名将会ブログ (旧 名南将棋大会ブログ)

名古屋で将棋大会を開いています。
みなさんの棋力向上のための記事を毎日投稿しています。

大山将棋研究(372); 中飛車に左美濃

2016-12-18 | 大山将棋研究
昭和52年9月、花村元司先生と第10回連盟杯争奪戦です。


花村先生の中飛車なんですが、68飛のつもりを58飛と指して、間違ったという軽口を言っていそう。大山先生と仲が良いし、序盤はおおらかな先生なんです。

大山先生は端の位を取って44歩と止めます。

左美濃でした。花村先生は三間飛車にしています。手損は気にしない先生です。

4筋にちょっかいして

4枚美濃に45歩の位で対抗する形に。この10年後くらいに(天守閣美濃から)流行します。

花村先生の玉の姿もよいのですが、65歩が早くて、右桂を使えるので大山先生が十分です。

継ぎ歩がありました。85同歩同飛86歩同角88飛77角成という筋で、85飛には桂馬のひもがついています。

花村先生は角をかわして指すのですが

大山先生は大さばきを避けて、と金があるので十分だ、という指し方です。

花村先生は玉頭から攻めるしかありません。

でも角の筋がそれて、うまく攻められず。大山先生は急がずに大駒の活用です。

飛車を成り

ぶつけられたら89の桂を取ります。

花村先生は飛車を切って勝負にいくのですが

大山先生の48歩から65桂というのは気持ちの良い手順です。

花村先生は玉頭しかないのですが

困りました。どう応じても角を取られそう。

王手角取りがあり

投了図。

花村先生は終盤に自信を持っているので序盤がおおらかなのですが、作戦負けからそのままでした。大山先生のゆっくりした指し方がいいのですね。後手をもって並べてみましょう。


#KIF version=2.0 encoding=Shift_JIS
# ---- Kifu for Windows V7 V7.23 棋譜ファイル ----
手合割:平手  
先手:花村元司9段
後手:大山棋聖
手数----指手--
1 7六歩(77)
2 3四歩(33)
3 6六歩(67)
4 8四歩(83)
5 7八銀(79)
6 6二銀(71)
7 5八飛(28)
8 4二玉(51)
9 4八玉(59)
10 3二玉(42)
11 3八玉(48)
12 1四歩(13)
13 2八玉(38)
14 5二金(61)
15 6七銀(78)
16 5四歩(53)
17 3八銀(39)
18 1五歩(14)
19 7七角(88)
20 5三銀(62)
21 5六歩(57)
22 3三角(22)
23 4六歩(47)
24 4四歩(43)
25 7八飛(58)
26 2二玉(32)
27 5八金(69)
28 3二銀(31)
29 4七金(58)
30 4三金(52)
31 3六歩(37)
32 2四歩(23)
33 3七桂(29)
34 2三銀(32)
35 4五歩(46)
36 3二金(41)
37 5八銀(67)
38 4二角(33)
39 4四歩(45)
40 同 銀(53)
41 4五歩打
42 3三銀(44)
43 5七銀(58)
44 8五歩(84)
45 6五歩(66)
46 7四歩(73)
47 4六銀(57)
48 7三桂(81)
49 2六歩(27)
50 8六歩(85)
51 同 歩(87)
52 8五歩打
53 2五歩(26)
54 8六歩(85)
55 4八飛(78)
56 8七歩成(86)
57 6六角(77)
58 8六と(87)
59 8八飛(48)
60 8五飛(82)
61 2四歩(25)
62 同 銀(23)
63 2五歩打
64 1三銀(24)
65 3五歩(36)
66 6五飛(85)
67 5七角(66)
68 6四角(42)
69 3四歩(35)
70 同 銀(33)
71 3五歩打
72 2三銀(34)
73 5五歩(56)
74 6九飛成(65)
75 3六金(47)
76 5五歩(54)
77 5九歩打
78 5六歩(55)
79 6八飛(88)
80 8九龍(69)
81 6四飛(68)
82 同 歩(63)
83 8四角(57)
84 4八歩打
85 同 角(84)
86 6五桂(73)
87 6六角(48)
88 3三歩打
89 4四歩(45)
90 4二金(43)
91 3四歩(35)
92 同 銀(23)
93 4五銀(46)
94 同 銀(34)
95 同 桂(37)
96 2七歩打
97 同 玉(28)
98 6七飛打
99 3七銀(38)
100 2六歩打
101 同 金(36)
102 6六飛成(67)
103 4三銀打
104 8七龍(89)
105 3二銀成(43)
106 同 金(42)
107 5四角打
108 3七龍(87)
109 投了
まで108手で後手の勝ち

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20161218今日の一手<その434>; 寄せの手筋を防ぐ

2016-12-18 | 今日の一手
20161218今日の一手

11月26日の名南将棋大会から、OさんとTさんの対局です。形勢判断と次の一手を考えてください。



一昨日の一手の回答

☆ 形勢判断をします。
角と金歩の交換で、後手に持ち歩があるので歩をカウントせず、角金交換で先手の駒損です。
玉の堅さは先手のほうが大分堅いです。
先手の攻め駒は64金と持ち駒銀で2枚。
後手の攻め駒は66角と持ち駒角銀で3枚。

