20170320今日の一手
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2014年4月の名南将棋大会から、私の将棋です。形勢判断と次の一手を考えてください。
一昨日の一手の回答
序盤で
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先手のMさんは88銀のまま、78金も省略して腰掛銀で攻める、という指し方を開発していて、一度ひどい目にあいました。その後それを拝借して他の人に私が快勝した、ということもありました。それを踏まえて、68玉が早いので、後手の私が85歩77銀から棒銀に出た(この将棋は後手一手損角換わり、手損で急戦でよいのかということがあるのですが)のです。
かなり進んで問題図
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とにかく棒銀で猛攻して、銀交換になって一応成功。後手(実際は先後逆ですが)は35に銀を打って馬を作り、私が23銀と打ち込んで26歩と受けられた、という問題図です。
☆ 形勢判断をします。
駒の損得はありません。でも馬を作られていますからその分だけ先手の駒損です。
玉の堅さは先手のほうが堅いです。
先手の攻め駒は23銀19香と持ち駒角で3枚。28飛は26で利きを止められているので今は数えないです。
後手の攻め駒は47馬1枚。
総合すれば互角か、やや先手もちか、というところです。
☆ 大局観として
対局中は馬を作られてわるいのかなあ、と思っていましたが、そんなこともありません。先手玉が堅いということと、1筋の歩も切れて3歩持っているのですから、歩得ではなくても(可能性として)指せる手が多いのです。
ここは32銀成(あるいは不成)しかないではないか、と思わずに、手を探すことです。2014年はまだこのブログを書き始める前で、なるべくいろいろな手を探そう、と反省していたころ。細い攻めをつなげるというのを苦手にしていたのです。形勢判断の基準もあいまいで、感覚的に少し悪いと思っていたのは、後手のほうをもって、馬を作って抑え込む、というほうが考えやすかったからなのですが、この頃と比べると今のほうが強くなったなあ、という気はします。
角換わりに限らず、棒銀は攻め駒が飛角銀だけになりやすいので、実は難しい戦法です。29桂を使いにくいので4枚目の攻め駒はどうするか、というのが難しいのです。うまくいくのは端が絡む場合で、19香が攻め駒になるのなら、4枚で攻められる可能性が高くなります。
この場合は1筋の歩が切れているので、19香も攻め駒になっています。条件が良いのでなにか手がありそう。32銀成以外も考えてみましょう。とにかく攻めたいのです。
△ 24歩は同銀
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となって、他の変化に合流するかもしれませんが、後手の歩切れが解消するので少し早いか。
○ 実戦は32銀成で自然な手
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というか、これしかないと思い込んでいました。もちろん悪手ではありません。32同玉に24歩同銀 26飛25歩28飛39銀
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普通の手を指しているとこういう展開でしょう。18飛29馬23歩28銀成16飛14歩
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飛車を攻められて少し困りました。ここで42歩同金12歩15歩21角(これを取ってもらえず)23玉15飛同銀同香24玉
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飛車を切って攻めましたが入玉されて負けました。
途中42歩ではなく重く22金と打って
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42玉に12歩! 15歩46飛19馬49飛18馬11歩成
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と端から攻めておけば当面入玉はなく、指せていたようです。1筋に歩を打てるというのが生かせました。
また、32銀成同玉に58角
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というのがかなり有力で、58同馬同金
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なら馬が消えて互角以上。
58角には46馬と逃げて、13香不成同香14歩
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というのが継続手です。14同香が仕方なく、同角23銀58角に45桂なら49香
24香なら18飛12歩13歩
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という調子です。香をさばいた(交換した)ら攻めの手(の可能性)が増えます。
○ 32銀成を決めずに58角
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でも先ほどの変化に合流します。
△ 56角と打つのも考えられて
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46馬には34銀成が狙いで、同金同角
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は後手玉が薄くなって攻めやすいでしょう。(34銀成に56馬35成銀というのも先手が少し良い。)
25馬には32銀成同玉15金
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で馬を殺せます。
ということで56角には同馬が最善。
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32銀成同玉56歩に39角
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とされるのが、前にやった58角の変化と違うところで、57歩58金の形なら、この角打ちはなかったわけです。
38飛84角成36歩24銀58飛
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くらいか。これは互角です。
△ 他には強引な感じですが71角もあって
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これは72飛34銀成同金53角成
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というのが狙いで、銀を取り返せば十分です。
34銀成の時に71飛と角を取られるのでしょう。
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35成銀として、46角にも36銀
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と打てば受かります。(36成銀は同馬。)57角成同金同馬88玉
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というのは飛車の働きに差があるので先手のほうが攻めやすいです。
46角ではなく38角なら
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26飛29角成23銀
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駒損ですが後手は歩切れですし、攻めは十分続きます。
戻って、71角には52飛
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の時に攻めにくく見えるのです。(だから強引な感じがします。角で取る駒がないですから。)
32銀成同玉24歩
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としておいて、27銀なら同飛同歩成23銀41玉62金42飛12歩
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また1筋に歩が利くのが大きく、これは攻めが切れません。
24歩には同銀なのでしょう。
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26飛25歩28飛39銀
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ここで48歩もありますが、同銀成で損得不明。18飛29馬88玉28銀成16飛14歩82金
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くらいで互角ですが先は長いです。
蛇足ですが、途中後手は25歩ではなく25銀で間に合わせると
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13飛成と強攻する筋が生じます。
☆まとめ
駒は当たっているときが一番働いているといいますが、駒取りを放置して他の手を指す、つまり、相手の駒取りで返すとか、その駒を捨てて手を稼ぐとか、安い駒を取って敵陣を乱すとか、という手を考えてみることです。相手の意表を突くという効果もあるでしょう。
この場合は32銀成は王手なのですから、角を打って馬に当てる、という手が成立するのだなあ、とわかります。58か56に角を打って、同馬に32銀成から馬を取りかえすことができます。
56角の時には34銀成があるので馬が逃げにくい、ならば馬を消して金銀交換ですからわずかに駒得です。ただし直後に39角から馬を作られるので形勢互角。
比較検討すると58角が優るようで、それなら32銀成同玉58角でも同じことでしたが、馬を逃げられても13香不成(香成でもよい)から香をさばけます。
また、71角と飛車取りで返すのも有力で、やや強引ですが成立するようです。32銀成を決めていないので、34銀成の味が残ります。
32銀成同玉と清算してから(58角に気がつかないと)だと後手も受けやすくなるので攻めの手を探すのに苦労します。