横浜港北おもちゃ病院の活動記録

ドクターの一人であるYoshi61が代表して記録しています

パパのプラレール(篠原地区センター)

2024-10-27 21:15:31 | 活動の記録

10月26日(土)は横浜市の篠原地区センターで活動しました。この日、たくさんきたおもちゃの中から、3つのおもちゃ修理を紹介します。

 

1)古いプラレール

この日、パパがお子さんと一緒にやってきて、自分の使っていた古いプラレールを直して欲しいと数台持ってきました。プラレールは長い歴史を持つおもちゃなので、おもちゃ病院では定番(?)の一つです。プラレールの線路の幅は変わっていませんので、電池を入れて走る電車や機関車は外側だけが違うように見えますが、中のモータユニットやスイッチなどは常に改良が加えられ、最新の電車と昔の電車では中身が同じではありません。

故障で一番多いのが、車軸やモータについているピニオンギヤが割れているケースです。これは古いプラレールでも新しいプラレールでもありますね。

ピニオンギヤはモジュールと言ってサイズが規格化されているので、ギヤの歯数さえ合えば、車軸やモータ軸の直径に合わせてピニオンギヤの穴の大きさをドリルで補正すれば交換できます。

それ以外では、電極の腐食、古いモータの内部固着、汚れ、車輪ゴムの劣化など様々です。特に古いプラレールでは、車輪のゴムが経年劣化で加水分解を起こし、切れたりベタベタになっていることが多いです。また、固着したモータは、新品に交換する前に、ディクリーザを吹いて内部を清掃すれば復活することもありますし、モータの中を開けて電極のブラシを清掃・補正することもあります。1台の電車で、故障も一つではなく、複数のことも多いです。つまり、古いプラレールの修理はおもちゃドクターの知恵の見せ所といったところでしょうか。

この日の古いプラレールは、参加したドクター皆の知恵を使って全て修理できました(やった!)。

 

2)歩くぬいぐるみ(ペット)

これもおもちゃ病院では定番の一つです。

イワヤというメーカの犬や猫のぬいぐるみがよくやってくるのですが、後ろ足の骨折が多いです。この日の子猫も右後ろ足でした。足は接着剤の付かないポリプロピレン製ですので、骨折箇所を針金で補強し、その針金がずれないように糸を巻き、糸を接着剤で固定します。

専門ドクターが治した足は丈夫ですよ(自慢!)。直った子猫は、はじめトコトコとゆっくり歩き、ひと鳴きしたあと、ダッシュします(動画はこちら)。可愛い猫の仕草をよく出していますね。

 

3)「鬼滅の刃」の刀

男の子が喜ぶ、刀のおもちゃです。てっきり仮面ライダーかなと思ったら。人気アニメ「鬼滅の刃」の刀でした。この刀、柄(つか)に刺す刀身を変えることができます。

柄にボタンがあり、押すと「鬼滅の刃」の決めセリフが流れます。また、刺す刀身によってセリフが変わります。故障内容は全く音が出ないとのこと。刀ですから、子供同士でチャンバラをやって、その衝撃で配線が断線したか、スピーカー故障と想定して中を調べてみました。想定に反して、故障原因は電池ボックス内の電極腐食でした。これは、リューターで研磨して修理完了。使ってみると、迫力ある決めセリフがなりました(動画はこちら)。

 


回してくるくるサウンド(綱島地区センター)

2024-10-13 19:12:44 | 活動の記録

10月12日(土)は横浜市の綱島地区センターで活動しました。

この日の修理紹介は、「まわしてクルクルサウンド」という赤ちゃん向けのおもちゃです。ローヤルというメーカが製造しています。正常なら赤ちゃんがボタンを押したり、ローラを回すと可愛い音がなります。故障状況としては、全く音が出ないとのこと。

電池を確認してOKなので、中の配線が断線しているか、スピーカーの故障と推定しました。早速、中を開けて電池ボックスから電子基板の電圧を測ってみると、スイッチをONにしても電圧がかかっていません。あれれ、断線でもスピーカー故障でもありません。いろいろ調べていると、スイッチの前までは電圧がかかっているのに、オンにしたスイッチから電圧が出ていません。つまり、スイッチの故障でした。

スイッチは一般的な3端子のスライドスイッチで、真ん中と右側を使っていました。よく考えてみれば、左側は使っていないので、繋ぎ変えてみると、見事に音が鳴ります。

うまく行ったと思ったのですが、スイッチがONとOFFが逆になってしまいました。これは、スイッチ自体を取り外して、180度反転して取り付ければ、OKです。スイッチの部品代もかからず、修理完了! ボタンやローラなどを触ってみると、楽しい音が鳴りました(動画はこちら)。

 

もうひとつ、修理に苦労したおもちゃをご紹介。

人気映画アニメのトイストーリーの主人公、ウッディー人形です。映画のおもちゃと同じで、背中の紐を引くと、いろいろおしゃべりします。

故障状況としては、紐が切れてしまったとのこと。窓のブラインド等に使われている紐がひっぱり強度が強く、この手の修理に最適です。早速、ウッディーの本体をあけ、紐を交換します。

紐が巻ばねで巻き取られる時、ローラが回転子をまわして、電気的な接触をする度に、異なるセリフを話します。紐が切れた際、いくつかの電極が変形しており、どうやって元に戻すのか悩みました。

写真では下から上に電圧が渡っていき、上の回転子が回って、固定の電極に接触する構造です。紐まきローラに渡電極をつけるのがわからず、いくつかのおもちゃ病院で修理ログが出ているので参考にさせてもらいました。紐を引っ張るリングもないので、結線バンドで代用しました。

修理を待っていたお客さん、トイストーリの大ファンらしく、ウッディーだけでなく、女の子のジェシーも持っていました。治ったウッディーのキメセリフ「俺のブーツにゃガラガラへび!」を聞いて喜んでくれました。

よかった。よかった。