今年、1月11日は菊名地区センターの活動日でした。そこでのちょっと難しくて、ちょっといい話をご紹介します。
このとき持ち込まれたおもちゃは、これ。
金魚、亀、ウサギ、ハムスターなど小さな生き物は子供の人気者。その亀の動きを見事に実現したおもちゃです。本物の亀同様、陸の上でも水の上でも前足と後ろ足を動かして進んでいきます。持ってきた男の子は、このかわいいキューティタートルがもう一度動くことを願って、おもちゃ病院に持ち込んできました。
動くおもちゃは、モータを動力源にしています。水に浸かる動くおもちゃの場合、どうしてもモータの軸から内側に水が入って錆びてしまいます。よく修理に持ち込まれる「お風呂シャワー」というおもちゃは、水の吸い込み口にモータが付いているので、水がモータユニットに入り込み、錆でモータが動かなくなっているケースがほとんどです。
このキューティタートルも同じでした。まずは、甲羅を外してモータを取り出します。
モータは、汎用のマブチモータではなく、もっと小型の物でした。このおもちゃ自体が外国製なので、モータも海外製品なのかもしれません。つまり、モータ交換はできません。モータの内部を見てみると、結構錆びてます!!!
この取り出したロータの状況を見て、直ると思うおもちゃドクターはいないと思います。ここまで錆びているので、修理は無理だと思い、持ち込んだ男の子に話ましたが、「数%でも直る可能性があるなら、やってもらえませんか」と嘆願されました。そこまで頼まれれば、やってみるしかありません。ロータは、見た通りすっかり錆び錆びですが、もう一度組み立てて、外部電源をつないでしみると、指に少し回転しそうなトルクを感じました。真っ暗なトンネルの先に見えたわずかな光明です。
この後、錆びですっかりダメになっているブラシをリン青銅で再生し、分解・組み立てを何回も繰り返しました。のべの修理時間はなんと8時間。ついに復帰しました。ブラシを再生した写真は、上手く撮れなかったので、省略です。使ったリン青銅だけ。
”数%への挑戦”にかける男の子の情熱に打たれ、おもちゃドクターの意地を見せた修理でした。