を生ませた、元凶。

レオノールは、この晩、笑いが止まらなかった。


そのようにして、世にも恐ろしい殺人事件が起きたのだった。


しかし、この数日後、レオノールも自殺している。


なぜか。

レオノールは、自分の脳髄を魅力した、世にも美しいマリーの声が鳴り続けるのを、止めることができなかった。


レオノールは初めて知った。


実在しなくても、人の心を揺さぶり続けることができる物の存在を…。


その事実は、むごたらしいマリーの遺体より、不気味であり、同時に神々しかった。


(おわり )


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創作;宮廷カルタ 2

2009-10-14 | 『創作・短いお話』
【エピソード2】

彼女は、名前を聞けば知らない人は皆無、と言っていいほど、歴史的に名の通った女帝だ。


彼女の美し過ぎる姿は、しばしば月の女神アルテミスに例えられたが、手腕から考えれば軍神と呼ぶにふさわしい。

実は歴史的には闇から闇に葬り去られてしまった話だか、本当のところ、彼女には末っ子として14番目に王女がいた。


その王女は、名をアンヌと言った。

アンヌは14歳の誕生日を迎えたある秋の日に、忽然と姿を消す。

宮廷内では厳しい箝口令が敷かれ、アンヌの名を口にしようものなら、たちまちに投獄された。

そして、宮廷は次第に、アンヌと言う王女が初めから存在しなかったかのように振る舞いだした。

何を隠そう、そのように仕向けたのは、他でもない女帝、その人だった。

そのうちに、もしかしたら女帝自身がアンヌに手をかけたのでは、などと言った、不謹慎な囁きが聞かれるようになった。


そう。

アンヌをひっそりと殺させたのは、母親、女帝だった。

でも、彼女に代わって言い訳をさせてもらえば、殺そうとしたのではなく、結果として「殺」であった、と言いたい。


女帝はアンヌを心から愛していた。

アンヌは14人の麗しい王子王女の中でも、ずば抜けて美しい輝きを放ち、人間とは思えないような瞳の潤いを持っていた。

また、幼少から、国のインテリジェンスと言うような教師達のもと、非常に高い教養を身に付け、他の兄妹をもよせつけなかった。


ではなぜ、と、思うでしょう。

信じられないかもしれないが、アンヌはとても神経質で完璧主義なところがあり、宮廷と言う緊張にさらされ続ける環境の中で、幼くして精神が一部崩壊してしまった。

そして、その発作が起きると、動物の生き血を飲まなくては、正常な状態を保てないという、恐ろしいことになった。

アンヌは7歳のある日に、自分が陥ってしまったその地獄に気づき、初めはなんとかその事実を隠そうと、こっそりと生き血を得ていた。

籠の中の鳥や廷内で飼われている小動物たちが、次第に無惨な姿で見つけられるようになった。

そしてある日、女帝はこの様子を目撃したものの密告により、事実を知ることとなった。

もちろんこの密告者は直に殺された。

驚愕の事態を知ってしまった女帝は、なんとかしてアンヌを救おうと、国中からあらゆる有名な医者を集め、密に治療を進めた。

しかし、さらに追い込まれたアンヌは、良くなるどころか、発作の回数がより一層増した。


仕方なく、女帝は自ら密使を使い、目的を告げずに生き血を集めさせた。


ますます美しさを増して成長するアンヌ、それに反し、毎日繰り広げられるおぞましい光景。

数年経ったその時には、女帝もアンヌ自身も疲弊しきっていた。

そして、美しさも盛りとなった14歳のある日、アンヌは秘密の部屋で用意された生き血を飲み干し発作を落ち着けると、女帝の部屋を訪れた。

二人きりになると、アンヌは言った。

「お母様、私は王家の恥です。誇り高く生まれた身でありながら、体の中に悪魔が住んでいます。いずれ私の話は噂となって拡がるかもしれません。どうしたら救われますか?」


女帝はひどく胸を痛めていた。

自分によく似たこの美しい王女、なのに残酷な現実。

打たれるべき手立てはされ尽くされた。

女帝は決心した。

アンヌを救おうと。

しかし、その救済はあってはならない救済だった。


女帝は言った。

「アンヌ、恥ずべきことはありません。あなたは気高い王女です。今までとなんら変わらずに過ごしなさい。生き血は今まで通り用意させましょう。」

それを聞いたアンヌは、少し安心して退室した。


その夜のことだった。

アンヌは女帝の遣いによって殺され、遺体は闇夜のうちに郊外の森の奥で始末された。

女帝の苦しい決断だった。

しかし女帝が願ったのは、他でもなくアンヌの幸福だった。

幸せのために、断つ。

そう自分に言い聞かせた。


あれから20年の時が経った。

もうアンヌを覚えているものも少なくなった。

女帝は自分が願ったアンヌの幸福が、人生最大の誤った判断ではなかったか、と、いつも心の隅を尖った刃でつつかれているようだった。


女帝は政治的には素晴らしい采配を振るい、国家はヨーロッパでの安定した地位を獲得した。

しかし、愛する者を、自分の愛の中に葬った事実に、その命が無くなるまで、苦しみの奴隷となった。


女帝は言った。

「選択は二つあった。生かすこと、生かさないこと…。でも、その選択の権利は少なくとも私のものではなかった…。」


(おわり)


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