名将会ブログ (旧 名南将棋大会ブログ)

名古屋で将棋大会を開いています。
みなさんの棋力向上のための記事を毎日投稿しています。

大山将棋研究(384); 石田流穴熊に銀冠

2016-12-30 | 大山将棋研究
昭和52年11月、大内延介先生と第27回NHK杯です。


大内先生の三間飛車穴熊で

大山先生は銀冠です。

大山先生は普通の駒組み、大内先生は石田流から早めに動きます。

大山先生は86角でけん制します。

狙うのは中央から。

42の銀を狙っています。

もう一回合わせたのですがこれが問題で

36歩と合わせられたら64角の予定だったはず。54飛であまりうまくないと思って予定変更でしょう。角をぶつけるなら54歩と打つ前にぶつけるほうが良かったのです。

角交換で打ち込めるのですが と金を作られています。

大内先生は銀を見捨てて寄せを目指します。

銀桂交換で攻めるということになりました。

ここは竜を逃げてもいいと思うのですが、48歩成で飛車の取り合いに。

大内先生の攻め駒が3枚。大山先生は受けきれるか。

銀取りも受けにくそうですが、これを55飛で受けます。

大内先生は横から食らいついて

大山先生の69歩もなるほどというしのぎでした。

でも馬を引かれると受けにくいですね。68桂?苦しそうです。

47歩だったので銀を取られて

攻め駒が4枚大内先生優勢です。大山先生の遠見の角も1回歩で止まって

馬2枚で受けようとするのですが68成桂からの確実な攻めがあります。

端に手をつけ、玉をかわして勝負所を探します。

でも形作りに近いです。

投了図。


大山先生は短い将棋で予定変更がたたって悪くなり、そのまま押し切られました。受けの手筋もいろいろ見られて悪い将棋ではないのですが、後手をもって大内先生の攻め方を学んだほうがいいでしょう。

#KIF version=2.0 encoding=Shift_JIS
# ---- Kifu for Windows V7 V7.23 棋譜ファイル ----
手合割:平手  
先手:大山棋聖
後手:大内延介8段
手数----指手--
1 7六歩(77)
2 3四歩(33)
3 6六歩(67)
4 3五歩(34)
5 5六歩(57)
6 3二飛(82)
7 4八銀(39)
8 4二銀(31)
9 6八玉(59)
10 6二玉(51)
11 7八玉(68)
12 7二玉(62)
13 5八金(49)
14 8二玉(72)
15 9六歩(97)
16 9二香(91)
17 7七角(88)
18 9一玉(82)
19 8八玉(78)
20 8二銀(71)
21 7八銀(79)
22 7一金(61)
23 6七金(58)
24 1四歩(13)
25 8六歩(87)
26 5二金(41)
27 9五歩(96)
28 6二金(52)
29 8七銀(78)
30 7二金(62)
31 7八金(69)
32 6四歩(63)
33 2六歩(27)
34 4四歩(43)
35 2五歩(26)
36 3四飛(32)
37 5七銀(48)
38 1三角(22)
39 2六飛(28)
40 3三桂(21)
41 8五歩(86)
42 2四歩(23)
43 同 歩(25)
44 同 角(13)
45 8六角(77)
46 2五歩打
47 2八飛(26)
48 4五歩(44)
49 5五歩(56)
50 3六歩(35)
51 同 歩(37)
52 同 飛(34)
53 3七歩打
54 3四飛(36)
55 5六銀(57)
56 1三角(24)
57 5四歩(55)
58 同 飛(34)
59 5八飛(28)
60 3四飛(54)
61 5四歩打
62 3六歩打
63 6八角(86)
64 3七歩成(36)
65 1三角成(68)
66 同 香(11)
67 2三角打
68 3六飛(34)
69 4一角成(23)
70 6五歩(64)
71 3七桂(29)
72 同 飛成(36)
73 4二馬(41)
74 6六歩(65)
75 同 金(67)
76 4六歩(45)
77 同 歩(47)
78 3九角打
79 7七銀打
80 7四桂打
81 6七金(66)
82 4七歩打
83 3八歩打
84 4八歩成(47)
85 3七歩(38)
86 5八と(48)
87 7五歩(76)
88 6六歩打
89 7六金(67)
90 5七角成(39)
91 5五飛打
92 4八飛打
93 7四歩(75)
94 6八と(58)
95 同 銀(77)
96 同 馬(57)
97 7七金(76)
98 6七銀打
99 6九歩打
100 4六馬(68)
101 4七歩打
102 5六馬(46)
103 同 飛(55)
104 同 銀成(67)
105 2三角打
106 4五歩打
107 3三馬(42)
108 6七歩成(66)
109 4五角成(23)
110 7八と(67)
111 同 銀(87)
112 6八歩打
113 同 歩(69)
114 5七成銀(56)
115 9四歩(95)
116 6八成銀(57)
117 6六馬(33)
118 5八飛成(48)
119 8七玉(88)
120 7九飛打
121 9三歩成(94)
122 同 桂(81)
123 同 香成(99)
124 同 銀(82)
125 6四桂打
126 7八成銀(68)
127 7二桂成(64)
128 8九飛成(79)
129 7六玉(87)
130 8五龍(89)
131 同 玉(76)
132 8四銀打
133 投了
まで132手で後手の勝ち

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20161230今日の一手(その440): 相手の力を利用する

