名将会ブログ (旧 名南将棋大会ブログ)

名古屋で将棋大会を開いています。
みなさんの棋力向上のための記事を毎日投稿しています。

大山将棋研究(360); 三間飛車に引き角棒銀(左美濃)

2016-12-06 | 大山将棋研究
昭和52年7月、有吉道夫先生と第16期十段戦です。

大山先生の先手三間飛車、有吉先生は74歩と突いたのに持久戦で

大山先生は59角で42角を誘い、77角と戻して22玉の小鬢(こびん)を狙います。

37桂はその一環なのですが、隙ありとみて有吉先生が仕掛けます。

82飛にはひもがついているので77角成はある筋で

飛角総交換の後で35歩が有吉先生のねらいでした。47銀では79飛が先手で入ります。

大山先生の89飛は飛車打ちを先手で避けようとしたもの。でも構わず36歩でした。

これでほぼ損得なしになります。どちらの玉が堅いかの判断ですが

79飛に59銀と使うと横からは堅くても玉頭方面が不安です。61角は美濃囲い攻略の筋。桂を手に入れて34桂の筋も残ります。

有吉先生の34角は、43角成と後の34桂を両方防いだものですが、大山先生は26歩と催促。これが危険でした。

この35桂は攻めのようですが、後手の35桂を防ぐ意味もあります。先着して有利だと見たのですが

33金に34角成同衾43桂成としたいところ。でも後手から35桂が厳しい筋(27銀と捨ててから35桂か)なので指しきれず、81竜でした。

でも52桂と受けられると61角の効果がありません。有吉先生から反撃です。

なんだか受けにくいです。59銀と引くのではバカらしいのですが、38玉が敗着で

頓死してしまいました。

有吉先生がうまく仕掛けたということはあるのですが、大山先生が冴えませんでした。左美濃で玉の囲いが同じようになると小さな差で優劣がわかれやすくて、少し悪くなってからは有吉先生が有利をキープ、まだまだと思っていたらあっさり終わりました。
玉頭の攻防を見ておけばいいでしょう。

#KIF version=2.0 encoding=Shift_JIS
# ---- Kifu for Windows V7 V7.23 棋譜ファイル ----
手合割:平手  
先手:大山棋聖
後手:有吉道夫8段
手数----指手--
1 7六歩(77)
2 8四歩(83)
3 5六歩(57)
4 5四歩(53)
5 7八飛(28)
6 8五歩(84)
7 7七角(88)
8 3四歩(33)
9 6六歩(67)
10 6二銀(71)
11 6八銀(79)
12 4二玉(51)
13 4八玉(59)
14 3二玉(42)
15 3八玉(48)
16 7四歩(73)
17 2八玉(38)
18 5二金(61)
19 3八銀(39)
20 3三角(22)
21 5七銀(68)
22 4四歩(43)
23 5八金(69)
24 2二玉(32)
25 1六歩(17)
26 1四歩(13)
27 5九角(77)
28 4二角(33)
29 6五歩(66)
30 7三銀(62)
31 7七角(59)
32 4三金(52)
33 4六歩(47)
34 3三桂(21)
35 3六歩(37)
36 3二銀(31)
37 3七桂(29)
38 8六歩(85)
39 同 歩(87)
40 同 角(42)
41 8八飛(78)
42 7七角成(86)
43 8二飛成(88)
44 同 銀(73)
45 7七桂(89)
46 3五歩(34)
47 8九飛打
48 3六歩(35)
49 8二飛成(89)
50 3七歩成(36)
51 同 銀(38)
52 2五桂(33)
53 3八歩打
54 7九飛打
55 5九銀打
56 7七飛成(79)
57 6一角打
58 3四角打
59 2六歩(27)
60 3七桂成(25)
61 同 歩(38)
62 7八龍(77)
63 3五桂打
64 3三金(43)
65 8一龍(82)
66 5二桂打
67 6四歩(65)
68 2四金(33)
69 2七桂打
70 4七桂打
71 6八銀(59)
72 6九龍(78)
73 3八玉(28)
74 2九銀打
75 4八玉(38)
76 4九龍(69)
77 投了
まで76手で後手の勝ち

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20161206今日の一手<その428>; 4枚の攻めにする

2016-12-06 | 今日の一手
20161206今日の一手

10月の東海団体リーグから、私の将棋です。形勢判断と次の一手を考えてください。



一昨日の一手の回答

☆ 形勢判断をします。
飛と金歩歩の交換、後手に持ち歩があるので歩はカウントせず、竜と馬も作られていますから先手の駒損です。ただし終盤ですので重視しません。
玉の堅さは先手のほうが堅いです。
先手の攻め駒は84金64銀66桂で3枚。
後手の攻め駒は先手の囲いに利いているものはなく、持ち駒飛1枚。
総合すれば互角です。

