名将会ブログ (旧 名南将棋大会ブログ)

名古屋で将棋大会を開いています。
みなさんの棋力向上のための記事を毎日投稿しています。

大山将棋研究(472);四間飛車に右四間飛車

2017-03-28 | 大山将棋研究
☆ 昨日の復習

後手番大山先生の次の手は?


☆ 今日の棋譜
昭和54年6月、桐山清澄先生と第18期十段戦です。


大山先生の四間飛車に桐山先生は46歩と突いて

右四間飛車です。大山先生はここでも32金で受けるんですね。

桐山先生は37桂から攻めてもうまくいかないだろうと、左銀を繰り出して55銀左を狙います。

大山先生は左金で守っているので、銀は引いて使いました。歩越し銀には歩で対抗、の形です。

桐山先生は無理でも攻めないといけません。

角を換えて31角から。52飛には42歩ですね。

だけどこの馬は死ぬのです。

53同銀成ならばまだしも、44角や64角を避けて不成では失敗した感じ。

71角の受けがあり少し困っています。44歩同金を入れて

62金は非常手段。

2枚換えで飛車を打ち

桂を取り返しても駒損です。大山先生は駒得なので手堅く自陣を強化します。

もう一枚の角も打って

竜を追い返し

飛車を抑えます。

桐山先生は銀を金と交換して

金を打って飛車をさばきます。

でも金を消され

桂取り。65同飛は55銀から飛車を取られるのでしょう。

11の香は取っても、桂を取られ

また6筋を攻められます。

駒損で後手を引いてしまうようでは回復しません。

飛車で金銀と2枚換えになりましたが相変わらず駒損で

45馬に56桂はポカみたいな手ですが、戦力不足でだめでしょう。投了です。

大山先生は少し駒得になったら、じっとしています。悪い方が小さくてもミスをしやすいものだと知っているのです。優勢を狙わずに、少し有利というくらいで、手堅く進めています。こういう指し方は私にはできないので、勉強になります。

#KIF version=2.0 encoding=Shift_JIS
# ---- Kifu for Windows V7 V7.30 棋譜ファイル ----
手合割:平手  
先手:桐山清澄8段
後手:大山十五世名人
手数----指手--
1 7六歩(77)
2 3四歩(33)
3 2六歩(27)
4 4四歩(43)
5 4八銀(39)
6 3二銀(31)
7 5八金(49)
8 4二飛(82)
9 6八玉(59)
10 6二玉(51)
11 7八玉(68)
12 7二玉(62)
13 9六歩(97)
14 9四歩(93)
15 4六歩(47)
16 4三銀(32)
17 4七銀(48)
18 5四銀(43)
19 5六銀(47)
20 3三角(22)
21 3六歩(37)
22 3二金(41)
23 4八飛(28)
24 8二玉(72)
25 1六歩(17)
26 7二銀(71)
27 6八銀(79)
28 1四歩(13)
29 7七銀(68)
30 6四歩(63)
31 6六銀(77)
32 6三銀(54)
33 4五歩(46)
34 5四歩(53)
35 3五歩(36)
36 4三金(32)
37 7五銀(66)
38 4五歩(44)
39 3三角成(88)
40 同 桂(21)
41 3四歩(35)
42 同 金(43)
43 3一角打
44 3二飛(42)
45 5三角成(31)
46 5二金(61)
47 6四銀(75)
48 5三金(52)
49 同 銀(64)
50 7一角打
51 4四歩打
52 同 金(34)
53 6二金打
54 同 飛(32)
55 同 銀(53)
56 同 角(71)
57 3二飛打
58 5二銀打
59 3三飛成(32)
60 4三金(44)
61 3二龍(33)
62 3一歩打
63 同 龍(32)
64 4四角(62)
65 6六桂打
66 6四角打
67 4二歩打
68 同 角(64)
69 3二龍(31)
70 3一歩打
71 3九龍(32)
72 6四角(42)
73 1七香(19)
74 4六歩(45)
75 4五銀(56)
76 6二角(44)
77 4四歩打
78 同 金(43)
79 同 銀(45)
80 同 角(62)
81 3四龍(39)
82 7一角(44)
83 6五金打
84 5三角(64)
85 2三龍(34)
86 9五歩(94)
87 4六飛(48)
88 9六歩(95)
89 9八歩打
90 6四金打
91 同 金(65)
92 同 角(53)
93 4五飛(46)
94 1九角成(64)
95 2二龍(23)
96 6五歩打
97 4四歩打
98 3二金打
99 1一龍(22)
100 6六歩(65)
101 同 歩(67)
102 1八馬(19)
103 4九香打
104 7四桂打
105 7七金打
106 6五歩打
107 4三歩成(44)
108 6六桂(74)
109 同 金(77)
110 同 歩(65)
111 6八歩打
112 4三銀(52)
113 同 飛成(45)
114 同 金(32)
115 同 香成(49)
116 4五馬(18)
117 5六桂打
118 5五馬(45)
119 投了
まで118手で後手の勝ち


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20170328今日の一手(その484);少し悪い時には自分から動かないこと

