のほほんとしててもいいですか

ソプラノ歌手 佐藤容子のブログです。よろしくお願いいたします!

創作:恋とはどんなものかしら

2007-08-30 | 『創作・短いお話』







Voi che sapete che cosa e amor
Donne,vedete,s'io lo nel cor
Quello chio provo, vi ridiro
E per me nuovo capir nol so…




恋とはどんなものかしら
よく知っている美しいマダム
ぼくの心にこいがあるかどうか見てください
ぼくが感じていることを言いましょう
ぼくにとって初めてのことでこれがなんなのかわかりません
いつもため息をつき うめき 胸が高鳴り なやむ…
  

Mozart 『La Nozze di Figaro』 - 『Voi che sapete』












ホールの中は心地よく冷えてオペラ『フィガロの結婚』も佳境にさしかかっていた










おまちかねのシーンだ










『Voi che sapete …  恋とはどんなものかしら』









舞台の上のケルビーノは少年というには男を感じさせ、男というには十分少年だった








うまく演じるものだ







ケルビーノを歌うのは女性








そう、女性が扮している









ケルビーノは憧れの伯爵夫人に迫る







極めて少年らしく






無邪気ほど残酷な邪気はない











マダム…  ぼくはこんなに胸がくるしい






マダムを目の前にするとどうしようもなくなる











終始ピッツィカートで踊るしずくのように演奏されるヴァイオリン







少年の恋に震える心のようだ











モーツルト、そうとう恋に長けてたな







そんなことさえ頭をかすめる












『フィガロの結婚』は劇作家ボーマルシェの戯曲










伯爵に象徴される上流階級を告発した作品で、当時上演禁止の問題作になった











問題作…??







問題なのは反体制じゃないだろう












恋に垣根がないことだよ








恋もいいね












恋でもするかな





















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創作:アマリリ

2007-08-30 | 『創作・短いお話』







Amarilli,mia bella

non credio del mio cor dolce desio

d'esser tu l'amor mio…




アマリリ  わたしの愛しきものよ

君は信じないのか? 

いみじくも君を慕うわたしの心を…君はわたしの恋人であることを…

わたしの心を開いて 胸の中に書いてあることを見てくれ 

アマリリ

アマリリこそ わが恋人…







caccini 『Amarilli』













日曜午後の池袋は雑然としていた








わたしは彼と雑踏を抜けてコンサートホールの中に吸い込まれていった









マチネのコンサートは時間にゆとりもあるし、けだるい感じがいい









当然だけど彼の並びに腰を下ろす









隣に座っているのにこの会場にいるだれよりも遠く感じるのは気のせいか











近づけば近づくほど自分から遠く離れていくように感じる








そんなことはそうめずらしいことじゃない












イタリアの古典歌曲はとげがない






疲れた心にやさしく染み渡る







5曲目はアマリリだった




カッチーニの名曲




アマリリとはたしかグアリーニの劇の登場する妖精だったか…









時が優しく止る




流れ続ける小川の上で







選ばれた少ない音たちが饒舌に語る







わたしの心のなかをみつめてほしいと









いつのときもそうなのか












人は思いを寄せる人にじぶんの心の中をみつめていてほしいのだ









近ければみつめてくれているかのように錯覚するかもしれない









だけど彼のその目にはもう温度がなかった












ホールを出たら














お別れを言おう…















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創作:白鳥の湖

2007-08-23 | 『創作・短いお話』






白鳥の騎士様。






マリエン橋から見えるノイシュバンシュタイン城は今日も十分勇壮ですよ。

安心してください。





あの日あなた様は湖にお二人で出かれられ、帰らぬ方となられました。





ワーグナーがいつも言っていたあれですね。



そう、救済です…。





死は苦しみのように言われますが、あなた様にとっては救いへの切符そのものでしたでしょう。









あなた様は、あの城の中にいろんな世界を造りました。





「ローエングリン」、「トリスタンとイゾルデ」、「タンホイザー」…







20にもなる前に王となり、いつも亡き父のののしりに耐え、あなた様を本当の王とするのは、その幻想の部屋でしかなかった。







鍾乳洞の洞窟に白鳥を放しましょう… 






白鳥にまたがりましょう…






あなた様は勇壮なお姿で王としての威厳をたたえ、天を仰ぐでしょう。







せっかくの美しいバイエルンのお姫様も、あなた様の前には幻想の部屋以下だった。






女性が愛せないんじゃない、自分が愛せない。







でも、もう、悲しまないでください。





白鳥はまだ、あの城の中の湖で、あなた様を待っております。






まだ。






そして、これからもずっと。












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先日、ダンサーのすみちゃんと話したとき、わたしのお墓がヨーロッパにあるから、なぞを解きにいっておいで、といわれたー。まさかー。でもー。なんだかおもしろーい。っていうか、お墓ってたしか高いんですよね。買えるかどうか…。




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創作:月のワルツ

2007-08-14 | 『創作・短いお話』

≪月のワルツ≫


























【こんなに月が青い夜は、ふしぎなことが起きるよ…】







不思議なことってなんですか…




どんなことですか…








月夜の日には思うんです。

光と影を。




影は光があるから影になるけど、光がなければ影はできない…。







だから、思うんです。

月は罪だと。





憧れは高みに、現実はここにあり、影は肩を落として地に広がる。








でも、いいです、もう。

わたしは、月をもっていますから。




いつからかはわかりません…。




気づいたら月はありました。



たぶん、歌をくちずさんだから、引き寄せられたのかもしれません…。







月は憧れの癖に、楽しそうなものに弱いんです。



だって、月だって、本当は高みにありすぎて、悲しいんですもん。





わたし、すこし、笑っちゃいました。



そして、また、歌うと思います、ワルツを。





いつか、月夜に。










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Click here≪月のワルツ≫を聴いてみてね





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≪月のワルツ≫という曲を教えてもらって、それから、この曲が好きになりました
幻想的な曲です

many thanks 工場長!



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