2016-12-30 | 今日の一手
20161230今日の一手

12月4日の名南将棋大会から、NさんとOさんの対局です。形勢判断と次の一手を考えてください。



一昨日の一手の回答

☆ 形勢判断をします。
駒の損得はありません。
玉の堅さは同程度。42角と53銀も加えると後手のほうが堅いです。
先手の攻め駒は58飛1枚。
後手の攻め駒は73桂1枚。

総合すれば互角です。

☆ 大局観として
先手は四間飛車で66銀の形から中飛車にして、後手は右桂を跳ねたところです。後手のねらいは64歩同歩同銀で、その時に58の飛車が成れないという意味なのでしょう、変わった囲い方をしています。
58飛とまわったのですから、中央で戦いを起こすというのが先手のねらいです。でも66の銀が動くと65桂がカウンターになります。だからどう動くべきか、というより動くべきか待つべきかという選択肢です。

55銀と進撃してうまくいくかどうか。その時には77角58飛37桂と連携して4枚で攻めないと駄目でしょう。このとき後手玉が22ではなくて21であること、65桂で反撃されること、さらには84飛の横利きも考えねばなりません。92香はともかく、後手に遊び駒がないですね。

待っていたらどうか。後手は64歩か75歩か86歩か、歩を突き捨てたり交換したりで84飛73桂53銀42角を使ってきます。今度は先手がカウンターの手段を考える番で、飛車成りとか5筋に歩をたらすとか、65桂に77桂とぶつけるとか、を考えるわけです。この時には後手の53銀や42角が動きだしますから、後手の囲いは金銀3枚で先手の美濃囲いと同等の堅さになります。ですから攻めさせるほうが無難な選択だと考えます。


△ 実戦は45歩と突いて

右桂も攻めに使おうとしました。45同歩に55銀75歩

飛車の横利きで44歩を防がれてしまいました。それでも44歩はあって、44同銀右同銀同銀52飛成

というのは65桂はあっても先手が有利でしょう。

実戦では44歩を見送って75同歩65桂59角54銀左

で決戦です。勢いで54同銀同飛同飛同銀35歩

銀交換飛車交換で終盤戦です。43銀34歩同銀35歩同銀34歩36歩

と進み、33歩成37歩成同銀33角52飛36歩

後手は35の銀も攻め駒に使えそうで4枚の攻め、また後手玉が21で安定しているので、寄せ合いは後手勝ちです。終わってみると左桂が遊んだままというのも気になりますね。この後、後手の65桂は活躍できました。

さて、後手の75歩と飛車の横利きを通したのは(実は)受けになっていなかったはずなので、65桂と跳ねるくらいです。

66角57歩68飛83飛44歩54銀左

くらいの進行でこれからの戦い方次第です。後手の65桂(と89桂の違い)も大きいですが、44歩も拠点になるので良い勝負でしょう。


△ 45歩を突かないで55銀と出ると

65桂には66角57歩68飛83飛77桂

という展開で1局です。45歩同歩としていないので桂交換しやすいです。(後手の46桂がない)

あるいは55銀に54歩とおとなしく打って

66銀64歩同歩同銀には63歩

というのがうまいカウンターです。82飛は利かされですし、86歩に同角

があるのが悩みの種。

といって突き捨てなければ75歩62歩成76歩59角65銀48角

後手の攻撃もさほどの威力はなく、と金も大きいです。


△ 68飛なら65の歩を守れますが

直前に58飛としたところなので2手損です。でも形勢は互角というか実は先手が少し指しやすいです。65桂だけ防いでしまえば何とでもなります。


○ 59角は65桂の当たりを避けた手で

75歩のねらい(同歩には同銀か78飛)があります。後手の手が難しくて、54銀直77桂55歩同銀同銀同飛

なら後手は歩切れです。

戻って77桂に86歩同歩同飛には55歩

76飛にはあわてず56飛で銀を取れそうです。

54銀左なら

銀は死にませんが、56金55歩同金同銀同飛

というのも後手は歩切れで困っています。

もう一回戻って64歩は

64同歩同銀63歩

もう利かされでも82飛しかなくて、75歩65銀74歩同銀75歩63銀64歩同銀74歩

飛車が素通しなので桂頭をいじれば手になっています。


○ 59飛は攻守含みの待機策で

後の65桂~57歩の当たりを避けています。64歩同歩同銀には55銀

とぶつけて指せます。(63歩でもよいのですが)

59飛には86歩同歩88歩

と攻める筋が生じるのですが、97桂95歩同歩同香85桂

でさばけます。

また、86歩には同角

という指し方でも十分です。


○ まとめ

攻めるなら実戦の45歩同歩55銀という筋です。44歩と打つ筋を作れば攻撃手段が広がります。ただし後手に65桂からの反撃があるので難しい中盤です。

黙って55銀では銀を追い返されますが、歩を打たせたなら悪い取引でもありません。後手は42角の筋が通っていないので銀を繰り出してゆっくり(手厚く)攻めるしかないのでカウンターを狙います。
54歩を打たなければ65桂からの戦い。このときは77桂とぶつけてさばく筋を忘れずに。

65桂の筋を避けるあるいは緩和する59角や59飛が(昔の)振り飛車らしい手で、59角は75歩をみせて攻めさせる感じです。59飛は1手待って45歩同歩55銀の含みです。
どちらも振り飛車が十分指せると思います。

このごろは攻める振り飛車が流行りますが、自分から攻めるよりも相手の手に乗ってカウンターを決めるほうが破壊力が高いです。(なんだか明日のジョーを思い出しますが。クロスカウンター!)
少し力をためて待ち、動かないと攻めますよ、と催促する感じです。相手は反撃をわかっていても攻めるしかないというのが理想なのです。
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