名将会ブログ (旧 名南将棋大会ブログ)

名古屋で将棋大会を開いています。
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大山将棋研究(368); 中飛車に袖飛車

2016-12-14 | 大山将棋研究
昭和52年8月、淡路仁茂先生と第16期十段戦です。千日手の指し直し局なのですが、千日手局が載っていません。


大山先生の中飛車に淡路先生は急戦です。

棒銀かと思ったら袖飛車に。これは古い指し方です。

大山先生も玉頭の袖飛車かと思ったら普通に両方のツノ銀を完成。

淡路先生はスムーズに74銀の形を作れるのですが、そこからすぐに攻められるわけでもありません。角筋を止めて陣形整備です。

7筋から小競り合いが始まり

今度は6筋から。

ここで銀交換できないのが73桂と跳ねたからで、対抗型では74銀73桂は好形であるとは言えません。

大山先生は4筋の歩を交換して

86歩を手抜いて46角でけん制します。まあ86同歩は88歩でまずいわけですが。ここで33桂に25桂から交換したのがうまくありませんでした。

7後手に桂を有効に使う筋があって

6筋が危険、というか歩を持てば85歩や88歩もありますね。

大山先生は56桂と合わせてしのぐのですが

4,5筋に位を取られて桂を打ち込まれます。これで淡路先生が有利。

銀桂交換の後は位を拠点にして打ち込む駒を手に入れればよく

大山先生は飛車をさばきますが

本来はこういう銀を食いちぎって攻めるのが調子です。でも自玉が薄すぎて角を逃げるようではどうにもなりません。

反撃で桂を打っても

その桂を使われるありさま。

投了図。

淡路先生の快勝譜、大山先生は疲れていたんですかね。そういえば4連敗です。じっと動かないでいられる淡路先生は手ごわいです。大山先生は一気によくしようと積極的な中盤でしたが、それが裏目に出ました。

#KIF version=2.0 encoding=Shift_JIS
# ---- Kifu for Windows V7 V7.23 棋譜ファイル ----
手合割:平手  
先手:大山棋聖
後手:淡路仁茂5段
手数----指手--
1 7六歩(77)
2 3四歩(33)
3 6六歩(67)
4 8四歩(83)
5 6八銀(79)
6 6二銀(71)
7 5八飛(28)
8 4二玉(51)
9 4八玉(59)
10 3二玉(42)
11 3八玉(48)
12 5二金(61)
13 5六歩(57)
14 5四歩(53)
15 2八玉(38)
16 1四歩(13)
17 1六歩(17)
18 7四歩(73)
19 3八銀(39)
20 8五歩(84)
21 7七角(88)
22 4二銀(31)
23 6七銀(68)
24 5三銀(42)
25 7八金(69)
26 6四歩(63)
27 4六歩(47)
28 4二金(41)
29 3六歩(37)
30 7二飛(82)
31 4七銀(38)
32 7五歩(74)
33 同 歩(76)
34 同 飛(72)
35 7六歩打
36 7二飛(75)
37 3八金(49)
38 6三銀(62)
39 5九飛(58)
40 7四銀(63)
41 3七桂(29)
42 9四歩(93)
43 9八香(99)
44 9五歩(94)
45 2六歩(27)
46 4四歩(43)
47 5五歩(56)
48 同 歩(54)
49 同 飛(59)
50 5四歩打
51 5九飛(55)
52 4三金(52)
53 6八角(77)
54 7五歩打
55 7七金(78)
56 7六歩(75)
57 同 金(77)
58 7五歩打
59 7七金(76)
60 6五歩(64)
61 5六銀(67)
62 7三桂(81)
63 6五歩(66)
64 同 銀(74)
65 6六歩打
66 7四銀(65)
67 4五歩(46)
68 同 歩(44)
69 同 銀(56)
70 4四歩打
71 5六銀(45)
72 8六歩(85)
73 4六角(68)
74 3三桂(21)
75 2五桂(37)
76 同 桂(33)
77 同 歩(26)
78 6四桂打
79 6七銀(56)
80 4五歩(44)
81 3七角(46)
82 7六歩(75)
83 8六金(77)
84 6五歩打
85 5六桂打
86 5五歩(54)
87 6四桂(56)
88 同 銀(53)
89 7六金(86)
90 4六桂打
91 同 銀(47)
92 同 歩(45)
93 同 角(37)
94 6六歩(65)
95 同 金(76)
96 4五歩打
97 3七角(46)
98 6五銀(74)
99 5五金(66)
100 同 銀(64)
101 同 飛(59)
102 同 角(22)
103 同 角(37)
104 4四銀打
105 6四角(55)
106 6九飛打
107 5五桂打
108 同 銀(44)
109 同 角(64)
110 2六桂打
111 2七銀打
112 3八桂成(26)
113 同 銀(27)
114 6七飛成(69)
115 4四歩打
116 同 金(43)
117 投了
まで116手で後手の勝ち

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20161214今日の一手<その432>; 手順前後にあわてない

2016-12-14 | 今日の一手
20161214今日の一手


11月26日の名南将棋大会から、SさんとYさんの対局です。形勢判断と次の一手を考えてください。



一昨日の一手の回答

☆ 形勢判断をします。
銀歩と角の交換で と金を作られています。後手に持ち歩があるのでカウントせず、銀+と金VS角の損得は微妙で、と金が働くかどうかにかかっています。とりあえず損得なしに見ておきます。
玉の堅さは後手のほうが堅いです。
先手の攻め駒は持ち駒角1枚。66銀が攻め駒とは言いにくいです。19香は11香と見合いですから数えないでおきましょうか。
後手の攻め駒は17と と持ち駒銀で2枚。

