名将会ブログ (旧 名南将棋大会ブログ)

名古屋で将棋大会を開いています。
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大山将棋研究(462); 四間飛車に居飛車穴熊

2017-03-18 | 大山将棋研究
☆ 昨日の復習

先手番大山先生の次の手は?


☆ 今日の棋譜
昭和54年4月、真部一男先生と第2回オールスター勝ち抜き戦です。


大山先生の四間飛車に真部先生は居飛車穴熊です。

もうこの金の動きは定着したようですね。

真部先生は角を転回し

7筋の歩を交換します。78金右としていなかったら78飛があったのですが。

1歩得て、軽い仕掛けです。

角交換から35歩同歩38飛のつもり。

大山先生は64角46角に42角、変わった受け方です。

34の歩は後で取りに行きます。

こういうところでぱっと成り捨てが見えるのは才能でしょうか。33同角は64歩が入ります。

飛車をぶつけて居飛穴が十分に見えますが

大山先生は1回銀を引いて飛車の打ち込みを防ぎ

34歩に端攻めです。

角も切って

穴熊はかなり弱体化しました。これでよし、とみるのがさすがです。

66銀から49飛と退路封鎖して

真部先生の攻めは93に逃げて(銀冠の小部屋)かわします。ここで76桂が見えているので真部先生はなにか受けるものだと思うのですが

銀を取っても76桂の筋は痛すぎます。

また穴熊に戻るので指せると見たのでしょう。でも71金打が手堅くて

79歩を打ってしまったので香が痛打。

あとは剥がしていくだけです。

でも86桂は勘違いでしょう。67歩成で問題なかったのですが

詰めろでも無いのに銀桂を渡したことになります。

でも波乱はなく投了図。

まだ穴熊の戦い方に慣れていないというか、不必要に自玉を固めるというのが真部先生の美意識に外れるのでしょう。
大山先生の穴熊崩しを堪能できます。

#KIF version=2.0 encoding=Shift_JIS
# ---- Kifu for Windows V7 V7.30 棋譜ファイル ----
手合割:平手  
先手:真部一男6段
後手:大山十五世名人
手数----指手--
1 7六歩(77)
2 3四歩(33)
3 2六歩(27)
4 4四歩(43)
5 4八銀(39)
6 3二銀(31)
7 5六歩(57)
8 4二飛(82)
9 6八玉(59)
10 6二玉(51)
11 7八玉(68)
12 7二玉(62)
13 5七銀(48)
14 4三銀(32)
15 7七角(88)
16 8二玉(72)
17 8八玉(78)
18 5二金(41)
19 9八香(99)
20 7二銀(71)
21 9九玉(88)
22 6四歩(63)
23 8八銀(79)
24 9四歩(93)
25 7九金(69)
26 9五歩(94)
27 5九金(49)
28 7四歩(73)
29 2五歩(26)
30 3三角(22)
31 3六歩(37)
32 6三金(52)
33 1六歩(17)
34 1四歩(13)
35 6九金(59)
36 5四歩(53)
37 7八金(69)
38 8四歩(83)
39 5九角(77)
40 2二飛(42)
41 3七角(59)
42 5一角(33)
43 6六銀(57)
44 7三角(51)
45 7五歩(76)
46 同 歩(74)
47 同 銀(66)
48 7四歩打
49 6六銀(75)
50 8三銀(72)
51 7七銀(66)
52 7二金(61)
53 6六歩(67)
54 5二銀(43)
55 6五歩(66)
56 同 歩(64)
57 7三角成(37)
58 同 桂(81)
59 3五歩(36)
60 6四角打
61 4六角打
62 4二角(64)
63 3四歩(35)
64 4五歩(44)
65 3五角(46)
66 4三銀(52)
67 2四歩(25)
68 同 歩(23)
69 3三歩成(34)
70 同 桂(21)
71 2三歩打
72 同 飛(22)
73 2四飛(28)
74 同 飛(23)
75 同 角(35)
76 3二銀(43)
77 3四歩打
78 9六歩(95)
79 同 歩(97)
80 9七歩打
81 同 香(98)
82 8五桂(73)
83 8六銀(77)
84 9七桂成(85)
85 同 銀(86)
86 9二香打
87 3三歩成(34)
88 9七角成(42)
89 同 銀(88)
90 9六香(92)
91 同 銀(97)
92 9七歩打
93 8八玉(99)
94 9六香(91)
95 9九歩打
96 6六銀打
97 6八金(79)
98 4九飛打
99 6一飛打
100 9八歩成(97)
101 同 歩(99)
102 2九飛成(49)
103 9一角打
104 9三玉(82)
105 3二と(33)
106 7六桂打
107 9九玉(88)
108 6八桂成(76)
109 9五香打
110 9四歩打
111 6八角(24)
112 9五歩(94)
113 7九歩打
114 7一金打
115 1一飛成(61)
116 7六香打
117 7七桂打
118 同 香成(76)
119 同 桂(89)
120 同 銀(66)
121 同 角(68)
122 6六桂打
123 同 角(77)
124 同 歩(65)
125 7七桂打
126 8六桂打
127 同 歩(87)
128 8七銀打
129 同 金(78)
130 7九龍(29)
131 8九香打
132 7八角打
133 8八金(87)
134 6七歩成(66)
135 8五桂打
136 9四玉(93)
137 7六銀打
138 7七と(67)
139 9三桂成(85)
140 同 玉(94)
141 8二銀打
142 同 金(71)
143 同 角成(91)
144 同 玉(93)
145 9三銀打
146 同 玉(82)
147 9一龍(11)
148 9二銀打
149 投了
まで148手で後手の勝ち
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20170318今日の一手(その479);先手を取る受け

2017-03-18 | 今日の一手
20170318今日の一手

2014年3月の東海団体リーグから、私の将棋です。形勢判断と次の一手を考えてください。


一昨日の一手の回答

☆ 形勢判断をします。
先手の1歩得です。でも後手に持ち歩があるのでカウントせず。35に竜を作っている分だけわずかに駒得です。
玉の堅さは後手のほうが堅いです。美濃囲いは金銀の連結がしっかりしていますね。
先手の攻め駒は後手玉に向かっているものだけを数えると、持ち駒角銀2枚。銀取りなので44歩も数えてもよいかもしれません。ということで3枚くらい。45桂や35竜も働きそうではあります。
後手の攻め駒は49飛55角で2枚。

総合すれば互角か、やや先手もちです。

☆ 大局観として
元は先手後手逆で、先手三間飛車に後手右四間飛車という戦型です。腰掛銀がさばけて、玉が薄いけれども仕掛けは成功、後手(実際は先手ですが)Tさんは銀を打って粘りに出た、その銀を44歩で捕獲できそう、それを55角で返した、という局面。
振り飛車に居飛車が急戦で挑むのは、居飛車の玉が(舟囲いが美濃囲いに比べて)薄いけれども、攻撃力で優ります。
この場合は攻め駒3枚はある、右桂も使えているし、攻め駒は4枚と数えてもよいくらいです。後手は交換した銀を打っているのが痛く、43の銀がお荷物です。44歩に34歩なら43歩成から2枚換えでどんどん攻めれば優勢、と思っていたら角を打たれて悩みました。

銀取りが残っているので駒得にしたい、本音は素早く寄せたいのです。けれど少しでも有利で寄せ合いに持って行ける順は限られています。ここはなるべく読んでおきたいところ。勝ちが見える順もあります。



× 43歩成から見ておくと

一目寄せ合い負けになりそう。88角成同玉69飛成に52と

ここまで進むとぴったりした受けの手がない(58金を守りつつ玉を守る手がない)ので一直線。後手は78銀(詰めろ)98銀79竜97玉89銀不成

で詰めろ。ほぼ受けなしです。

あるいは78銀で58竜78金68金

と一間竜を狙ってもよいです。どちらでも後手の明確な一手勝ちです。


× 一見自然な受けは77銀ですが

44銀31竜45銀

となると駒損です。21桂をとれるとはいえ、先に駒損になるなら自然な手とは言えないわけです。後手の美濃囲いが堅いですし、55角が先手の44角の寄せを避けているというのも大きく、これは後手の一手勝ちになりそう。


× 後手を引いていてはだめなようです。66銀は

44銀34竜33歩55銀34歩44銀45飛成

やや駒得とはいえ銀を助けにくくて困っています。

44銀の時に55銀35銀54銀

というのは銀取りが残っているのですが、逃げずに39飛打68金寄58歩

と攻められた時に速度負けしています。持ち駒が角だけなので、39飛打に59角とは打ちにくいのです。(打ったら35の銀を使って攻めればよい。)

また、66銀に44角もあり

31竜45飛成21竜

というのも歓迎したくありません。先手玉は金銀4枚あっても堅くないのです。


○ 角には角というのが一番自然な受けだろうというのが実戦です。77角。

44銀に同竜同角同角45飛成11角成

というのは先手の駒得(飛桂と角銀香の交換)ですから、長期戦で有利のはず。

ところがこの日は体力がなく、31竜

と逃げてしまったのです。47歩に59金寄から49歩と受ける気力もなく、55角同歩53銀

と無理攻めですが、とにかく早く勝とうとするのが体力のない時の考え方で、大体失敗します。53同金同桂成同銀34角48歩成68金寄71金

53に銀を残されて、62銀からの寄せ筋が実現せず。34から角を打ったのですが、71金がどうだったか。52桂と打つか、62金52金から寄せ合いか、というほうが嫌です。
52角成61桂に53馬同桂62金

と食いついて、62同金71銀92玉62銀成47角

勝ちになったかと思えば、この角が受けにくい。79金打ならまだ難しいところ。79銀と手筋で受けたつもりでしたが、65桂72成銀に69馬

69同金77銀同桂69飛成同玉58金78玉77桂成

と追われて詰んでしまいました。


○ 他には59金引

と飛車取りで88角成の筋を受ける手があります。同飛成はまだ早いので、44銀49金35銀

と飛車の取り合いですが、先手番なので35歩と銀を取れます。29飛59金右48歩に58銀

と守っておいて、19飛成41飛46香に53桂成

取れば62銀で寄りですね。51金引に同飛成同金62銀

飛車を切って寄せに行けます。(切るのが嫌なら31から飛車を打っておくべきですが。)攻め駒4枚なので寄せられます。
これは一例ですが、銀を1枚得するので十分なのです。


△ 59金寄でもよさそうで

やはり44銀49金35銀同歩となるのですが、29飛

の時に、先ほどは58の金が69にありました。このときの受けが悩ましく、38銀は飛車を逃げて37歩が残ります。59金寄に48歩同金上19飛成

の時に寄せあいは怖いですが、56歩28角成(どこに移動するかわからない)41飛

はまあまあです。


☆ まとめ

43歩成からの寄せ合いは後手のほうが速そう、というのは感覚的にわかりますよね。読んで確認することもできますが。

後手を引く受け(77銀)は44銀から桂を取られてつまらない(多分負け)です。

つまり先手を取る受けを選びたいのです。そして43歩成が理想。

66銀と打つのは壁銀が残るので指しにくい手。やや悪いです。

77角と合わせるのが一番自然で、ただしこれは銀得でも竜を角と交換することになります。それで悪くない、まで読んでおけば正解。私のように竜を逃げて寄せあい勝ち、というのは独善です。

59金引あるいは59金寄は、飛車取りで先手を取ろうとする受けです。35竜にひもがついているので、これも銀得でプラス飛車交換になります。飛車を持っているので寄せ合いが速く、一気の寄せがありました。
右の金が良いか、左の金が良いかの比較は悩むところですが、この場合は右の金(金を引く)のが良いようです。

先手を取る受け、というのは逃げてもらえないことのほうが多くて、大駒をしかりつけたつもりが、切られて悪くなった、ということも頻出します。ですからよく考えて指すしかないところですが、ハイリスクならハイリターン。チャンスの局面でした。


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