名将会ブログ (旧 名南将棋大会ブログ)

名古屋で将棋大会を開いています。
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大山将棋研究(470);四間飛車に居飛車穴熊

2017-03-26 | 大山将棋研究
☆ 昨日の復習

先手番加藤先生の次の手は?


☆ 昨日の復習
昭和54年6月、田中寅彦先生と第27回王座戦です。田中寅彦先生は初登場。プロ入りして猛烈に勝っていたころです。勝率1位が何度もありました。


対振り飛車に居飛車穴熊はかなり前からあったのですが、この年あたりから急激に増えているのは田中先生の影響です。

すでに指し慣れている感じがします。75歩から角で歩を交換するのでは軽すぎ。飛車で交換するほうが良いです。

飛車をぶつけるわけにはいかないので振り飛車が謝ることになり

65歩を待って73桂と使うのが調子です。

大山先生は66銀から75歩で左辺を抑え

37角から

55歩同歩45歩と角をさばきます。

田中先生は3筋を突き捨てて78歩。

55角54飛78飛に65桂ですが、これが失敗した手。55飛同銀67角で十分でしょう。

大山先生に37角から我慢されて攻めあぐねました。

84飛にも77桂がぴったり。

歩切れなので角をぶつけます。大山先生は55歩で完封できると思うのですが

76桂はもったいない。角も飛も逃げられてしまいます。

55角に田中先生は64歩同角63飛。こういうのが居飛穴らしいですね。

49角から飛車を切って

55桂は勢い。79銀が遊んでいる間に寄せの体制を作れるか。

この角打ちは微妙。36飛に48角成同金47金は46飛同金55竜でまずそうです。どう指したものか。

68歩なら48角成同金47金で受けにくそうに見えたのですが。99馬ではぬるそうです。

大山先生は窮地を脱して、56飛から36歩で角を追います。

角を封じて寄せに行きます。

89馬には76か59に飛車を逃げそうなものですが

銀を捨てて46飛から42歩。

42同銀には56歩が心憎い手です。馬筋を止めて、79馬としてきなさい、というのです。

田中先生は45香で勝負。

桂を剥がし、角を攻防に使います。

大山先生は手筋の寄せ。

で、あっさり寄せるのかと思ったら78香で惑わせます。でも48角成から79馬で失敗なのですが

44歩だったので喜んで角飛の取り合い。

あっさり31竜から寄せてしまいました。

まだ互いに居飛穴の戦いになれていないのかなあ、という棋譜でしたが、面白い攻防が含まれています。でも大山先生は居飛穴は苦にしていませんね。普通に組んで勝ってしまいます。寄せかたもうまいです。

