名将会ブログ (旧 名南将棋大会ブログ)

名古屋で将棋大会を開いています。
みなさんの棋力向上のための記事を毎日投稿しています。

大山将棋研究(376); 力戦相居飛車

2016-12-22 | 大山将棋研究
昭和52年10月、淡路仁茂先生と第27期王将戦です。淡路先生王将リーグにも入っていたんですね。


淡路先生が1筋の位を取り、さらに84歩。穴熊にしてくださいということだったのでしょう。大山先生は居飛車に。

凸矢倉(銀立矢倉)になりました。

淡路先生は手が遅れているのですが、金を繰り出して攻め味を見せます。

いつでも75金と行ける態勢です。

少し組み合って、大山先生の待ち方が難しくなってしまいました。でも78玉くらいは指したいかなあと思うのですが、端を攻めます。

当然二枚換えになって

63角の筋を見て、86歩が狙いでした。取れば88飛もありそうです。

淡路先生は86歩を横目に玉を移動して52銀打。不倒流らしいですね。玉がいっぺんに固くなりました。

大山先生は8筋の取り込みから突き出しで勝負ですが、もう勝てる形ではなくなってきました。

57香を食らい

飛車を切って銀打。攻め駒3枚ですがかなり受けにくいです。

98角の受けに78歩から87歩と大駒を呼んでから飛車を取ります。

87歩が利いていますね。合駒は58香成から取られるだけです。

79玉で耐えて飛車打ちは詰めろですが、桂を跳ねるのが幸便。

銀を引くのは余計でしたが

詰んでいました。

大山先生は気が付けば作戦負けなんでしょう。2枚換えの筋にいくのは少し辛いです。これも作戦負けの時に自分から動くと早く負ける、という典型です。86歩同歩88飛のつもりだったのでしょう。ということは手順前後で16歩同歩86歩だったか。動く時にはよく読まなければいけません。


#KIF version=2.0 encoding=Shift_JIS
# ---- Kifu for Windows V7 V7.23 棋譜ファイル ----
手合割:平手  
先手:大山棋聖
後手:淡路仁茂5段
手数----指手--
1 7六歩(77)
2 3四歩(33)
3 6六歩(67)
4 1四歩(13)
5 7八銀(79)
6 1五歩(14)
7 5六歩(57)
8 5四歩(53)
9 6七銀(78)
10 8四歩(83)
11 4八銀(39)
12 8五歩(84)
13 7七角(88)
14 6二銀(71)
15 5七銀(48)
16 3二銀(31)
17 7五歩(76)
18 4四歩(43)
19 7六銀(67)
20 4三銀(32)
21 7八金(69)
22 5三銀(62)
23 6九玉(59)
24 5二金(61)
25 5八金(49)
26 6四歩(63)
27 6七金(58)
28 6三金(52)
29 2六歩(27)
30 7四歩(73)
31 同 歩(75)
32 同 金(63)
33 7五歩打
34 8四金(74)
35 2五歩(26)
36 3二金(41)
37 5九角(77)
38 7二飛(82)
39 7七金(78)
40 1三角(22)
41 3六歩(37)
42 3三桂(21)
43 1六歩(17)
44 同 歩(15)
45 同 香(19)
46 5七角成(13)
47 同 金(67)
48 1六香(11)
49 8六歩(87)
50 4二玉(51)
51 1四歩打
52 1二歩打
53 6七金(57)
54 5二銀打
55 8五歩(86)
56 7五金(84)
57 8四歩(85)
58 1九香成(16)
59 3七桂(29)
60 7六金(75)
61 同 金(77)
62 5七香打
63 7七角(59)
64 7六飛(72)
65 同 金(67)
66 6七銀打
67 9八角打
68 7八歩打
69 同 飛(28)
70 8七歩打
71 同 角(98)
72 7八銀成(67)
73 同 玉(69)
74 3八飛打
75 7九玉(78)
76 5八香成(57)
77 7一飛打
78 4五桂(33)
79 同 桂(37)
80 同 歩(44)
81 6五歩(66)
82 6二銀(53)
83 7二飛成(71)
84 6九成香(58)
85 投了
まで84手で後手の勝ち
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

