名将会ブログ (旧 名南将棋大会ブログ)

名古屋で将棋大会を開いています。
みなさんの棋力向上のための記事を毎日投稿しています。

初めて読んだ本

2016-12-20 | 将棋本 断捨離
18日に太陽将棋研究会にお邪魔しました。皆さま楽しい時間を過ごさせていただきありがとうございました。

友人のブログにもありますが、打ちあげ忘年会で初めて読んだ本の話になりました。
Tくんの初めての将棋本は詰め将棋だったとは、感心しました。最初の本の影響ってあるものなんですね。彼は詰将棋作家でもあります。

私の初めての将棋本を思い出せなかったのですが、そういえば分厚い文庫本だったなあ、というヒントでやっと見つけました。
振り飛車で強くなろう―大山名人将棋入門教室
という本でした。文庫本で350ページ、4色カラーくらいで紙が厚いので、分厚い本だったと思います。これは振り飛車側の形だけいろいろな種類が書いてあって、定跡みたいなものもあったかもしれませんが記憶にありません。(火事でなくしてしまったので記憶だけです。)

最初に出会う本の影響というのは大きいかもしれません。これを読んで近所の大人には負けなくなったので、振り飛車ばかりで勝っては申し訳なく思って、逆に居飛車党になりました。
こういう形が良いとか、こういう狙いがあるとか、そういう解説を何度も読んでいたので、形の違いに敏感になったのだろうという気がします。

多分その後居飛車の戦法も覚えようと
初歩の基本戦法 (1960年) (将棋上達全書〈第1〉
を買ってもらったのだと思います。矢倉崩しとか、相掛かり腰掛銀(がっちゃん銀)とか、相振り飛車とか、こういう形になれば攻めつぶせる、という定跡が書いてあったと思います。
それにしても詰め将棋の本を買ったなんてずっと後のことで、社会人になってからでしょう。最初に詰め将棋から入って読みを鍛えるべきだったかという話題でした。

私の場合は変に詰め将棋から始めて、解けなくて挫折しなくてよかったというべきなんでしょう。
読みを得意とする人もいれば、直感を得意とする人もいるので、好みのものを学ぶというのは大事なことだと思います。
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大山将棋研究(374); 中飛車に玉頭位取り

2016-12-20 | 大山将棋研究
昭和52年10月、土佐浩司先生と第16期十段戦です。


土佐先生の中飛車?大山先生が76歩34歩に26歩だったせいなのですが、土佐先生の振り飛車は記憶にありませんが、このころは指していたのですね。奨励会で香落ち上手があるせいかもしれません。

大山先生は玉頭位取りに。

土佐先生は5筋の歩を交換して銀を進出し

向い飛車で飛車をぶつける。

軽く攻める振り飛車です。

37桂を誘って桂頭に手を出し

3筋を狙います。

大山先生が抑え込もうとすれば

どーん。

大山先生は桂得ですが銀が浮いています。57銀と引けば46歩なので金を寄るのは仕方なく

45銀から銀交換になりました。大山先生は角をさばいて

土佐先生は香損でも気持ちよく桂を打ちます。

ここからは大駒の配置をめぐっての細かい応酬です。大山先生としては自玉を固め駒得を生かします。土佐先生も19竜~17角成とゆっくりしたいところなんですが、手数がかかるので実現できず。

4筋に歩を打ちあって、馬を引けば

馬の筋を止めます。

土佐先生は端を詰めるのですがあまり効果がなく、96桂と跳ねる筋を含みに29竜だったのかと思うのです。大山先生の86歩は懐を広げ桂馬を攻める手で

銀を打たせて攻防の香打ち。これで大山先生が有利になりました。

馬を引き金を引いて

がっちり銀を打ちます。

竜と馬が振り替わって、この桂打ちは厳しそうです。

角を打って、大山先生の圧勝かと思いましたが

土佐先生も魅せますね。銀を捨てて同金とは取れず

87同玉に58竜左から69竜。きれいな手順です。

でも馬の利きがあるので金を寄って受かっていました。

投了図。

香1枚取れるか取れないかの差なのですが、それを生かしてしまう大山先生の指し回しがうまいです。居飛車振り飛車どちらを持っても参考になる将棋でしょう。並べる価値があります。

#KIF version=2.0 encoding=Shift_JIS
# ---- Kifu for Windows V7 V7.23 棋譜ファイル ----
手合割:平手  
先手:大山棋聖
後手:土佐浩司4段
手数----指手--
1 7六歩(77)
2 3四歩(33)
3 2六歩(27)
4 4四歩(43)
5 2五歩(26)
6 3三角(22)
7 4八銀(39)
8 4二銀(31)
9 5六歩(57)
10 5二飛(82)
11 6八玉(59)
12 6二玉(51)
13 7八玉(68)
14 7二玉(62)
15 5八金(49)
16 4三銀(42)
17 9六歩(97)
18 9四歩(93)
19 5七銀(48)
20 8二玉(72)
21 6八銀(79)
22 7二銀(71)
23 7五歩(76)
24 5四歩(53)
25 7七銀(68)
26 5五歩(54)
27 同 歩(56)
28 同 飛(52)
29 5六歩打
30 5二飛(55)
31 6六歩(67)
32 5四銀(43)
33 6七金(58)
34 2二飛(52)
35 7六銀(77)
36 6四歩(63)
37 7七角(88)
38 2四歩(23)
39 同 歩(25)
40 同 飛(22)
41 2五歩打
42 2二飛(24)
43 8八玉(78)
44 5二金(41)
45 7八金(69)
46 1四歩(13)
47 3六歩(37)
48 1三桂(21)
49 1六歩(17)
50 4五歩(44)
51 3七桂(29)
52 3五歩(34)
53 2六飛(28)
54 4四角(33)
55 4六歩(47)
56 3二飛(22)
57 4五歩(46)
58 7一角(44)
59 3五歩(36)
60 同 飛(32)
61 4六銀(57)
62 2五飛(35)
63 同 飛(26)
64 同 桂(13)
65 同 桂(37)
66 4九飛打
67 5七金(67)
68 4五銀(54)
69 同 銀(46)
70 同 飛成(49)
71 6五歩(66)
72 2五龍(45)
73 1一角成(77)
74 2二歩打
75 4一飛打
76 8四桂打
77 6七銀(76)
78 2七龍(25)
79 6八銀打
80 3五角(71)
81 4六歩打
82 4三歩打
83 1二馬(11)
84 4四角(35)
85 5五歩(56)
86 2三歩(22)
87 5六金(57)
88 9五歩(94)
89 1三馬(12)
90 9六歩(95)
91 9八歩打
92 2六角(44)
93 8六歩(87)
94 7六銀打
95 7七香打
96 6七銀成(76)
97 同 銀(68)
98 5九角成(26)
99 3五馬(13)
100 5三歩打
101 4五馬(35)
102 3八龍(27)
103 7四歩(75)
104 同 歩(73)
105 5七金(56)
106 6九馬(59)
107 5八銀打
108 5一金(52)
109 6九銀(58)
110 4一金(51)
111 6六桂打
112 9二玉(82)
113 5八銀(67)
114 5九飛打
115 2七角打
116 8七銀打
117 同 玉(88)
118 5八龍(38)
119 同 金(57)
120 9七歩成(96)
121 同 歩(98)
122 6九飛成(59)
123 6八金(78)
124 1九龍(69)
125 7八玉(87)
126 4四歩(43)
127 5六馬(45)
128 投了
まで127手で先手の勝ち

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20161220今日の一手(その435): 長期戦か寄せ合いか

2016-12-20 | 今日の一手
20161220今日の一手

11月26日の名南将棋大会から、MさんとKさんの対局です。形勢判断と次の一手を考えてください。




一昨日の一手の回答

☆ 形勢判断をします。
桂香と金銀歩歩の交換で、と金や(後手の)竜と成香もあります。先手がやや駒得ですが、終盤なので重視しません。
玉の堅さは先手のほうが堅いです。
先手の攻め駒は56飛を数えるかどうかは微妙なところですが、持ち駒だけでも角金銀銀4枚あります。
後手の攻め駒は88竜54香64角と持ち駒桂で4枚です。

総合すれば先手がやや有利です。

終盤で寄せ合いなら、何手で詰めろかを数えるほうが正確ですが、後手玉は広いので数えにくいですね。52銀~41銀不成同玉52金(が取れないとして)31玉42金打22玉31角12玉32金で詰めろ。3手すきか。
先手玉は56香~58香成~49成香で詰めろ。4手すきくらい。持ち駒によっては36桂の筋もあります。
先手の番ですから素直に進めば1手勝ち位になるでしょう。ですから先手有利です。


☆大局観として
終盤なので読むだけ、と思えば大局観は必要ないのですが、現状は飛車取りで、56香~58香成というわかりやすい手があるのでこれに対処する必要があります。寄せ合い1手勝ちとみて斬り込んでいくか、後手の攻め筋を避けて息長く指すか。(先手の駒得なので長期戦もあり得ます。)どちらを考えますか?



