沖縄の日常

日々変わり行く沖縄と自然とつれづれなるままに

「ベトナム戦記」:石川文洋著

2010年01月26日 | 日々のこと

 この「ベトナム戦記」は私が知りたかったベトナム戦争のことがすべて書かれていた。 

 いつかベトナム戦争について調べてみたいと思っていた。 その理由は、私には忘れられない一枚の写真があったから。

 鮮烈な衝撃を覚えた写真。目をそむけてしまいたい写真。そして「ごめんなさい」と詫びたい写真が。

 石川文洋氏がベトナム戦争に従軍した報道写真家ということを知っていた。なので、もしかしたら彼が、あの写真を撮ったのではと、彼の報道写真を見かける度に本をめくったりしていた。 

 が、その写真は「フィン・コン・ウト」が撮ったものだった。(当時はニックという愛称で呼ばれたAP通信社のサイゴン支局の見習いカメラマンだった:1972年「戦争の恐怖」)

 私は1972年15歳。ベトナム戦争が激しかった時、1967年~75年当時、私は小学校の高学年から中学という多感な時だった。毎日耳をつんざくような黒い翼と呼ばれたB52は、沖縄から爆撃弾を乗せてベトナムへ飛び立って行った。戦争を加担しているようないやな気持だった。雑誌や新聞は、ベトナムの悲惨な現状を伝えるのに、どうして止めないの?どうして大人の社会は矛盾しているの?と思った。

 被爆した家から命からがら逃げ出してきた少女は自分と同じ年頃であった。あの写真は心が痛んだ。沖縄にいる自分が、戦争に加担しているようで、沖縄から逃げ出したいと思った。

 戦争は善良な市民を変える。戦争は悲惨で人間が人間ではなくなるということを、私たちの子どもに伝えて行かなくてはならないと思う。

 ベトナムに従軍した文洋さんはどこかで開高さんと接点がないかなと思っていた私は、本のまえがきやあとがきにも見逃さないようにしていたが、果たして私の予想は的中した。 

 石川文洋氏の「ベトナム戦記」文庫本の分厚い背表紙には、なんと私の大好きな開高健氏のコメントがあった。私は石川文洋さんのファンになった。

 ネットはありがたい。調べてみると(あの少女は今、カナダで母となって生活しているそうです)幸せがたくさんありますように。

 


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