#KIF version=2.0 encoding=Shift_JIS
# ---- Kifu for Windows V7 V7.30 棋譜ファイル ----
手合割:平手  
先手:大山十五世名人
後手:田中寅彦4段
手数----指手--
1 7六歩(77)
2 8四歩(83)
3 7八銀(79)
4 3四歩(33)
5 6六歩(67)
6 6二銀(71)
7 6八飛(28)
8 4二玉(51)
9 4八玉(59)
10 3二玉(42)
11 3八玉(48)
12 5四歩(53)
13 2八玉(38)
14 5三銀(62)
15 5八金(69)
16 3三角(22)
17 3八銀(39)
18 2二玉(32)
19 6七銀(78)
20 1二香(11)
21 4六歩(47)
22 1一玉(22)
23 3六歩(37)
24 2二銀(31)
25 1六歩(17)
26 3一金(41)
27 1五歩(16)
28 5一金(61)
29 4七金(58)
30 8五歩(84)
31 7七角(88)
32 4四銀(53)
33 2六歩(27)
34 4二角(33)
35 8八飛(68)
36 4一金(51)
37 2七銀(38)
38 9四歩(93)
39 9六歩(97)
40 7四歩(73)
41 3八金(49)
42 7二飛(82)
43 5九角(77)
44 7五歩(74)
45 同 歩(76)
46 同 飛(72)
47 7六歩打
48 7四飛(75)
49 2五歩(26)
50 8四飛(74)
51 5六歩(57)
52 3二金(41)
53 6五歩(66)
54 7三桂(81)
55 6六銀(67)
56 7四飛(84)
57 7五歩(76)
58 8四飛(74)
59 3七角(59)
60 3三銀(44)
61 5五歩(56)
62 同 歩(54)
63 4五歩(46)
64 3五歩(34)
65 同 歩(36)
66 7八歩打
67 5五角(37)
68 5四飛(84)
69 7八飛(88)
70 6五桂(73)
71 3七角(55)
72 8六歩(85)
73 同 歩(87)
74 7七歩打
75 8八飛(78)
76 8七歩打
77 6八飛(88)
78 8四飛(54)
79 7七桂(89)
80 同 桂成(65)
81 同 銀(66)
82 6四角(42)
83 7六桂打
84 3七角成(64)
85 同 桂(29)
86 8三飛(84)
87 5五角打
88 8八歩成(87)
89 同 飛(68)
90 6四歩(63)
91 同 角(55)
92 6三飛(83)
93 5八飛(88)
94 4九角打
95 5二飛成(58)
96 6四飛(63)
97 同 桂(76)
98 6七角成(49)
99 8八銀(77)
100 6六馬(67)
101 7九銀(88)
102 5五桂打
103 4八金(47)
104 4六角打
105 6八歩打
106 9九馬(66)
107 5六飛打
108 3五角(46)
109 3六歩打
110 7一角(35)
111 7二龍(52)
112 9三角(71)
113 5二桂成(64)
114 5四歩打
115 4四歩(45)
116 8九馬(99)
117 4六飛(56)
118 4四歩(43)
119 4二歩打
120 同 銀(33)
121 5六歩打
122 7一歩打
123 6一龍(72)
124 4五香打
125 同 桂(37)
126 同 歩(44)
127 4二成桂(52)
128 同 金(32)
129 4五飛(46)
130 7五角(93)
131 1四歩(15)
132 同 歩(13)
133 1三歩打
134 同 香(12)
135 2四歩(25)
136 3二金(42)
137 2三歩成(24)
138 同 銀(22)
139 2四歩打
140 同 銀(23)
141 7八香打
142 4四歩打
143 7五香(78)
144 4五歩(44)
145 3一龍(61)
146 同 金(32)
147 2三銀打
148 2二金(31)
149 3四角打
150 投了
まで149手で先手の勝ち




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20170326今日の一手(その483);俗手の好手

2017-03-26 | 今日の一手
20170326今日の一手

2014年10月の東海団体リーグから、私の将棋です。形勢判断と次の一手を考えてください。



一昨日の一手の回答
仕掛けはこういう形で

実際には私が後手番です。33桂(77桂)の形の角換わり。30年くらい愛用しています。後手番ということもあり、通常は受け身になるのですが、欲張って6筋から攻める形を作ってしまいました。ここでは作戦勝ちのはず。
24角同角同銀65歩同歩同桂同桂同銀64歩と進んで問題図。

☆ 形勢判断をします。
駒の損得はありません。
玉の堅さは同程度。どちらもかなり薄いです。
先手の攻め駒は65銀と持ち駒角桂で3枚。68飛も加えてよさそうで、ほぼ4枚です。
後手の攻め駒は持ち駒角桂で2枚。

総合すれば先手ややよしです。

☆ 大局観として
攻め駒が4枚ありますから攻めて戦果を得たいところです。とりあえず銀取りですから、出るか引くか取らせるか、という選択です。


× 取れるのですから、64同銀が自然です。

でも64同銀同飛46角

が攻防です。57角成が王手になるのが痛いですね。71銀64角82銀不成

と飛車の取り合いで57角成を防げますが、銀を取られていても、47飛と打ち込まれても自信がありません。

67飛には55桂

ですし、自然に64同銀とはできないようです。(だから後手が64歩と打ったわけです。)


× 56銀と引けば81飛くらいか。

55角33角64角と強攻しても66桂

でだめです。

持久戦にするとこういう図

右辺だけみると十分なのですが、桂馬を交換しているので先手玉が薄いので損でしょう。作戦負けです。


○ 銀を動かせないので、実戦では55角と打ちました。

46から打つと35角と合わせられて同角同銀は損をしていると思います。なので55から打ちます。
33角に64銀

というのが予定で、55角同銀や64同銀同角は先手が得をしていると思います。

55角に72桂と受けられました。

これで難しいのです。11角成は65歩21馬81飛

12馬に11銀で馬が死にます。同馬同飛

という図は、角と桂香の2枚換えは少し駒損。とはいえ攻め駒が5枚あるので何とかなりそうなのですが、うまい手段が見つかりません。ここでは形勢互角ですが、先の見通しが悪いです。

