名将会ブログ (旧 名南将棋大会ブログ)

名古屋で将棋大会を開いています。
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大山将棋研究(364); 四間飛車に引き角棒銀(左美濃)

2016-12-10 | 大山将棋研究
昭和52年7月、関根茂先生と第10回連盟杯争奪戦です。


大山先生の四間飛車に関根先生は36歩が早かったのですが天守閣美濃。

66歩と突くのは古い指し方で、後に66銀と固める指し方が流行りました。

結局引き角棒銀に。大山先生がこれに苦戦している感じなので先手でも採用したのでしょう。

先手番の分だけ手が早く、35歩から動きます。

3筋の位を取り

46角と据えて角のラインで攻めます。でもここは銀冠にするほうが手堅いです。角のにらみで82の玉をどうしますか?と聞いたほうが良いわけです。

大山先生は55歩、65桂と捨てて銀を出る。

66歩と打たせれば満足でしょう。55歩は45桂から56歩が嫌なので、関根先生としては仕方ないです。

守りの桂を交換したのに右側に打つのでは効率が悪く、疑問手です。

成桂を作っても後続がなく

玉頭の厚みを生かして大山先生が有利です。7筋で歩を合わせて

金を出たら8筋も

角が出てきました。

あとは7筋を合わせておいて(取りにくい)端に手をつけ

桂を使って端を攻めます。

関根先生は角を追って勝負

ですが大山先生は角を捨てて67金から99歩成

飛車をとって、58同金には86銀か。

関根先生は84桂から迫りますが

上部を抑えられて投了図。


大山先生の快勝譜、関根先生は筋の悪い攻め方になってしまいました。後手をもって玉頭戦の戦い方を学べると思います。

#KIF version=2.0 encoding=Shift_JIS
# ---- Kifu for Windows V7 V7.23 棋譜ファイル ----
手合割:平手  
先手:関根茂8段
後手:大山棋聖
手数----指手--
1 7六歩(77)
2 3四歩(33)
3 2六歩(27)
4 4四歩(43)
5 4八銀(39)
6 3二銀(31)
7 5六歩(57)
8 4三銀(32)
9 6八玉(59)
10 4二飛(82)
11 7八玉(68)
12 6二玉(51)
13 5八金(49)
14 7二玉(62)
15 3六歩(37)
16 8二玉(72)
17 9六歩(97)
18 9四歩(93)
19 8六歩(87)
20 5二金(41)
21 8七玉(78)
22 7二銀(71)
23 7八銀(79)
24 6四歩(63)
25 2五歩(26)
26 3三角(22)
27 6六歩(67)
28 6三金(52)
29 6七金(58)
30 7四歩(73)
31 7九角(88)
32 2二飛(42)
33 7七桂(89)
34 7三桂(81)
35 3七銀(48)
36 8四歩(83)
37 3五歩(36)
38 5一角(33)
39 3六銀(37)
40 5四歩(53)
41 3四歩(35)
42 同 銀(43)
43 3五歩打
44 4三銀(34)
45 4六角(79)
46 6二角(51)
47 6五歩(66)
48 5五歩(54)
49 同 角(46)
50 6五桂(73)
51 同 桂(77)
52 5四銀(43)
53 3七角(55)
54 6五銀(54)
55 6六歩打
56 5四銀(65)
57 2四歩(25)
58 同 歩(23)
59 3四桂打
60 2三飛(22)
61 4二桂成(34)
62 7三金(63)
63 5五歩(56)
64 6三銀(54)
65 4六歩(47)
66 2二飛(23)
67 4一成桂(42)
68 7五歩(74)
69 同 歩(76)
70 7四歩打
71 同 歩(75)
72 同 金(73)
73 7六歩打
74 8五歩(84)
75 同 歩(86)
76 8四歩打
77 同 歩(85)
78 8六歩打
79 同 玉(87)
80 8五歩打
81 8七玉(86)
82 8四角(62)
83 4五歩(46)
84 7五歩打
85 8八玉(87)
86 9五歩(94)
87 5四歩(55)
88 2三飛(22)
89 5八飛(28)
90 6二金(61)
91 9五歩(96)
92 7六歩(75)
93 同 金(67)
94 8六桂打
95 8七銀(78)
96 9八歩打
97 7五歩打
98 同 金(74)
99 同 金(76)
100 同 角(84)
101 7六金打
102 6七金打
103 7五金(76)
104 9九歩成(98)
105 5六角打
106 9八桂成(86)
107 同 銀(87)
108 同 と(99)
109 同 玉(88)
110 5八金(67)
111 7四桂打
112 同 銀(63)
113 6四角(37)
114 7一玉(82)
115 7四金(75)
116 8六香打
117 8七歩打
118 9六銀打
119 投了
まで118手で後手の勝ち
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20161210今日の一手<その430>; 相手が穴熊だと違った感覚が求められる

2016-12-10 | 今日の一手
20161210今日の一手

11月の東海団体リーグから、私の将棋です。形勢判断と次の一手を考えてください。



一昨日の一手の回答

77桂と跳ねるちょっと変わった角換わりなのですが、大学生のころ開発して、時々思い出したように指しています。85の歩を取って73の角を82に引かせたところです。
☆ 形勢判断をします。
先手の1歩得です。後手に持ち歩がないのでカウントします。少し駒得ですね。
玉の堅さは後手のほうが堅いです。
先手の攻め駒は85桂は数えないで46角1枚。
後手の攻め駒はありません。

