横浜港北おもちゃ病院の活動記録

ドクターの一人であるYoshi61が代表して記録しています

キューティータートル(数%への挑戦!)

2020-01-25 23:15:59 | 活動の記録

今年、1月11日は菊名地区センターの活動日でした。そこでのちょっと難しくて、ちょっといい話をご紹介します。

このとき持ち込まれたおもちゃは、これ。

金魚、亀、ウサギ、ハムスターなど小さな生き物は子供の人気者。その亀の動きを見事に実現したおもちゃです。本物の亀同様、陸の上でも水の上でも前足と後ろ足を動かして進んでいきます。持ってきた男の子は、このかわいいキューティタートルがもう一度動くことを願って、おもちゃ病院に持ち込んできました。

動くおもちゃは、モータを動力源にしています。水に浸かる動くおもちゃの場合、どうしてもモータの軸から内側に水が入って錆びてしまいます。よく修理に持ち込まれる「お風呂シャワー」というおもちゃは、水の吸い込み口にモータが付いているので、水がモータユニットに入り込み、錆でモータが動かなくなっているケースがほとんどです。

このキューティタートルも同じでした。まずは、甲羅を外してモータを取り出します。

モータは、汎用のマブチモータではなく、もっと小型の物でした。このおもちゃ自体が外国製なので、モータも海外製品なのかもしれません。つまり、モータ交換はできません。モータの内部を見てみると、結構錆びてます!!!

この取り出したロータの状況を見て、直ると思うおもちゃドクターはいないと思います。ここまで錆びているので、修理は無理だと思い、持ち込んだ男の子に話ましたが、「数%でも直る可能性があるなら、やってもらえませんか」と嘆願されました。そこまで頼まれれば、やってみるしかありません。ロータは、見た通りすっかり錆び錆びですが、もう一度組み立てて、外部電源をつないでしみると、指に少し回転しそうなトルクを感じました。真っ暗なトンネルの先に見えたわずかな光明です。

この後、錆びですっかりダメになっているブラシをリン青銅で再生し、分解・組み立てを何回も繰り返しました。のべの修理時間はなんと8時間。ついに復帰しました。ブラシを再生した写真は、上手く撮れなかったので、省略です。使ったリン青銅だけ。

”数%への挑戦”にかける男の子の情熱に打たれ、おもちゃドクターの意地を見せた修理でした。

 

 

 

 


ジャンケンルーレット(2020活動開始!)

2020-01-25 19:52:43 | 活動の記録

今年も横浜港北おもちゃ病院は活動しております。本年もよろしくお願いします。

さて、本日は2020年三回目の活動日。記事が滞っておりました。本日持ち込まれてのは、これ、ジャンケンルーレット。最近では、IR(統合型リゾート)のカジノで世間は騒がしいですが、このおもちゃは関係ありません(当たり前)。

持ち込まれたお客様によると長い間しまっていたそうで、動作しないとのこと。おもちゃドクターの基本動作に従って、電池を確認してみると、電極が腐食しています。原因ははっきりしているので、やることは電極を磨くだけです。

ゴリゴリ、ゴリゴリとリューターで削っていきます。「なかなか、金属の光沢が出ないなぁ、もっと削るか」、「そろそろ、やな感じ」。そうです、表面のサビでは済まず、ポッカリ穴が空いてしまいました。

単二電池の大きな電極なので、交換する手持ちの電極がありません。さて、どうしたものか。穴が空いているけど、周りはまだ使えそうなので、小さな電極を穴の上にハンダ付けすることにしました。

問題は、穴の開いた電極にはサビが残っていることです。ハンダは、錫と鉛の合金なのですが、ハンダコテで溶かして、銅やリン青銅の金属の表面に流し込むと、境界面が合金になります。これが”ハンダがのった”状態です。このような状態にするには、銅やリン青銅の表面にある、目に見えない酸化膜を除去しなければなりません。一般の糸半田は、断面がマカロニのようになっていて、中心部にペースト(フラックス)が入っています。ハンダを溶かす時、中心部のペーストが銅やリン青銅の表面に流れ出て、酸化膜を溶かすので、きれいにハンダがつくのです。でも、今回の電極は酸化膜どころか目に見える錆も残っています。

そこで、ステンレスをハンダ付けする際に使用するフラックスを使いました。こいつは強力です。さらにワット数の高いハンダコテを使い、電極の温度もしっかり上げてハンダ付けを行いました。

 

今回は、ぷちハンダ付け講座となりました。