戻って72桂に56桂でも54歩

と催促されて、64桂と取るのが何でもないので困っています。

冷静に56銀と引くのが正しく

今度は11角成が有効です。33銀には同角成同桂71銀

があります。

よって33桂と防いで65歩

とするのが本筋。86歩同歩同飛には64歩54銀63歩成

が決まります。55銀には同銀、63同銀には91角成で先手十分。

86歩は危険で、81飛64歩54銀

というのは先手が良さそうなのですが、46桂55銀同銀は64桂

と拠点の歩を払うのが好手。2枚換えでやや先手よしですが、まだ難しいです。

46角と引いて

35銀同角同歩63銀にも64桂

が好手になり、54銀成(62銀不成より優る)同歩64飛53銀

というのもやや先手よしですが、これからです。

ということで56銀と引けばまあまあだったのですが、実戦は64銀と強攻してしまいました。

でも64同桂同角同銀同飛にはやはり46角があり、67飛に56銀

は後手優勢です。

途中で気が付いて、64銀同桂に77銀と自重したら33角

と打たれ、64角同銀同飛55角打

で67飛に77角成以下つぶされました。

でも33角に同角成として

33同桂71角72飛62角成同飛73金61飛62歩

で銀を取ればまだ指しようはありました。

なお、55角には(72桂ではなくて)73角

と受けるのも有力で、強攻はできず、56銀から持久戦ねらい。角が46で安定すればやや先手が指しやすいです。
また、72桂ではなく52桂と受けるほうが後手としてはわずかに得なのだろうと思います。


○ 先ほどの変化、最後にも出てきましたが、71角と打つのが有力です。

こういうのはいかにも俗筋。持ち駒を使って駒損するのですからかなり指しにくいのです。(対局中は全く思いつきませんでした。)72飛62角成同飛に73金がさらに俗筋。61飛63金同飛64銀

と進むのは普通は駄目なのです。角と銀歩の交換ですが、飛車をどこに逃げたものか。61飛には53銀成

で飛車を取れます。

83飛と逃げたら73銀成

で取れば62飛成で王手飛車ですね。

62飛には63銀成82飛(92飛には83銀)73成銀

で飛車を成れば十分です。


× 他には55桂ですが

65歩63桂成同金に55角が狙い。でも64桂

がぴったりで、11角成よりも76桂のほうが痛いです。

途中65歩に71角としても

72飛62角成同飛73金61飛63桂成

は角金交換で成桂があるので駒損でもないですが、攻めが重いです。66桂から反撃されて後手のほうが良いでしょう。


☆ まとめ

自然な手は64同銀ですが、後手から反撃があるのでだめでした。

56銀と退却すると作戦負け。桂馬の交換が損になってしまいます。

よって55角が本筋。攻め駒を足して攻撃続行です。そこで72桂と我慢されたら56銀から65歩とするのが正しい手順でした。

俗手がうまくいくこともあり、71角から駒を剥がして64銀と突撃、というのがかなりの俗手の組み合わせですが、この場合はうまくいきます。こういうのは俗手の好手というのですが、読みの裏付けが必要です。

55桂も俗手ですが、これはうまくいきません。


また本手と俗手という話になりましたが、定義としては
盤上の駒を使うのが本手
持ち駒を使って相手の守備駒を剥がしていくのが俗手
としてよいでしょう。本手のほうは広い意味で使っていると思います。「正しい手」という意味が含まれているのでしょう。
(日本語としては俗の対義語は聖ですが、聖手とは言いませんね。本手の対義語で嘘手ということもありますが、これは正しくない手と言う意味でしょう。)

本手としては64同銀と盤上の駒を使います。でも飛車が動くと反撃を食らってしまうのです。
よって55角として、33角に64銀とするのが本手でした。
55角に72桂と我慢された時に、力をためられなかったのが敗因でした。





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