名将会ブログ (旧 名南将棋大会ブログ)

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20180528今日の一手(その699);角の利き

2018-05-28 | 今日の一手

20180528今日の一手

2月25日の名南将棋大会から、AさんとNさんの対局です。形勢判断と次の一手を考えてください。


一昨日の一手の回答

☆ 形勢判断をします。

先手の2歩得ですが、後手に持ち歩があるのでカウントせず、損得なしとみます。
玉の堅さは後手のほうが堅いです。
先手の攻め駒は88角25桂で2枚。
後手の攻め駒は84飛42角で2枚。

総合すれば後手もちです。

☆ 大局観として

先手陣は金銀バラバラですが、角筋を通して後手に銀を打たせたところです。銀を取れる/後手は逃げにくい のですから先手の駒得になるでしょう。
駒得ならば長期戦にするのが本筋です。金銀の連結を良くしたり、玉を固めたりしたいところなのですが、後手からは86角同歩同飛という攻め筋が見えますね。それを受けるか、甘受するかという判断が必要でしょう。激しい戦いにして間に合わないようにするという選択肢もあるのですが、先手玉は薄いので難しいところです。
後手玉が堅いけれど、駒得になりそうだから形勢互角以上になるという大局観で考えていきます。


△か× 58金は普通の手で

1手で金銀の連結が良くなって先手玉が堅くなります。86角同歩同飛

大丈夫でしょうか?駒得でも飛車を成られたらまずそうです。反撃筋は77角打87飛成35歩と攻めるのですが、65桂66角77歩

が角取りになります。34歩44銀45歩88竜44歩57角

66角を消されてしまうのでこれは先手失敗です。

77歩に33桂成から入って

33同銀34歩44銀に77桂

と工夫してみると、57金37玉88竜65桂47金同金

後手は36歩か28竜か79竜か、まだ後手玉が危険ではないので、後手に選択権があります。

途中57金を同金と取っても

88竜58金57角

でやはり66角を消されると面白くないです。57同角同桂成同玉39角48飛77竜

で寄せられてしまいそうです。


△ 37玉は28飛の横利きを通していて

86角同歩同飛77角打ち87飛成35歩44歩

というのはまあまあです。88角には28飛のひもも付いています。ただし先手玉の真上で戦っているので流れ弾に当たる可能性があります。


△ 78銀なら

87飛成がないので86角の筋は怖くないです。24歩33桂成同角同角成同銀

催促されて少し駒得の取引ですが、後手から66角が残ります。95角83飛74銀

と反撃に出ると、94歩83銀成95歩73成銀66角

というのは歓迎ではありません。

自陣角(77角)を打って

こういう図を目指せばまあまあです。


○ 75歩として

86角の筋を受けておくほうが良いでしょう。24歩33桂成同角同角成同銀

清算したときに66角がないです。後手から88角は遅いので、95角83飛74歩

(74歩では74銀でもよさそうですが、)先手陣の金銀がバラバラでも少し指しやすいでしょう。

後手としてはどうせ73桂を取られてしまうので65桂と跳ねて

58金24歩33桂成同角、という順を選ぶのですが、66歩

先手は角を交換せずに一応は桂を殺して(88角が浮いているので取り切るのはかなり先ですが)陣形整備しておくほうが堅実です。

なお後手が24歩の催促をしてこなければ

じっくり駒組みを進めて、79飛やら33桂成同桂74銀やらを見ておけば指しやすいです。


△ 実戦は66角として

81飛37玉44歩75歩65桂88飛

飛車も動員して8筋を守りました。陣形整備の後

55歩同角57桂成という筋を食らってちょっと指しにくくなりました。竜を作られてもまだ難しいのですが、玉の堅さに差があるので後手を持ちたい攻防が続きました。
最初の66角自体は後手に65桂を許し、それを取り切りにくいので少し損をしているのかもしれません。


△ 攻めるほうを見れば、先手から33桂成が自然なのですが

先のいくつかの変化で見たように、後手から24歩と催促されて取るほうが得なのです。
33同角同角成同桂95角

35歩同歩34歩は36桂で返せるので桂で取ってみました。83飛74銀65桂

65同銀88角ではつまりません。83銀不成に57角37玉79角成・・・というのは95角83銀が遊んでしまうので難しそうです。

また、後手は角を交換しないで銀で取っておく

のもあります。35歩同歩34歩44銀45歩36桂

という反撃があるからですが、36同銀同歩44歩

後手の37銀はまだたいしたこともなく、43歩成のほうが厳しいのでこれは先手よしです。


○ 攻めるなら35歩を先にして

桂を渡さないので35同歩34歩は明らかに先手有利です。12玉や31玉もつらいので、44歩くらいしか受けがなく、33桂成同銀34歩同銀44角

33桂35歩43銀66角81飛38飛

34歩が厳しくて先手優勢です。(74桂77角86桂に34歩)

後手が33桂ではなく33歩ならば

これくらいなのですが、(陣形整備してから)45歩の味が良いです。


☆ まとめ

受けの棋風だと86角の対応策から考えそうです。一番良さそうなのは軽く75歩だと思います。これは後手の角筋を止めていますし、73桂を攻める意味もあります。

駒得重視ならば33同桂成から考えますが、角交換(角桂と角銀の交換)というのが不安です。どうせ33銀は逃げられないのですから、催促された時に取るのが戦い上手というものです。

攻めとしては33銀を歩で取るほうがはるかに勝ります。だから35歩が本筋というもので、44歩と受けられた時に34歩か33桂成を比較検討すればよいでしょう。44歩ならば角交換にならない、先手の88角の方が後手の42角よりも働いているのですから好都合なのでした。

将棋の序盤では角が働くことが多いです。角の働きに差が出れば、働いている方が指しやすくなるものです。


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