横浜港北おもちゃ病院の活動記録

ドクターの一人であるYoshi61が代表して記録しています

回してくるくるサウンド(綱島地区センター)

2024-10-13 19:12:44 | 活動の記録

10月12日(土)は横浜市の綱島地区センターで活動しました。

この日の修理紹介は、「まわしてクルクルサウンド」という赤ちゃん向けのおもちゃです。ローヤルというメーカが製造しています。正常なら赤ちゃんがボタンを押したり、ローラを回すと可愛い音がなります。故障状況としては、全く音が出ないとのこと。

電池を確認してOKなので、中の配線が断線しているか、スピーカーの故障と推定しました。早速、中を開けて電池ボックスから電子基板の電圧を測ってみると、スイッチをONにしても電圧がかかっていません。あれれ、断線でもスピーカー故障でもありません。いろいろ調べていると、スイッチの前までは電圧がかかっているのに、オンにしたスイッチから電圧が出ていません。つまり、スイッチの故障でした。

スイッチは一般的な3端子のスライドスイッチで、真ん中と右側を使っていました。よく考えてみれば、左側は使っていないので、繋ぎ変えてみると、見事に音が鳴ります。

うまく行ったと思ったのですが、スイッチがONとOFFが逆になってしまいました。これは、スイッチ自体を取り外して、180度反転して取り付ければ、OKです。スイッチの部品代もかからず、修理完了! ボタンやローラなどを触ってみると、楽しい音が鳴りました(動画はこちら)。

 

もうひとつ、修理に苦労したおもちゃをご紹介。

人気映画アニメのトイストーリーの主人公、ウッディー人形です。映画のおもちゃと同じで、背中の紐を引くと、いろいろおしゃべりします。

故障状況としては、紐が切れてしまったとのこと。窓のブラインド等に使われている紐がひっぱり強度が強く、この手の修理に最適です。早速、ウッディーの本体をあけ、紐を交換します。

紐が巻ばねで巻き取られる時、ローラが回転子をまわして、電気的な接触をする度に、異なるセリフを話します。紐が切れた際、いくつかの電極が変形しており、どうやって元に戻すのか悩みました。

写真では下から上に電圧が渡っていき、上の回転子が回って、固定の電極に接触する構造です。紐まきローラに渡電極をつけるのがわからず、いくつかのおもちゃ病院で修理ログが出ているので参考にさせてもらいました。紐を引っ張るリングもないので、結線バンドで代用しました。

修理を待っていたお客さん、トイストーリの大ファンらしく、ウッディーだけでなく、女の子のジェシーも持っていました。治ったウッディーのキメセリフ「俺のブーツにゃガラガラへび!」を聞いて喜んでくれました。

よかった。よかった。

 

 

 

 

 


ピタゴラスイッチのおもちゃ(篠原地区センター)

2024-09-28 12:31:21 | 活動の記録

本日、9/28は横浜市港北区の篠原地区センターで活動しました。コロナ対策も終了し、修理の様子も見学できます。試行錯誤の修理なので、時間のある方はどうぞ。

ご紹介するのは、NHK Eテレで人気のピタゴラスイッチのおもちゃです。ピタゴラスイッチは身近なモノを使ってからくりを作り、球をゴールまで転がします。見るたび、からくりに感動します。

持ち込まれたピタゴラのおもちゃはこれ。

小さなケースの中で、

①ボールが転がる、②落ちる、③はねかえる、④ふみつける、⑤ひっぱられる、⑥このストッパーが外れる、⑦はたがとびだす、⑧ここのスイッチが押される

とピタゴラスイッチのカラクリが楽しめます。故障内容は旗があがらず、最後のピタゴラスイッチの音楽がならないとのこと。早速、中を開けてみました。すると、旗を動かすバネが外れていました。

組み込んでみると、旗は上がりますが最後のピタゴラスイッチの音楽が鳴りません。旗はスイッチに当たっているのですが。そこでスイッチのボタンの後ろに、微小なプラ板をつけてスイッチの感度を上げました。

動かしてみると、ピタゴラスイッチは成功しました(動画はこちら)。ピタゴラスイッチ、楽しいですね。

 

別のおもちゃとして、マリオカートもやってきました。いわゆるラジコンですが、送信側から電波が出ているにも関わらず、車の方は動きません。持ってこられた、パパと坊やが修理を見たいと希望されたので、修理ライブ、始まりです。

まず、電池6本を確認し、本体の中を開けていくと、こんな感じ。

再度、電池を入れて、内側から電池ボックスの電圧を測ってみると、電圧が出てません。よく見ると、奥側の電極が一部腐食しています。これをリュターで削って、電圧を測ってみるとOKです。

ライブ修理は、試行錯誤し、うまくいかずにお待たせすることもあります。うまく治って、喜んだ顔も見られてよかった、よかった。

 

 


1994年製のゴジラ(菊名地区センター)

2024-09-16 16:19:20 | 活動の記録

9月なのに、まだまだ暑い!

今日、9/14は菊名地区センターで活動しました。ここは隔月開催のせいか、持ち込まれるおもちゃが多いです。この日もたくさんのおもちゃがやって来ました。

そのうちの一つは、なんと1994年製、つまり30年前のゴジラでした。

昨年、「ゴジラ −1.0」という映画がヒットしましたが、生誕70年でした。このおもちゃは、昭和から始まったゴジラシリーズの第二弾、平成シリーズが始まった時のおもちゃのようです。足の裏に、1994年東宝と書いてあります。

故障は、電池を入れても動かないし、鳴き(吠える?)もしないとのこと。中を開けてみるしかありませんが、体は柔らかいゴム製で、いくつかのゴムパーツが接着されています。無理に剥がすと、30年前のゴムでもあり、破れてしまいそうです。ゴムに影響しないディクリーザーを接着部分につけ、ゆっくり剥がすことにしました。

中を開けてみると、モータユニット内のピニオンギヤが2つ、割れていました。一般的にモータの軸につけるピニオンギヤは、8歯や10歯が多いのですが、このゴジラは、珍しい9歯のピニオンギヤでした。しかし、ピニオンギヤを取り換えても、うまく動きません。何度もモータユニットを開けては組み立てているうちに、ある平ギヤの位置がずれていることがわかりました。これを直して、スイッチを入れると、ゆっくりと歩き、肩のランプが点滅します。前を睨みながら、ゆっくり歩くさまは迫力満点!30年ぶりのゴジラの勇姿です(動画はこちら)。

 

もう一つ、小さなラジコンカーもやってきました。

遊んでいたら、こんな部品が外れたのだけど、どこの部品かわからないとのこと。

うーん、どこの部品かと思って眺めていると、前輪の中間に嵌りそうな穴があります。これは、前輪の左右バランスを調整する部品なのでした。

中を開け、前輪のモーターユニットを外し、この部品をはめてみるとピッタリ。

走らせてみると、左右も前後もうまく動きました。

他には、シャボン玉鉄砲、何箇所も骨折した犬のぬいぐるみ、子供用デジカメ(直らなかった、残念)などたくさんのおもちゃと楽しく格闘した活動日でした。

 

 

 

 


トランスフォーマー戦車ほか(篠原地区センター)

2024-08-25 21:56:34 | 活動の記録

暑い日が続きますね。そして、夕方はゲリラ豪雨と稲光。今年の日本は亜熱帯になってしまいました。おもちゃ病院に集合するおもちゃドクターも汗、汗の出勤(?)です。さて、8月24日(土)は篠原地区センターで活動しました。この日、たくさん来たのがプラレール。そして、ロボットのおもちゃも2セットやってきました。

まずは、珍しいトランスフォーマー戦車をご紹介。

どうです、このロボット。とても何から変身したのかわかりませんよね。実は、戦車が変身してロボットになります。

この変身がスムーズに動かないという故障でした。確かに、戦車からロボットに変身しようする時、キーキーと摩擦音がします。この摩擦音を解決すれば良さそうです。中を開けてみると、モータユニットがクランクを回し、ラックギヤを前後に動かしています。これが変身の動力でした。

でも、どこが摩擦音を出しているか、わかりません。何度も分解・組立を繰り返し、ラックギヤとボディ下部の部分が音を出しているのを見つけました。ここをグリスアップして修理完了!結構迫力ある音(戦車というより、怪獣かな)を出しながら、動き回ります(動画はこちら)。左回りばかりするので、車輪を見たら、2つのうち1つの車輪は一部が欠けていました。これはUV樹脂を盛って補修しました。また、失くしてしまったという電池ボックスの蓋はABSの板で代替品を作成しました。

 

次は2台セットで、子供達が対戦して遊ぶ、ラジコンロボットです。赤のロボットと、青のロボットがあるのですが、赤のロボットがうまく動かないとのこと。

このラジコンロボット、足を動かして前後できますし、前後している時、手も動きます(というより、左右の連打パンチかな)。

中をどんどん開けてみます。

なんとモータユニットは一つで、足も手も一緒に動かしていたのでした。モータユニットも開けてみると、モータについているピニオンギヤが割れていました。また、割れたことによって、位置もズレてしまい、やっとやっと平ギヤにかかっているだけでした。

このピニオンギヤ、モジュール0.5の規格品ですが、厚さがすごく薄いです。手持ちの8枚歯ギヤとピッチが合うことを確認し、ピニオンギヤをスライスして、交換しました。手も足もうまく動くようになりました(動画はこちら)。左右の連打パンチ、いい感じですよね。さあ、青のロボットとボクシングしてもらいましょうか。

 

最後にたくさん直したプラレール。そのうちに一つは、持ってきたお父さんが使っていた年代物でしょうか。

中の電極はサビサビです。特にモータユニットに組み込まれている電極はリューターでサビを落とすどころでなく、外すとバラバラ。りん青銅板から代替品を作ってみました。

組み込んでみると、こんな感じ。

しっかり走るようになりました。プラレール君へ、親子二台への奉公、お疲れ様です。もう少し、頑張ってね。

 

 

 


クレーンゲームの修理(師岡コミュニティハウス)

2024-08-14 18:41:26 | 活動の記録

暑い日が続きますね。8月10日はトレッサ横浜の中にある、師岡コミュニティハウスで活動しました。

この日、10件近いおもちゃを修理しました。ちょっと難しかったのが、このクレーンゲーム。

ゲームセンターにあるUFOキャッチャーとか呼ばれているものと同じです。レバーが3つあり、X軸(左右)、Y軸(手前から奥)、Z軸(バケットの上下)にクレーンを操作できます。故障状況はクレーンのバケットがうまく上げ下げできないとのこと。やってみると、確かにX軸、Y軸は問題なく動きますが、Z軸はチェーンが途中で止まってしまいます。クレーンゲームは、3軸それぞれにモーターユニットがあり、精密に組み合わさってます。Z軸のモータユニットだけ分解することはできず、全部バラしてみないとなりません。覚悟を決めて、分解開始です。

まず、天井を外してモータユニットを取り出します。

次にZ軸のモーターユニットが出てくるまで分解していきます。

ここでZ軸のレバーを操作して、どこかが空回りしているのか確認してみました。モータの軸についているウォームギヤが空回りしていると思いましたが、問題ありません。チェーンを引き上げて途中まで行くと、モーターは回っていますが、チェーンは引き上がりません。プーリーも問題なし。なぜだろう???

モーターユニットを分解してみると、いくつかのギヤで減速していますが、変わった二段平ギヤがあることに気がつきました。小さな平ギヤと大きな平ギヤの間に、茶色の薄い布があります。これは、負荷がかかるとスリップするクラッチ付きの二段平ギヤなのでした。モータユニットの中は白いシリコングリスでベタベタですが、このクラッチ部分にもシリコングリスが入り込み、早めにクラッチ動作が始まっていることがわかりました。

修理としては、バネを押し下げ、アルコールでクラッチ部分を清掃しました。原因は対処できましたが、クレーンゲームの難しいところは、組み上げが厄介なことです。案の定、バケットがうまく開いて景品を掴み、上下するまでには何回も組み立て・分解を繰り返しました。それでも、修理したクレーンゲームを取りに来た母子が喜んでくれたので、ホッとしました。

他のおもちゃとしては、タッチして音や音楽が鳴るおもちゃは、中のスピーカー配線が断瀬していました。

また、子供の乗る自動車は、ハンドル部分に3つのボタンがあり、それぞれ音が鳴るのですが、二つがならないとのこと。一つは鳴るので、スピーカーはOKなはず。調べてみると、ボタン下にあるマイクロスイッチが壊れていました。

どのおもちゃも治って、子供たちのところへ帰ってよかったです。