× 実戦は46飛と逃げて

46同角同歩58香成

先手の駒得はなくなり、次の49成香が詰めろですから寄せ合いにもできません。飛車をほかの筋に逃げたとしても同じようなものです。このまま後手Tさんの勝ちに終わりました。


△ 54同飛ならどうか。

36桂17玉54銀25銀

後手はななめ駒がないので36桂は指し過ぎのようです。

後手は単に54同銀として

46香98飛59銀

これで難しいです。例えば53角に55歩63銀54銀同銀同歩97角成53角

先手玉が堅いので、後手玉を寄せるだけでよいというのが強みで、入玉されなければ先手が勝ちやすいでしょう。先手もちです。


○ 寄せ合いならセオリーで考えます。すぐに王手は無効、41金を攻めるということになります。52歩成では手がかりが無くなるので52銀です。

今なら後手は52で清算できないので好都合ですね。駒は取られる前が一番働いてるという例です。
56香に41銀不成同玉52銀同銀同歩成同玉54金

後手玉は詰めろになっていませんが、角を取れば攻防の詰めろになりますから58香成の余裕はありません。36桂18玉28飛17玉35銀

として先手玉が詰めろ。でも53銀同角63角42玉53金同玉54金42玉53角

で35の銀を抜いてしまえば勝ちです。

後手が25銀と打って詰めろなら35角

が詰めろ逃れの詰めろなので、これも先手の勝ち。

複雑な終盤ではありますが、後手が34歩を突いていない(鳥刺しだった)のが災いして先手の勝ちのようです。

戻って2回目の52銀では45角

も良さそうな手です。63角成はかなり厳しいので54銀打56角36桂17玉

飛車1本では36桂の筋も怖くはなく、23角成や62金を見て先手が有利です。

なお、さらに戻って41の金を取らずに63銀成

では後手玉が安全なので58香成64成銀49成香

で先手玉が詰めろなので負けです。


× 蛇足ですが62金から入って56香63金58香成

でも同じく先手の負けです。


○ 先ほど45角が有力だという変化がありました。先に45角なら

56香に63角成

58香成に52銀

としてどうか。(前と同じく64馬49成香では負けです。)後手玉は詰めろです。52同金同歩成49成香

これは先手玉が詰めろ、後手玉は詰みません。

戻って52同金に41銀と急ぐしかありません。

銀を取っても逃げても、41銀22玉の形を作って角を取れば詰めろなので先手の勝ちです。

後手は52銀に31金と逃げると

43銀成同玉64馬

ならば詰めろなので、先手が優勢です。(32玉には58金から受けることもできる。)

途中43銀成に22玉なら58金同竜49銀打

36桂には同馬があるので(それで竜を逃げてまだ長いが)先手が有利です。

また、かなり戻って45角56香48金寄

というのは形勢不明です。


△ 48金寄として56香45角

でも同じことで、銀取りを受けさせて56角とします。形勢不明です。飛桂と金銀歩歩の交換なので駒割は互角、まだ長いです。

☆ まとめ
もし秒読みの状態で問題図なら、飛車を逃げられない、54同飛と切って粘りに行くのかな、と考えるかもしれません。それでもまだ先手が駒損ではない(わずかに駒得か)ですし、攻め駒は5枚で(1枚は守りに使うとしても4枚)持ち歩もあるのでまだ指せると思います。

持ち駒は豊富にあるから寄せ合いでどうか、といえば、1手違いです。指し手は寄せのセオリーで考えればよく、52銀から攻めてみれば、結構手が続くとわかるでしょう。

45角は少し遠回りのようですが、45角~63角成~52銀で詰めろなので4手すき(52銀~41銀不成同玉52銀同銀同歩成同玉54金~64金で詰めろ、同じく4手すき)速度は同じです。

この時に後手は56香~58香成~49成香の筋以外に、36桂もあるので話がややこしいのですが、鳥刺し戦法だったために33歩の形が災いして先手が1手勝ちになるようです。(もちろん後手玉が上から攻められにくくなっているというメリットもあります。)

こう書いていると升田先生がアマチュアの待ち駒は汚いという論争に、「76歩と突くのが詰みに役立つ、でも待ち駒になるからだめなのか?」(正確ではありませんが)と言って否定したのを思い出します。小学生のころ待ち駒は汚いといわれて、ひたすら王手をかけたものですが、今はシバリの手筋とか左右挟撃とか、高級な手筋になってだれもそんなことは言いませんね。

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