総合すれば互角かやや後手もちか。

☆ 大局観として
棒銀の定跡で先手Kさんは少し間違えて、勝負手で角金交換からごまかしに行った、という流れです。駒損ですが玉の堅さが違うのでそんなに悪くはありません。
少し前では

先手が金を打ったところ、後手のGさんが65銀64金66銀、と銀をさばいたのですが、玉が薄い時は攻め駒をさばこうなんて考えてはいけません。53銀と引いて守りを固めれば十分でした。

問題図での方針としては、すぐに駒損を回復する手段もありませんから、攻め駒を増やし後手玉に迫りたいです。飛車取りになっていますが、振り飛車党なら逃げませんね。飛車を取ってもらえば攻め駒が3枚になります。さらに77同桂~65桂と使って、攻め駒4枚にするというのが理想です。
後手の棒銀が遊んでいるうちに寄せられたら気持ちよく勝てます。

その時に先手玉が堅いとはいえ、飛角銀をもたれるのでどれくらい安全かを確認しておくとよいでしょう。56歩の形の美濃囲いは46歩の形の美濃囲いに比べると堅くないのです。64角~36桂の筋や69飛~66角~39銀の筋があります。これに対応できるかどうか(まだ後手の攻め駒が3枚なので対応はできそうです)を考えて進めます。


× 67飛は99角成で

飛車が成れるのならよいのですが、64金が邪魔です。角を持っていないので77角もないし、この場合は駄目ですね。


× 実戦では74歩と伸ばしました。

73歩成とできれば飛車が攻め駒になりそうで、自然な指し方です。飛車取りを催促したとも言えます。77角成同桂69飛

この時にどうするか悩ましいのですが、実戦では73歩成同銀同金同桂74歩84角

ここは48銀か39銀と受けるしかなかったのですが、66歩同角57銀同角成

57同金48銀58銀打39銀打18玉28金17玉49竜同銀右15歩

長いですけどよく見る寄せの手筋で終わっています。

73歩成は後手の棒銀をさばかせるので65桂と指したいのですが、75角

があって、金1枚渡していないとはいえ危険です。

54金でも66角

で、後手の攻め駒が3枚とはいえこれも嫌な展開です。


○ ということで筋が悪いのですが67歩と打って

後の66角の筋を緩和しておくのが案外によい手です。角を引けば74歩なので飛車を取ることになりそう、77角成同桂75銀に53銀

51金と逃げても、64銀同銀成でも、その後65桂を狙って十分に指せます。


× 先に53銀では少し重くて

51金54金52歩64銀成77角成同桂69飛65桂75銀

という感じでかえって攻めにくくなります。


△ 54金でも悪いことはないのですが

67飛を狙っているので飛車取りの催促になっています。77角成同桂53歩55金69飛65桂66角

48銀と受けてこれからではあります。少し味消しかな、という感じです。


△ 攻めの筋としては55歩で

歩で攻めるほうが筋が良いです。取っても取らなくても54歩~53歩成までできれば先手が良くなります。もちろん後手は手抜きで77角成同桂69飛65桂66角

でしょう。前にやった74歩(56歩)の形よりは少し得です。もう少し調べてみます。59金引とすると39銀17玉59飛成同金15歩同歩25金に26銀

これが簡単に寄りのようでそうでもないです。15香同銀16歩18玉15金とか、香を走る筋は(王手で無くなると)12飛で抜くことができます。11香が攻めに参加しないと攻め駒3枚ですから、後手は飛角を打つより先に15歩同歩17歩とか、なにか工夫が必要です。

こういうのを危ないと思えば48銀と打って、55角には46角

で対抗できるのでまだ難しいです。

後手は角を打たないで75銀

のほうが本筋ではないかという気もします。金や桂をいじめる順です。


○ 65金は少し変な手に見えるのですが

飛車を取らせた後で66角や75銀を消しています。22角なら55歩からゆっくり。77角成同桂78飛には66角

44銀や33銀なら54金と出ておいてゆっくり攻めます。33角と合わせて同角成同桂71銀92飛(72飛には61角)83角

33桂の形なら後手玉の囲いがさらに弱くなるので飛車を取りに行きます。71の銀も後で62銀成として使えばよく、66角の筋がなければ先手玉を気にしないで攻められます。

☆ まとめ
69飛~66角~39銀という攻め筋は決まるような決まらないような微妙なところがありまして、玉を端にかわすしかないならどうにかなりそう、26歩の形で27玉はどちらとも言えず、36歩の形で37玉とかわすのならかなり持ちそう、とわかれます。逃げた後で先手玉が安定するかどうかにかかっています。
この場合は端にかわすしかないので、食らったらかなり危ないです。それを避けるために、やや筋が悪いのですが、67歩や65金が有力になります。(金を引く手に好手ありというので金を引くのは筋が良いのかも)
66角を打たれてから48銀や39銀と投入すれば堅いのですが、攻め駒が減ってしまいます。でも受けの形として覚えておきましょう。

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