総合すれば後手が指しやすいです。

☆ 大局観として
すぐに駒得にする手があるか。馬は作れそうですが、もう少し儲かる手がないとはっきりしません。

玉の堅さで劣っています。金銀2枚の穴熊は堅くはないと言っても先手玉も金2枚だけのようなもの(88角66銀は囲いとも言えない)です。固めて待つこともできますが、後手玉よりも堅くするのは大変です。

攻め駒を増やすには、88角や37桂も攻め駒にしたいところなんですが、まずは26飛です。後手から見たら26飛は 17と の近くにあるので捕獲したり飛車取りで駒をさばいたりという目標になります。


△ 一番自然なのは24歩なのですが、少し前のこの(仮想)図で

24歩と突いたら(17歩成は入るとしても)後手は取るしかなかったのでしょう。17歩成26飛24歩33成銀同銀

ということになります。これなら22歩か45桂か55銀か35歩か、どれもまずくはなさそうです。

ところが33成銀17歩成26飛33桂としてしまってから24歩では

取ってもらえません。手順前後だったわけです。24同歩同飛なら楽勝なんですけど。(17と がぼけるので後手の攻め駒が1枚先手の攻め駒が2枚になり、先手が駒得となる。しかも44銀取り。)
実戦では56歩23歩成25歩

25同桂には45桂が桂の跳ね違いの好手になります。よって29飛18と59飛57歩成同銀45桂

44角57桂成62銀

と殴り合いになり、形勢は難しいものの穴熊の玉が遠いので後手が勝ちやすい流れになりました。金銀を打って穴熊を再構築しやすいのです。
(58成桂71銀不成同銀58飛同飛成同金54飛55角打82銀打と進んで)

こういう感じです。形勢はまだ互角だと思うのですが。


○ 24歩は取ってもらえないので待つなら46歩か。

45桂を阻止していますし、37桂をさばく準備になります。この時に後手が26飛を捕獲できるかということになるのですが、15銀29飛18歩49飛19歩成45歩

と4筋で飛車を使えます。53銀なら44歩で43歩成を見ればよく、これは先手よし。

後手は18歩のほうが良さそうですが

24歩16と29飛19歩成49飛

ならばこれも先手が少し良さそうです。飛車を逃げ出せれば と金は怖くなくなります。


× 角を打つ手なら、22角が見えますが32金

なのでこれは悪手。


△ 43角はボケた感じなのですが

34角成狙いです。後手にたいした手がなくて、45桂同桂同銀24歩

24歩はもちろん取ってもらえないのですが、飛車を使えるようになるかどうか。

後手は45桂としないと、18歩34角成となって

54飛には43馬

ですね。飛車を逃げれば75銀で捕獲します。

戻って16と29飛(28飛もある)19歩成同飛42香

は互角か。
他には後手は18歩ではなく32金34角成43銀と打ってしまうとか、変化はいろいろあります。


○ あと検討したいのは12歩

です。18歩なら同香同と16飛

で飛車を使えます。

12歩には多分同香で、21角を打つのが狙いです。

香を取れば26飛が追われにくくなります。14香に43角成なら銀を助けにくいです。

最初に43角と打つよりも(1歩使いましたが)1手速いですし、54飛もないので53銀か53銀打か、どちらにしても先手が十分です。


△ 他には13歩もありそうで

13同香には22角の狙い。でも香取りではないので後手も迷います。たいした手がないような感じですが。


いずれの変化も飛車がさばけるかどうかがポイントで、飛車を と金で追われたら悪くなります。

実戦の24歩は飛車が使えそうでも、手抜いて23歩成に25歩というのが見えるのでまずかったかな?と反省する手です。本譜は59飛と隠居させられたものの、後手が5筋を攻めてきたので良い勝負にはなりました。
46歩は後で49飛~45歩が含みになるので案外いい手でした。
後は馬を作る手で、後手の攻めをけん制してから24歩~23歩成を間に合わせようとしています。


ということで探せば手があるもので、「手順前後をしてしまった、どうしよう?」というときにも連続で疑問手を指さないことが大切です。私も長らく対振り飛車で24歩を突き捨て忘れた、入っていれば有利なのに、ということが多かったのですが、そういえばこの頃はあまり感じませんね。改善されたと思っておきましょう。

スポーツの世界などではイメージトレーニングが効果があるとわかってきていまして、アスリートには浸透しています。将棋にももちろん効果があります。
その時には

33成銀と角を取ってしまうのが悪手だった。というのでは悪いイメージを再現して学習してしまいます。
24歩と突き捨てるべきだ。

とこの図を何度も思い浮かべることです。よいイメージを再現学習することが効果があるようです。
実戦を反省するときについ悪手を思い浮かべてしまうのですが、そうではなくて指せなかった好手を頭の中で(もちろん盤に並べてもよい)なんども繰り返すほうがいいのです。
スランプの原因はこういうところにあるのかもしれませんね。悪い手を何度も思い出すのでまた再現してしまう、好調の時にはよい手を思いだすので再現できる、そういう大きな繰り返しをしているのかも。

コメント (1)
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