横浜港北おもちゃ病院の活動記録

ドクターの一人であるYoshi61が代表して記録しています

電池を入れるおもちゃの修理いろは(子供カラオケなど)

2020-12-18 17:01:08 | 活動の記録
今回は12月12日に開催した綱島地区センターの活動記録をご紹介します。

コロナ渦で予約のみのおもちゃ修理をしているのですが、この日も結構たくさんありました。この日の修理で特徴的なのは、電池で動作するおもちゃが多かったこと。電池を入れるおもちゃは、様々な曲が流れる電子ピアノやモーターで動くラジコンなどたくさんあります。どれも、故障でおもちゃ病院に持ち込まれれば、1)最初に電池の確認、次に2)電池ボックスから基板への配線やスピーカの確認、3)最後にICやトランジスタが実装された基板の配線の損傷などを確認します。今回の活動では、どれもありましたので順にご紹介します。

1)電池の確認(アンパンマンのクレーンゲームとラジコン)
持ち込まれたおもちゃは、アンパンマンのクレーンゲームでした。スティックを動かすとクレーンは前後左右に動くのですが、動きが変とのこと。これは、電池が消耗していると当たりをつけ、電池を電池チェッカーで確認すると、案の定、電池は使えない状況でした。テスターで測ると、大きく電圧が下がっているわけではありませんでした。

通常の電池は、1.5Vですが消耗してくると出力電圧が下がってきます。テスターの電圧計で電池の電圧を測定し、やや下がったかなぐらいの電池でも、モータを使ったおもちゃなどに入れると動かないことがあります。今回がそのパターンです。
テスターの電圧計は、内部抵抗が大きく、ほぼ電流を流さない状態で電池電圧を測定します。実際のおもちゃに、消耗した電池を入れると、モータを回すためにで、大きな電流が流れ、テスターで確認した電圧から大きく下がってしまうのです。ということで、電池の確認は、負荷をかけて測定のできる電池チェッカーか、テスターの電池測定モードが簡便です。お客様には電池を交換していただくことを伝えることで、修理(電池確認?)は完了です。

全く違うおもちゃですが、ラジコンの修理も持ち込まれました。前輪は操作できるけど、後輪は全く動かないとのこと。

6本もある電池をテスターで確認すると、どれも少し電圧が下がっています。そこで、6本の電池をラジコン本体に入れ、合計約8V近くに下がっている電圧をテスターで見ながら、前進・後進をやってみると、一気に電圧が下がることがわかりました。これは、モータが固着していて、消耗した電池が一生懸命電流を流そうとして、大きく電圧降下している状況です。

ということで、モータユニットを開けると、可哀想なモーターが。。。 メーカは防水仕様のラジコンと言ってますが、やはり水は入るので、錆びてしまったようです。修理としては、モータを交換するしかありません。

モーターを交換し、新品の電池では、問題なく動きましたが、先程のお客様の電池では動きませんでした。電池交換とできるだけ、水が入らないように遊んでもらうようにお願いして、修理完了。

2)配線の確認(ハロウィンのおもちゃ)
次のおもちゃは、クリスマスシーズンに持ち込まれたハロウィンのおもちゃです。部屋に張ったヒモの間を行ったり来たりする、おもちゃというよりハロウィン飾りでしょうか。

持ち込まれたとき、症状をお聞きして、電池ボックスを開けてみたとこと、断線しているのは驚きませんでしたが、電極がないことにはびっくり!

この手のおもちゃは、電池の入れ替え時に、リード線が引っ張られて断線することが多いです。今回のように、電極そのものが無くなってしまうのは珍しいです。修理としては、手持ちの電極を入れ、断線を直して完成です。もうクリスマス時期ですから、来年のハロウィンで使ってね。

3)基板の確認(子供カラオケ)
最後の電池を入れるおもちゃ修理は、子供カラオケです。10個のボタンで曲を選び、マイクを持って歌えます。

故障状況としては、10個のボタンのうち、いくつか反応しないとのこと。シリコンゴムのスイッチボタン(裏側が導電性となっている)を押すと、基板にあるスイッチのパターン部分をショートさせて、曲がなるのですが、そのパターン部分が汚れているか、酸化していているのではないかと想定しました。中を開け、基板をみてみると、なんだか白い汚れが。。。
多分、おもちゃに水(飲み物?)をかけてしまい、基板に入ってしまったのではないでしょうか。まず、スイッチのパターン部分を清掃し、ピンセットでショートしてみました。残念ながら、3つは反応しませんでした。7つは音楽はなっていますので、ミュージックICは壊れていないはずです。白い汚れによるリーク電流を疑い、基板を清掃することにしました。純度の高いアルコールを歯ブラシにつけ、ゴシゴシと清掃してみました。

何度か清掃するうちに、どのボタンも曲が鳴るようになりました。

電池を入れるおもちゃの修理は、手持ちのノウハウもたくさんあるのですが、どれも一発で治ることはないです。故障箇所が見えない(電子回路なので当たり前ですが)ので、皆で相談し、テスター を駆使して、なんとかたどり着く感じです。これもおもちゃ修理の醍醐味です。