20161222今日の一手(その436): 守りの駒を交換したら打ってしまうほうが手堅い

2016-12-22 | 今日の一手
20161222今日の一手


12月4日の名南将棋大会から、NさんとYさんの対局です。形勢判断と次の一手を考えてください。



一昨日の一手の回答

☆ 形勢判断をします。
駒の損得はありません。
玉の堅さは先手のほうが堅いです。
先手の攻め駒は持ち駒角1枚。
後手の攻め駒は44角1枚。

総合すればやや先手もちです。

☆ 大局観として
後手の陣形が弱いですね。32金42金の形ならしっかりしているのですが。44の角は71角から馬を作る筋に対応して仕方なく打たされたものです。
先手は四間飛車から向い飛車、さらに4筋にまわって、4筋から攻めようとしました。その攻めの継続ができるか、という問題です。
玉の堅さは上回っていますから、駒得にするか、攻め駒を増やすか、でさらに指しやすくなるはずです。
駒得にするなら、ぴったりの手が見えますね。ただし守りの駒ですから見た目より得でもないので、その後の展開に注意しましょう。
攻め駒を増やすなら、今の戦場は4筋ですから、48飛や47金や37桂を使うということになります。でもできれば77銀くらいは攻めに使えないかな?と考えます。
さて、どの手を指したいですか?形勢が少しでも良ければ、自然な手ならほぼよい手になります。


△ 実戦は57金と飛車先を通して、後手は43歩と受けました。

44飛~71角の筋を受けたわけです。45桂75歩33桂成同角

銀桂交換に成功しましたが、65桂があります。(でも多分実戦ではスルーしてこの手順だと思うのですが)44歩76歩43歩成同金右66銀44桂

となって、36桂の筋を狙われ、怪しくなりました。
37銀35歩同歩36歩26銀55歩34銀

という派手な展開になりました。34銀は危険な手で、銀を渡して37銀と打ち込まれ、受け間違えてあっさり終わってしまいました。34銀は怖いので、38金と受けるか、45歩56桂46飛~36飛としておくか、とにかく37の地点を守れるような指し方にすれば悪くないです。

戻って、65桂は食らいたくないので66銀とかわしておくものでしょう。

後手は76歩(あるいは86歩)で、45銀23玉35歩同歩71角

として、玉頭で戦えば先手が有利です。36桂が気になりますが、今は(36同銀同歩として)飛車取りのほうが大きいので大丈夫。


○ 57金は43歩とされてしまうので、黙って45桂のほうが良さそうで

75歩くらいなら33桂成同角45銀として守りの駒を交換したならまた打ってしまうほうが手堅い指し方です。43金右(あるいは23玉)に35歩同歩71角

として35角成の味が良いので先手有利です。駒得が拡大して、玉の堅さに差が付きます。


× 45歩と位を取っても悪くはないのですが53角

という図は48飛が生きていないので、この後の指し方に悩みます。


○ 4筋を攻めたいならば46金もよさそうな手です。

75歩なら45金62角44歩43歩

54金44銀66銀

と左銀も繰り出して55銀を狙います。

46金に75歩は役に立たなかったので62角と先に逃げれば

45金には43金右でそこまで。55歩同歩66銀

と応援を繰り出すほうがいいですね。銀をぶつけて交換できればかなり攻めやすくなります。


△ 66角と合わせると

66同角に同銀86歩45桂

87歩成33桂成同金83歩

という反撃の筋があって、83同飛には61角82飛83銀62飛72角成

はあまり効率は良くないのですが、飛車を取ればわかりやすいです。

戻って33桂成を同桂なら

35歩同歩71角

で馬を作って玉頭を攻めます。

後手は66同角同銀に43歩でしょうか。

71角から馬を作る筋はあっても、86歩からの遅いけれど確実な攻めがあります。また77銀と戻っておいて、それからでしょうか。

あるいは最初の66角に62角とかわすのもよくわかりません。


☆ まとめ
45桂と跳ねて桂と銀の交換になるので、まずはその筋を考えたいところです。このときは桂馬を渡すので36桂の筋(44桂と控えて打つ筋も)に気をつけます。ですから交換したら45銀と打ってしまうのがわかりやすいのです。その後で35歩同歩71角から馬を作って玉頭戦なら先手が指しやすくなります。
守りの駒を交換したら守りに打ってしまうほうが手堅いもので、手持ちにして攻め駒として活用するよりも有効なときもあります。まだ敵玉を寄せられないときなら、囲いを強化しましょう。玉頭戦になるなら攻めにも働きますから一石二鳥です。

守りの桂がいなくなると自玉が薄くなる、と感じたら47の金を少し前に出して(突っ込み過ぎないようにして)77の銀を55に持っていくイメージで指します。後手の角が手持ちだと反撃をくらいやすいのですが、この場合は打ってあるので攻めの目標になります。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする