20190630今日の一手
5月1日の名南将棋大会から、YさんとNさんの対局です。形勢判断と次の一手を考えてください。
一昨日の一手の回答
序盤の乱戦ですから手順を見ておきましょう。
実際は先後逆です。(実際の)後手が78金の前に飛車先を交換しました。これはあまり見ませんが疑問手ではないです。
後手(実際は先手)が23歩とすれば26飛か28飛で相掛かり(34飛に45角があるので横歩を取れない、相掛かりに限定できるので先手が少し得なのかも)です。
後手(実際は先手)が86歩同歩同飛ならば78金とするでしょうから、よく見る形に戻ります。
さて実戦は88角成同銀33角
これが成立しているかどうか。後手が32金としているので28飛26歩78金
22飛とまわる変化がないので、これは先手(実際は後手)十分です。
26歩ではなく27歩として、この図か
この図か
形勢は互角です。
さて実戦は33角から
21飛成88角成となったのが問題図です。
☆ 形勢判断をします。
銀桂交換で竜馬の作り合い、先手の駒損です。序盤では評価を重く見ます。
玉の堅さは先手のほうが少し堅いです。
先手の攻め駒は21竜と持ち駒角桂で3枚。
後手の攻め駒は88馬と持ち駒銀で2枚。
総合すれば先手有利と言いたいところですが、駒損を重く見て互角です。
☆ 大局観として
後手玉を寄せるまで行けばもちろん先手優勢ですが、当面の目標は駒損を回復することです。
竜の働きが良いので、31銀32金をうまく取れるかどうか。何もしなければ後手は22馬同竜同銀、飛銀と角桂の交換で駒損が少し広がります。99香や89馬を取られるのも痛いですから、何か攻めねば(駒を取らねば)なりません。
× 24歩あるいは23歩でも同じですが、12銀とされると
竜を殺されて駒損が広がってしまいます。22馬以外にも気をつけなければいけない筋です。
22馬だったとしても後手有利でしょう。
○ 実戦は24桂です。
12銀を消しているので一番良い攻め方でしょう。これで形勢が良くなるかどうかというのが問題です。22馬32桂成同飛
先手の駒損は消えました。どれを取るのが正解でしょうか。一番大きい駒は馬ですから、22竜が正しいはずです。22同飛を気にしてやめたのだと思いますが、33角があります。
角飛交換にすれば、トータルでは銀金交換ですからわずかに駒得です。それ以上に後手が金を持っていないのでうまく受けられないのです。例えば41玉22角成同銀23歩
どんどん攻めることができますから先手優勢です。
ということで22竜には同銀しかありません。
ゆっくり駒組でも悪くはありませんが、角を打って攻めたいです。65角よりも21角42飛32金
筋悪ですが駒得をねらえます。82飛22金の時に22同飛は33角がありますね。27飛でも33角
王手でひもをつけてから28歩を打てば良いです。
27飛で25飛の場合は26歩22飛引(26同飛は15角)33角
42飛右には43角成、42飛左には31銀という調子で、これも先手優勢です。
さて実戦は32竜
飛のほうを取ると馬を作られているので駒損なのです。32銀84飛99馬(72銀打で良い)81飛成
これならば形勢不明になったかと思えば、28歩同銀98飛58桂89馬
後手のほうが先に駒を取っているので後手有利です。攻め駒が多いので、少し後に21香27歩35桂38金27桂成、という順で寄せられてしまいました。
後手の変化として24桂に12銀はないですが、41銀と受ける手は考えられます。
32桂成同銀直11竜としたいのですが88馬が利いています。77角同馬同桂22角
馬を消せば自陣角で粘られます。66角同角同歩22角65桂
62銀32桂成同銀右33角
こんな手が見えれば、33同銀23歩42玉22歩成同銀引24角
33角には23金24角22金、33桂には53桂成同銀23歩、先手優勢です。
△ 23桂だと
12銀31竜同金同桂成
これは飛と金桂の交換でまあまあです。99馬77角89馬11角成
後手に桂香を取られても、11香を取り12銀も取れそうです。
23桂に22馬
31桂成同金22竜同金
結局は飛角交換で互角なのですが、後手のほうが攻めやすい気はします。
○ 角を打つならば77角で
77同馬同桂ならば桂が使えます。22角65桂
攻め駒が4枚になりました。77角成~22馬とか12銀は怖くないわけです。64銀と守られて48玉65銀24歩
65桂は取られても、銀を使わせたので歩を垂らしておきます。23桂(角が動けば23歩成)をねらって、駒損ですが攻めは続きます。
77角に89馬ならば
11角成22歩33香
駒損は消えていきます。
△ 66角だと
66同馬同歩22角24桂
23銀には32桂成同銀引33角
33同銀には23歩、33同角には31竜、という派手な手があります。
後手は23銀ではなく33金
12桂成同香同竜23銀
21竜32銀引12竜23銀・・・で千日手ですが、元は先手側が後手でしたから、これでも良いでしょう。
△ 角を打たないで66歩とするのもあって
66同馬なら89桂を取られません。77角と打てばちょっと得なのかも。89馬に24桂41銀
32桂成同銀直11竜99馬
駒を取り合ったら先手が駒損ですが、後手の82飛は攻めに使えていないので形勢互角です。
△か× 75角は
53角成を受けてもらえば24桂
が厳しくなります。
53の地点を受けずに99馬24桂41銀53角成
馬はできました。でも42金71馬同金31竜89馬
角香と銀の交換では駒損です。うまくいきませんでした。
× 18角だと
12銀28竜89馬63角成99馬
先ほどの53角成よりも63角成のほうが甘いわけで、駒損をカバーできないです。
☆ まとめ
後手番で86歩同歩同飛、図面は先後逆なので24歩同歩同飛とする指し方は
86歩同歩同飛78金ならばよくある序盤に戻りますが、23歩を打たれると横歩取りにできないのでやや損な作戦です。(この序盤の数手は後手が横歩取りに誘導するためのものなので。)
先手の88角成同銀33角というのは
ここでは無理筋です。
32金としていない形、つまり先手が24歩同歩同飛とするのは
32金78金は元に戻り互角です。88角成同銀33角21飛成88角成
同じ手順で進んでも、41金型のほうが後手玉が堅いので後手よしです。24桂の攻めがありませんね。77角89馬11角成32銀と進んでいくと駒の損得の差が出てきます。
先手が28飛と引いて自重すると
26歩77桂22飛38銀
となって収まるのですが、77桂の形が悪くて気に入らない、よって先手がこの順を選ばないというのが常識です。
序盤の乱戦はちょっとしたことで優劣が変わることがあるのですが、
収まるのならば駒の損得が大事
激しくなるのならば攻め駒の数、少し進むと玉の安全度が大事
というように理解しています。
問題図では
駒損を回復するために24桂が本線で、(24桂がないのならばこちらが本線で)馬を消すために77角を打つかどうかも考えます。
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