総合すれば互角です。

☆ 大局観として
1歩得ですが駒得で持久戦という方針でというわけにはいきにくい、それは得した筋の歩を突きだしていくのが本筋なのですが、85の桂が邪魔をしているからです。こういう状態を桂馬の高跳び歩の餌食というわけです。後手が1歩持てば84歩で死にます。
では85桂は悪手かといえばそうでもなく、(角は84にかわすのだと思っていたのですが)後手は1歩手に入れるのが簡単ではないからです。73桂とぶつけて桂馬の交換くらいになるものだと思っていました。でも後手には65歩で戦闘開始できますね。対局中はその筋がすっぽり読みぬけていたのですが、本来は怖い筋ではありません。
でも後手玉は穴熊なのです。相居飛車の穴熊は堅いというよりは遠いのです。穴熊を攻める筋には困らないことが多いのですが、一方的に攻められると受けにくいことが多いので、攻め筋を作っておくことが大事です。先攻しておくか、少し駒をもらった時に軽く反撃しておくか、がいいのでしょう。受けきりを狙って勝つのは(受けきれれば楽しいですが)大変です。


△ 69銀の筋もあるので58の金を寄せたいのですが、68金右65歩

というのは疑問手ではないけれど、やや思わしくない展開でしょう。角交換になると角を打たれる隙が多くなります。玉の堅さの差があり、85桂も負担です。(これが嫌だったので右金を動かしにくく、手に困って85桂と跳ねたということもあります。でも実戦と比べて得になる変化もあります。)


△ 実戦では77銀と上がって

自然な手で悪くないと思っていたのです。(75歩同歩72飛に備えたという意味もあります。)
65歩に少し驚き、82角成同飛64角

85飛91角成73角同馬同桂86香

これで飛車を殺せます。だから悪いということもないのですが、66歩85香同桂66銀65歩

自然に駒を取って、ここで思わしくないことに気が付きました。後手の攻め駒は4枚以上、受けなければいけないところなので駒得は意味がありません。以下は81飛から桂を取って受けるのですが、形勢は回復しませんでした。

途中飛車を取ったのが悪く、64角

としておけばまあまあでした。

また、最初の64角を急がずに86歩

もありました。これで64角を狙い、後手は右金が寄っているのでその角を防ぐには64角しかなくて47金

として、64角が窮屈です。66歩は怖いですが、65歩55角同銀同銀56歩

でどうにか受かっています。これなら少し良かった、という感想戦をしました。


△ 最初に86歩でもよく

65歩82角成同飛64角

は反撃が1手速いですね。

後手としては73桂

で桂馬を交換するか(こちらから取るか取らせるかがわからない)

75歩同歩72飛

とするか。(この後でやりますが15歩が有力)
どちらも先手が悪くはありません。


○ 検討していてなかなか思い浮かばなかったのですが、15歩

はこの図を見るとすぐに好手だとわかる手です。1歩持ったので端を攻められます。
15同歩に25桂と跳ねておきます。

これで65歩なら82角成同飛13歩同桂同桂成同銀

15香14歩46角85飛14香同銀13歩

というような強引な攻めでも成立しそうです。後手の応手もいろいろあるのですが角交換の筋は怖くないです。

84歩で攻めてみろというほうが嫌なのですが、13歩

13同銀とする人もいないでしょうから(83銀もあるし)、13同桂は15香25桂13歩

でいいですね。

13同香に

同桂成同銀同角成同桂15香

後手が2歩持っていれば14歩同香12歩なのですが、1歩しかないので受けにくいです。22玉14歩12歩83香

という筋もあります。攻め駒3枚ですが穴熊なので端は急所です。

15歩の時にすぐに65歩は

実戦と同じように82角成同飛64角85飛91角成73角同馬同桂で46角

これで端を狙えばいいでしょう。


× 35歩同歩15歩同歩25桂

と3筋も絡めるのもないことはないですが、端が攻めにくくなっているので3筋を攻めるほうが狙いで、後手の金銀3枚が利いている地点ですから難しいです。


× 他には47金で

角交換に備えたものですが、65歩同歩46角同金65銀

と攻められたらつぶれます。

65歩に82角成同飛

この時に86歩は59角があります。64角85飛91角成66歩(73角は利かない)86香

馬が残ったまま飛車を殺せます。でも65飛同銀同銀61飛76銀66飛成

普通ならこれで先手十分なのですが、75銀61竜66桂

上から重く攻められて、寄せ合いにならないので負けます。

他には47金に75歩同歩72飛

と薄くなった7筋をいじられるのも嫌です。


△ 最後は55銀

と元気に攻めてみます。55同銀同角54歩22角成

これは矢倉の形ならやりにくい手ですが、穴熊の銀なので十分指せます。割打ちで薄くして44歩から飛車を使えば勝てそう。

55銀には65歩54銀46角同飛54歩

でしょうか。51銀55角47飛69銀68金右78銀成同金52飛42銀成同飛

長く進めましたが、角と銀を総交換して、互いに割打ちです。先手番なので悪くはないのですが、まだ玉の堅さが劣るのでやや指しにくいか。


問題図の前で考えて、85桂82角15歩で十分指せる、と気が付いたら良かったのですが、15歩がどう見ても本筋です。15歩同歩25桂というのが、1歩渡しただけでかなりの圧力になる(3枚の攻めになる)のです。左の方ばかり見ていました。
相居飛車の穴熊には玉頭に手を付けておくというのは実戦的な心得です。

じっとしているなら77銀か86歩か68金右か。77銀は玉から離れるのであまり良い手ではなかったかもしれません。角打ちの隙は大丈夫だと読んで68金右なら強かったかなあ、と思います。後で必要になりそうなので86歩も十分考えられました。

相手が穴熊だと違った感覚が求められるということはあるのです。少し無理に見えても穴熊を薄くすればよし、ということもあります。駒得で受けているから十分だ、と思っていたら相手の攻め駒が4枚になって受けきれなかった、ということもよくあります。そういう感覚を磨かねばならない時代なのでしょう。









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