2017-03-28 | 今日の一手
20170328今日の一手

3月5日の名南将棋大会から、HさんとHさんの対局です。形勢判断と次の一手を考えてください。


一昨日の一手の回答

☆ 形勢判断をします。
駒の損得はありません。
玉の堅さは先手のほうが堅いです。
先手の攻め駒は46角1枚。
後手の攻め駒は55桂1枚。

総合すればやや先手が指しやすい局面です。

☆ 大局観として
後手(実際は先後逆ですが)が右玉にかまえた後に1筋から攻めを見せ、私が84角86歩の形で85歩93角を決めた局面です。位を取るのが好きなので、65歩と85歩の2つは大きな拠点です。駒をもらえば64や84に打ち込めますね。ですから玉の堅さにはかなり差があるのです。ただし後手玉は広いので、7筋から中央~3筋方面まで逃げやすいということはあります。
後手も66歩が拠点です。これは清算してもらったり、66銀と取れるようになれば、すっきりしてさらに指しやすくなりそうです。
後手の1筋の攻めがどれだけ怖いか。15歩同歩同香に13歩では18歩で香を取られて悪くなります。15歩の時に手を抜くか、どこかで歩を手に入れて12歩同飛13歩をみせるか、というのが対応策です。つまりあまり怖い攻め筋ではありません。
少し悪い時には自分から動かないことというのは重要なテクニックです。どうも私はこれにはまってしまったようで、悪くしてしまいました。


× 実戦では26歩として

25桂の準備です。15歩に25桂同桂55銀同歩同角

と派手な手順に飛び込んでしまいました。でもこの局面自体は銀損ですね。21飛に84桂62玉25歩54歩66角73桂

桂馬は取り返して、66の歩も払って、うまくやったようにも思えるのですが、73桂と打つのがとても味が良いのです。ここでまだ86銀と我慢しておくべきでしたが、64桂65桂72桂左成同銀93角成

勢いのまま進めてしまいました。ここで77桂成と剥がされるのが痛く、少し進んで

桂馬のお代わりがあり、敗勢です。


△ 目につくのは95歩として

95同歩35歩同歩95香94歩34歩

と桂を取りに行く順です。玉の近くの香を捨てるので効率が悪いのですが、95歩33歩成同金55銀同歩同角

今度は金と飛を射程に入れていますから、このほうが実戦の順よりも厳しいのです。31飛に92歩(同香には84桂)82角64桂

これは91香を取って2枚換えになりそう。先手有利です。


○ 35歩同歩同角

とする手。ここで後手の36歩よりも先手の34歩のほうが厳しいですね。34歩に53角成と暴発しないで46角と引いておきます。15歩同歩同香には12歩同飛13歩

ですから、後手は端を攻められず、指し手が難しいです。

戻ってこの図

後手から動く手が見えません。24歩は同角だと21飛ですが、取らなければよいです。
手待ちをしていたら86銀~95歩同歩94歩

と攻めることができます。


△ 55銀と桂を取ってしまい

55同歩に84桂62玉66銀

と拠点の歩を払ってしまうのも良さそうです。少し駒損ではあるのですが、67金右~95歩同歩92歩というのが狙い。あるいは55銀とするのも良さそうです。

後手は84桂を同金

と取るほうが良く、84同歩同角には55角くらい。54歩で

66角とはやりにくいですね(86桂が残る)。困ったようですが、82金62玉33角成同金83金

で角を取り返せば22角があります。だからこの変化は難しいのですがやや先手よしなのでしょう。


△ 75歩も見える手で

75同歩には66銀の味が良いです。対局中は75同角で何もないと思っていたのですが、87桂93角95歩

というのがありますね。95同歩同桂73金83桂成

83同金93香成同香66銀

桂香と角の二枚換えですが、66の歩を払うのも大きいのでまあまあ。

後手はどこかで67歩成

として、67同銀同桂成同金右93香

かもしれませんが、84歩同金64歩同銀直76桂

と返せます。こっちのほうがありがたいです。



☆ まとめ

少し悪い時には自分から動かないこと
少し悪い時には相手に動いてもらうこと
少し良い時には相手に動いてもらうこと
少し良くても自分から動くのは難しい

どれも同じことを言っているのですが、どれがしっくりくるでしょうか。よほどの作戦勝ちなら攻めてつぶすだけ、ということもあるのですが、レアケースでしょう。作戦勝ちになったら、攻めつぶしますよ、動いてきなさい、と圧力をかけて、相手が動いてくるところをカウンターで決める、というのが一番きれいな勝ち方なのです。


実戦の26歩は15歩の時にきれいな反撃があればよかったのですが、動きすぎて逆転です。自分から転んだという感じでしょうか。私は感覚で指すタイプだったのに、変に読めるようになると(経験で読む力が少しついてしまった)筋の悪い手順(これが案外に手が続いているように見えるもの)に飛び込んでしまいました。

じっと35歩同歩同角とするのが本筋。1歩持って相手から動いてもらうのです。まだ攻め駒が足りない状況ですから、自分から動くのは骨が折れます。(二重の意味でうまいこと言いましたか。)

95歩から1歩持って35歩同歩34歩というのは読める手でしょう。桂馬を持てば84桂とか64桂があるので、この場合は成立しています。

同じような意味で、シンプルに55銀同歩84桂と後手の角を封じてしまうのもあります。84桂はなかなか死なないので攻め駒として働くでしょう。後手は銀よりも桂が欲しい局面だということかもしれません。だから案外に有力です。
後手としても84桂は同金と取り返してなかなか難しい図。桂馬のほうが欲しいのです。一応は先手が指せそうです。

75歩は筋。同角のときに手がなさそうに思えたのですが、87桂と跳ねて使えます。これは端攻めもあって、桂香と角の二枚換えになりそう。守りの桂香を失うので判断は難しいです。


変化を考えてみて、自分から動くのは難しいのだとわかってもらえたでしょうか。だからじっと3筋の歩を交換して待つ、というのが一番良いのだと思います。


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