横浜港北おもちゃ病院の活動記録

ドクターの一人であるYoshi61が代表して記録しています

メロディICの修理(クリスタルイヤホンチェッカー)

2016-05-29 20:57:44 | ノウハウ集
電子音が出るおもちゃには、メロディICが入っています。このIC自体の故障は少ないものですが、ICの出力を増幅しているトランジスタが壊れているケースは時々あります。

例えば、数曲の音楽を鳴らすことのできるメロディICの出力をトランジスタで増幅し、スピーカから音楽を流す電子ピアノのようなおもちゃの場合、トランジスタが故障すると、音が出なくなります。この場合、クリスタルイヤホンを使った便利ツールを使うと、メロディICの出力に音楽の出ていることを確認できます。

この便利ツールを紹介します。市販のクリスタルイヤホンの入力に、チップコンデンサを入れて、直流成分をカットするようにしてあるのがミソです。クリスタルイヤホンは、もともとインピーダンスも非常に高く、コンデンサで直流をカットしてあるので、電子回路のどこにつないでも問題ありません。黒いリードをGNDにあて、赤いリードをメロディICの足に順番にあてていきます。メロディICの出力となっている足にふれれば、イヤホンから音楽が聞こえるはずです。逆に言えば、どの足からも音楽が聞こえなければ、メロディICの故障となります。


テスター、ハンダこて、工具類とあわせて持つ、おもちゃドクターの秘密兵器です。


スピーカの故障判断(テスターによる断線チェック)

2016-05-29 20:46:04 | ノウハウ集
私たちおもちゃ病院のドクターは、豊富な経験によって多くのノウハウを持って、おもちゃ修理にあたっています。
自分たち用に、ノウハウ集を作っているのですが、活動の記録では書ききれないノウハウを少しずつ紹介していこうと思います。

音が鳴らない故障の原因は、スピーカの故障であることが多いのですが、その診断方法です。

テスターの抵抗計を使って、スピーカの断線チェックができます。スピーカーは、細い銅線を磁石のまわりにたくさん巻いているだけですから、長い銅線といっしょです。おもちゃのスピーカは、落としたりする衝撃で、この細い動線が切れることがあります。この場合、スピーカを交換するのですが、断線しているかどうか、つまりスピーカの故障かどうかは、テスターの抵抗計でわかるわけです。スピーカーは、8Ωのインピーダンス(純粋な8Ωの抵抗ではない)ですから、完全な短絡とはなりません。断線(高抵抗)かどうかを確認します。

木製プラレール

2016-05-29 20:13:47 | 過去の記録
おもちゃ病院の記録を書き始めましたが、過去蓄えていた記事があることを思い出しました。
過去の記録というカテゴリーにして、こっちも少しずつアップしていこうと思います。
今回は、2012年の1月の記録です。

プラレールは、ポピュラーで長く親しまれているおもちゃですが、同じように木製のレールをつなげて遊ぶおもちゃもあります。今回持ち込まれたのは、踏み切りと旋回橋の故障(というか、どちらも踏み切りの遮断機がなくなってしまった)でした。それにしても旋回橋なんて、天の橋立にしかない、珍しい橋がおもちゃになっているとは!



さて、木製の材料を集めて、遮断機をつくるしかありません。踏み切りの遮断機は割り箸を使うことにしました。木工ボンドで割をくっつけて、“割れない箸”にして使います。旋回橋の遮断機は台もありません。丸い棒から遮断機の溝をつくる工作になりました。こう書くと簡単なようですが、溝の幅や深さを作る作業は根気が要ります。



でも、どうです。どちらの遮断機もすばらしいできばえです。ちなみに、赤とオレンジの色はマジック、白は修正液ですよ。

アンパンマンのレジスター

2016-05-28 23:43:48 | 活動の記録
今日は篠原地区センターでおもちゃ病院でした。ドクターは全部で12名も参加しているのに、朝からおもちゃ修理の依頼が全くなく、閑古鳥状態。たまにこんなこともあります。何もせず、お昼になってしまいそうのところへ、やっと故障したおもちゃがやってきました。
本物のスーパーのように、お買い物ごっこができるあんぱんまんのレジスターです。買った商品をバーコードリーダーでチェックすると、値段が表示されていき、(子供銀行の?)お金を受け取ってレジにしまうことができるのですが、音がならないとのこと。さあ、待ちに待ったおもちゃ修理の始まりです。


まずは、基本の電池確認から。テスターで、電池の電圧を測ってみると、OKです。電池はOKだし、音はでないけどレジスターの液晶は表示されています。つまり、ICは問題なく動いているわけですから、スピーカの故障だろうと想定して、中をあけることにしました。ケースをあけると、スピーカが見えてきました。おもちゃのスピーカは、おもちゃを落下させたりして衝撃を加えると断線して故障することがあります。この場合、テスターで導通を確認すれば、スピーカの確認ができます。測ってみると、なんとスピーカは問題ありません。なんで鳴らないのだろう。さて。困った。


次に、本体とビニール線(銅線)で接続されているバーコードリーダが怪しいと睨みました。子供が触るものであり、中の銅線が断線かショートしているかもしれないと思ったのです。ICにつながっている訳ですから、断線かショートによりICの動作不良が起きて、音が鳴らないのかもと考えた訳です。しかしながら、これも問題なし。むむ、結構難しいぞ。今度は、ICが載っている基盤を確認する事にしました。ハンダ付け不良が起きているかもしれません。ハンダこてで 部品の足のハンダを加熱して、ハンダ付けのやり直しです。でも、ならないないぁ。


ここで、おもちゃ病院の新兵器を使ってみる事にしました。このクリスタルイヤホンは、コンデンサをつけてあるので、基盤の色々なところを触っても直流分をカットし、交流分である音楽や電子音のみ、取り出す事ができます。ICが載っている基盤で、スピーカが接続されているところを触ってみると、クリスタルイヤホンに、音が流れてきました。ICも基盤も問題ないわけです。スピーカも基盤も問題ないわけですから、基盤とスピーカをつないでいるビニール線が断線している事がわかりました。わかってしまえば、簡単な故障修理ですが、なかなか頭を悩ませてくれました。修理後、音のでるレジスターを持ってきた、お父さん、大変うれしそうでした。