横浜港北おもちゃ病院の活動記録

ドクターの一人であるYoshi61が代表して記録しています

ポリプロピレンの溶着(歩く犬のぬいぐるみ骨折)

2017-07-11 23:38:38 | ノウハウ集
7月8日の菊名おもちゃ病院の修理ノウハウをもう一つ。

子供たちは、動物が大好き。スイッチを入れると、歩き出し、時々吠える犬のぬいぐるみは、子供に人気のおもちゃです。


大好きだから、動いている犬を抱きしめてしめてしまうのでしょうか。おもちゃ病院にやってくる犬のぬいぐるみは、足の骨折が大半です。私たちおもちゃドクターにも、犬専門の名医(?)がいます。今回は、その名医のノウハウをご紹介します。

まず、骨折した犬の状況を確認したら、ぬいぐるみの毛皮(?)を剥がします。ここは、子供がびっくりするので、見せないほうがいいこともあります。電池ボックスのところから剥がし始めるのですが、ドライヤーで十分に加熱すると、剥がすことがきます。


ゆっくりど毛皮を剥くと、ポリプロピレン製の骨格が表れてきます。そうです、このおもちゃの修理の難しいところは、通常の接着剤が利用できないポリプロピレン製だからです。今回の犬もやはり、ポリプロピレン製の足が骨折していました。


接着剤は使えないので、まずは骨折したとこを瞬間接着剤で仮止めしたあと、30W程度の低温のハンダコテで接着面を焦がさず、溶かして接着します。温度が高すぎると、足の部品が溶けてしまうので、注意が必要です。この時、金属溶接の溶接棒のように、◯◯ド◯◯ドのコーヒーマドラーを使います。マドラーを少し溶かし、ポリプロピレンと練りこみながら、接着面を盛り上げるように強化していきます。◯◯ド◯◯ドさん、目的外使用でごめんなさい。


溶着した足はこんな感じ。


どうです。うまくいったでしょう。

さあ、元気に歩いて、吠えて、子供たちを喜ばせてね。

ゆるいピニオンギヤの修理(空飛ぶバズ・ライトイヤー)

2017-07-10 22:24:22 | ノウハウ集
今回は、珍しいおもちゃがやってきました。

なんと、発泡スチロール製のバズ・ライトイヤーでした。リモコンに単三電池が4本入っていて、バズの背中にあるモータユニットに電線で電力を供給する仕組みです。リモコンのグリップを握ると、2つの回転翼が周り、バズは飛び上がります。修理後に、飛んでいる写真撮影に調整したのですが、うまく撮れませんでしたので、静態写真です。


故障状況としては、モータは回転するが飛びあがらなくなってしまったとのこと。中身を開けなければなりませんが、なんせ、発泡スチロール製のボディ、接着されてます(泣)。持ち込んだお父さんに、カッターで切るしかありませんが、どうしますかと相談し、このままでは遊べないので、お願いしますとのこと。カッターの歯を新しくし、切れ味の良い状態でボディを切っていきますと、モーターユニットが現れます。


このモータユニット、よくできていて、2つの回転翼は連結され、回転方向が反対になっています。リモコンのグリップを握ると、いい音でモータが回転しています。なぜ飛ばないのか。ゆっくり観察して見ました。回転翼が反対なのではないか、回転翼の変形ではないか、モータユニットのギヤがどこか当たっていないかなど。よく見ると、モータのピニオンギヤがユニットに干渉しそうなことに気がつきました。そうです、ピニオンギヤが緩んでいたのでした。


このピニオンギヤ、とても小さく、手持ちのギヤにはありません。しかし、モーターのシャフトとピニオンギヤはゆるゆるです。瞬間接着剤も考えましたが、衝撃に弱いので、遊んでいるうちに、また緩んでしまうでしょう。さて、どうしたものか(悩み)。すると、隣のドクターが良い修理方法を伝授してくれました。リード線をバラし、細い銅線を取り出したら、それをピニオンギヤの穴に入れておき、ピニオンシャフトを圧入するとのこと。これなら、ピニオンギヤは、ピニオンシャフトにきつく固定されます。イメージと実物の写真は、こんな感じ。



なかなか思いつかない良いアイディアを教わりました。いつも交換しているピニオンギヤのサイズでも利用できる方法です。あとは組み上げ、発布スチロールが溶けないように専用の接着剤で、ボディを固定し、完成です。リモコンのグリップを握ると、元気よく、バズが飛び上がりました。よかった、よかった。