横浜港北おもちゃ病院の活動記録

ドクターの一人であるYoshi61が代表して記録しています

プラレール(車軸の摩耗)

2019-07-28 19:28:41 | 活動の記録
プラレールで面白い修理をしたのでご紹介します。

プラレールは、子供達の人気者、必ずと言っていいほどおもちゃ病院に持ち込まれます。プラレールは、新幹線などの実際の電車から機関車トーマスまで様々なものがあるのですが、内部のモーターとギヤユニットもたくさんの種類があります。

今回持ち込まれたプラレールは、これ。総武線です。


故障状況は、平らなところなら動くけど、坂道は登らないとのこと。確かに、スイッチを入れて回り出す車輪に負荷をかけてみると、進まなくなります。モータの軸についているピニオンギヤでも滑っているのかなと思い、中を開けてみると、いわゆるモーターユニットが無いタイプでした。よくある動力ユニットは、モータとギヤが一体化されたものですが、この総武線は、車体にギヤを並べてあります。車体自体がギヤボックスになっているわけです。


モータのピニオンギヤは問題ないし、各ギヤの噛み合わせも問題なさそうです。ピンセットで、各ギヤを少しずつ動かしてみても問題は見つかりません。途方に暮れて、しばらく眺めていると、「それ直したことがあるよ」と経験豊富なおもちゃドクターからのアドバイスを頂きました。そのドクターによると、ギヤの車軸を抑えている車体がわずかながら摩耗しているはずだというのです。どれどれと、目を凝らして車体を見てみると、確かに車軸の当たっているところがわずかに摩耗しています(赤い丸)。


拡大してみると、確かに摩耗して凹んでいました。


結局、車軸の当たる3箇所がわずかながらに摩耗しており、ギヤボックスとしては、各ギヤの車軸がずれるため、負荷がかかるとギヤの噛み合わせがはずれてしまうのでした。そうとわかれば、プラリペアで摩耗した部分を少し盛り上げて修理完了です。

プラレールは、ピニオンギヤ、断線が多いのですが、このような故障もあるのでした。


フライホイール で動くパトカー

2019-07-27 23:31:33 | 活動の記録
こんなに暑いのに、まだ梅雨明け宣言が出ていません。
今年の夏は雨、雨、雨でした。雨によって被災された方に心からお見舞い申しあげます。

さて、予約のお客様を待っていると最初に持ち込まれたのは、本地区センターのおもちゃでした。時折、おもちゃ病院を開催している地区センターのおもちゃを直すことも結構あります。

持ち込まれたのは、フライホイール で動くパトカーでした。電池を使うのですが、ヘッドライト点滅とサイレンが鳴るだけで、動力用のモータはありません。車をゆっくり押し続けて、手を離すとフライホイール の効果で前へ進んでいく、シンプルなおもちゃです。フライホイール は、日本語ではずみ車、昔からおもちゃの動力に使われているのですが、エネルギーを機械的に保存する優れた仕組みです。最近のハイブリッド自動車は、ブレーキを掛けると発電機を回し、バッテリーにエネルギーを保存するのですが、同じようにフライホイール にエネルギーを保存することもできます。一時期、F1でも使われました。

どんなおもちゃかというと・・・すみません写真を撮り忘れました。この写真は、amazonや楽天で売られている最新型なのですが、ほとんど同じです。


これが押しても動かないという故障とのこと。フライホイール ユニットを分解してみると、


シャフトを動かしているギヤが空回りしているのでした。そうとわかれば、簡単簡単と、この方法で修理します。


しかし、組み上げようとすると、フライホイール ユニットを支えるボディの爪が折れてます。確かに、フライホイール を使うためには、おもちゃを床に押し付けて押すのですから、壊れるのよくわかります。ここは、接着剤では無理なので、ねじ止めしました。


そして、組み上げてみると。やっぱり、動かない。あれ。こんなに簡単な仕組みなのに、なぜだー。

よく見てみると、前輪のシャフトを支える穴が大きくなっており、タイヤがボディに干渉しているのでした。床に押し付けて遊ぶおもちゃなので、摩耗でシャフトの穴が大きくなったのでした。この修理は写真を撮りませんでしたが、シャフトを抑える部品を作って、修理完了し、地区センタへお返ししました。

個人のおもちゃと違って、摩耗や損傷が激しい地区センターらしい故障修理でした。