☆ 大局観として
中盤ならば駒損を回復して、と思うところですが、終盤なので駒の損得は気にせず、4枚で後手玉を攻められるようにすればよいでしょう。
と金を作るとしたら3筋では遠いです。6筋は作れる形ではないです。
端を攻めて99の香を使うか。でもこのタイミングで95歩に同歩とはしてもらえないでしょう。端攻めは中盤で戦いが始まったころに突き捨てておくか、終盤ほぼ詰めろになる時に突くものです。
ですから86の角を使うか、後手の駒を取ってそれを攻め駒にするかということになります。


○ 一番厳しそうなのは63歩です。

62桂を取れば4枚目の攻め駒になりますし、74桂と跳ねるのが厳しくなります。後手は取るしかありません。63同銀左同銀成同銀64歩

銀が逃げれば82銀から詰みます。64同銀には82歩成同玉83銀を決めて、71玉64角

が詰めろ。簡単です。

64同馬も同角

で詰めろ。後手が粘りようがありません。86角は銀か角を取ることができて、4枚目の攻め駒になった、ということになります。


△ 実戦は53銀成でした。

53同銀同角成なら角が4枚目の攻め駒になり(かつ詰めろ)ます。85歩に52成銀同金31角成

これは角が逃げただけで攻め駒にはならず、59竜に53歩同金54歩52金74桂(63歩でまだ勝負だったか)同桂同金39飛

31の馬が遊んでいるというほどでもないのですが、あまり厳しい攻めがなくて、55馬から31飛成の筋もあります。大駒の攻めは足が速いですね。以下は82銀から追いかけましたが詰みはなくて後手の勝ちです。

先手は85歩の時に62の桂を取るほうが良かったのです。

62同金には82歩成同玉74桂

71玉62桂成同玉42角成59竜64歩

という調子です。馬の働きが違いますし、66の桂が十分働きました。

62成銀を同玉なら42角成として

これなら42馬が攻め駒です。59竜にはやはり上に逃げられないように64歩としておけば詰めろで寄せられます。


× 他には74桂と使うのが自然なようですが、

74同桂同金63歩

53銀成85歩75角59竜54歩49飛

と進むと寄せ合い負けです。


○ 強引に73銀成(または73金)

と駒をはがし、73同銀同金同馬82銀

82同馬同歩成同玉の後、55角(46でも37でもよい)

と角を打つ王手は案外に厳しいです。この攻め方は、金銀と角桂を交換して、攻め駒の枚数は減っていません。単に86の角を64に出るのは73銀合いで先手を取られてだめなのですが、64角左と出て2枚角で攻める含みです。
つまり71玉に64角左72金84桂

と攻める調子です。

55角に中合いは利かず、73銀合いには85桂

84銀打73桂成同銀に64銀81桂63歩

とするのがうまい攻め方で、千日手を回避できて、74桂と使えれば寄せられます。


△ 他には97桂として

85歩には同桂同桂

桂馬は損しますが、86の角が安定するのでないこともないです。85同金とするのではなくて63歩とか53銀成とした時に角を追われないのです。


× 95歩は取ってもらえなくて85歩

で困ります。


△ 65歩はひねった手で

銀にひもをつけました。85歩に68角65桂46角

とすれば角が攻め駒になります。

後手が63歩なら

53銀成85歩62成銀同玉42角成

63に歩を打たせるとこれで詰めろなのです。


4枚目の攻め駒ができると攻めが切れなくなるというのがよくわかります。

63歩は一番わかりやすくて、桂馬を取れれば4枚目の攻め駒(かつ74桂が厳しい)です。銀交換の後で64歩とたたけば、銀は逃げられなくて、角で馬か銀を取れば後手玉が詰みます。

53銀成~62成銀~42馬というのも角が4枚目の攻め駒になります。

73銀成から清算する筋自体は攻め駒の数は3枚のままですが、その後2枚角で攻める筋があるので86角が攻め駒として働いて4枚目です。
こういう清算する筋は(それが駒得に見えても)攻め駒2枚で相手の1枚と交換するのでは失敗なのですが、枚数で対等なら考えてもよいです。

74桂として桂交換では3枚のまま、1手かけたのに攻め駒は増えていなくて、寄せ合い負けになりそうです。

どうやって寄せるか、というのはケースバイケースになるので学ぶのが難しいのですが、4枚で攻めるというのが最も共通する場合が多いです。
寄せが強くなる方法としては、棋譜並べが最適です。プロの棋譜を並べると寄せが理解できてくるものなのです。その感覚がつかめたら、実戦で試し、局後の検討で確認したり別の筋を考えたりすればさらに強化されます。
終盤が弱いから詰め将棋をやろう、というのはそれが楽しければかまわない(よい訓練法になっているかも)のですが、いやいややったり、単なる惰性で続けているだけなら、訓練法としては疑ってみるほうが良いです。
ましてや詰め将棋が苦手だから終盤逆転されるのだ、詰め将棋をやる時間がありさえすればもっと強くなる、でもそんな時間がないから強くなれなくても仕方ない、という訓練をしない理由につかったりしていませんか?(私ももちろん経験あり。)



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