名将会ブログ (旧 名南将棋大会ブログ)

名古屋で将棋大会を開いています。
みなさんの棋力向上のための記事を毎日投稿しています。

大山将棋研究(447); 向い飛車に棒銀

2017-03-03 | 大山将棋研究
☆ 昨日の復習

後手番大山先生の次の手は?


☆ 今日の棋譜
昭和53年11月、加藤一二三先生と第28期王将戦です。


大山先生の向い飛車です。今はここで42玉と上がるのが定跡。飛車にひもがついているので86歩同歩同角で王手~飛の素抜きに対応しています。(先日名南将棋大会でこの筋が出現しました。昔の常識は忘れられているのかもしれません。)

62銀と上がってから42玉だとひどい目にあいます。86歩同歩同角が王手、32玉31角成同金82飛成という筋。86歩に77角成同銀86歩同銀として棒銀で攻めるのが升田流向い飛車と呼ばれました。
それで昔は64歩を突いてから42玉だったのです。

加藤先生は急戦が多いし、64歩を突いても棒銀なら無駄になりません。だから序盤で早く85歩(25歩)を決めていたので、向い飛車を相手にすることも多かったでしょう。
棒銀が得意だとわかっているのに、大山先生は57銀と上がります。

加藤先生は当然棒銀で、これを67金で迎え撃ちます。大山先生は定跡の形を嫌うのです。序盤を研究されたくないので、少しくらい不利でも構いません。

この歩は59角~37角の筋を狙ったもの。でもこれが問題になりました。

75歩には同歩同銀に95角。67金の形は76歩の取り込みに同金と取りにくいので、75歩を同歩と取ることが多いのが67銀の通常形と違うところ。端に角を出て73歩から銀を取る手があります。74飛76歩(66銀がないのでこれが打てる)84銀59角くらいで37角を狙うつもりだったのでしょう。

ところが堂々と65歩と突いて、73歩に同飛。同角成同桂75飛に64角が王手飛車です。(65歩のところでは気が付いているはずですが仕方なし)

55歩に74歩で、飛角交換ですが加藤先生の1歩得ですし、角銀桂が攻めに使えそうで十分です。

大山先生は46銀(55角を防いだ)でしたが、この角は厳しそう。58金右で耐えるのですが

銀を出られて歩切れ。

67歩成があるので45角から歩を取りました。

加藤先生は64飛から67歩成で清算し

48金。大山先生は金を持っていないから千日手にもできず、どうやっても角を取られそう。あっさり48同金として

71飛は形作りのようなものです。加藤先生は桂を跳ね

と金で攻めます。

大山先生の26香から34金も詰めろにはならず

投了図。

加藤先生の快勝でした。タイトルをもっている時ですし、調子は良さそうです。一直線に斬り込んでよい時は加藤先生がすっきり勝ちます。後手をもって気持ちよく並べましょう。

#KIF version=2.0 encoding=Shift_JIS
# ---- Kifu for Windows V7 V7.30 棋譜ファイル ----
手合割:平手  
先手:大山十五世名人
後手:加藤一二三棋王
手数----指手--
1 7六歩(77)
2 8四歩(83)
3 5六歩(57)
4 8五歩(84)
5 7七角(88)
6 5四歩(53)
7 8八飛(28)
8 6二銀(71)
9 6八銀(79)
10 3四歩(33)
11 4八玉(59)
12 6四歩(63)
13 3八玉(48)
14 4二玉(51)
15 6六歩(67)
16 3二玉(42)
17 5八金(69)
18 5二金(61)
19 2八玉(38)
20 7四歩(73)
21 3八銀(39)
22 4二銀(31)
23 5七銀(68)
24 7三銀(62)
25 6七金(58)
26 8四銀(73)
27 7八飛(88)
28 7二飛(82)
29 1六歩(17)
30 1四歩(13)
31 3六歩(37)
32 7五歩(74)
33 同 歩(76)
34 同 銀(84)
35 9五角(77)
36 6五歩(64)
37 7三歩打
38 同 飛(72)
39 同 角成(95)
40 同 桂(81)
41 5五歩(56)
42 7四歩打
43 4六銀(57)
44 6六歩(65)
45 6八金(67)
46 5六角打
47 5八金(49)
48 7八角成(56)
49 同 金(68)
50 7六銀(75)
51 4五角打
52 5五歩(54)
53 3四角(45)
54 6四飛打
55 4五角(34)
56 6七歩成(66)
57 同 金(78)
58 同 銀(76)
59 同 角(45)
60 5六歩(55)
61 5五歩打
62 4八金打
63 同 金(58)
64 6七飛成(64)
65 7一飛打
66 6五桂(73)
67 9一飛成(71)
68 5七歩成(56)
69 3七金(48)
70 4八と(57)
71 2六香打
72 5一銀(42)
73 3四金打
74 3九角打
75 1八玉(28)
76 3八と(48)
77 同 金(37)
78 5八龍(67)
79 投了
まで78手で後手の勝ち
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする