名将会ブログ (旧 名南将棋大会ブログ)

名古屋で将棋大会を開いています。
みなさんの棋力向上のための記事を毎日投稿しています。

大山将棋研究(378); 三間飛車に銀冠

2016-12-24 | 大山将棋研究
昭和52年11月、米長邦雄先生と第36期名人挑戦者リーグです。
この時期は大山米長戦が面白いです。升田先生は休場がちで、中原先生とはワンサイドも多いですから。


大山先生の三間飛車になりそうで

米長先生は左美濃。

銀冠にする途中なのですが、石田流をけん制して46銀と出て

さらに3筋の歩交換。このあたりが互いに意地を張っている感じが出ています。

78金と締まっていないので34飛46歩同歩というのはやりにくそうです。

大山先生が3筋の勢力で優り

米長玉が出ました。この後にねらいがあるのが正調の米長玉です。

7筋を突き捨てて歩を合わせ

6筋に飛車を回ります。どこかで見たことがあるのですが、米長の将棋だと思います。

75歩と合わせて金を進出し

桂馬と刺し違えて歩を突きだす。こういう構想が98玉のあたりからできているのです。

角をぶつけ

77銀も味が良いです。大山先生も62金直から飛車を使います。

米長先生は43角から21角成ではなくて65角成が本筋。

58飛成にも飛車をぶつけて64歩と押さえます。

いつもの大山先生なら54金打ではないかと思うのですが、米長先生相手だとなにか違うのです。端から反撃するのは勝負手ですが反動もあります。

米長先生は端を取り込ませて連打し

馬を引いて44馬を狙います。

2枚換えに成功し

さっと玉をかわす。でもまだ難しそうですね。大山先生は65歩としておくくらいだったか。

44角は攻防に見えるのですが、43金という捨て駒がありました。これは考えにくい手です。

77角成と切る手があるわけで、でもそれを飛車で取って7筋からさばく、きれいな手順でした。

銀は取れないのですが94飛というのが好位置。大山先生も反撃して

香を取り合えば

米長先生の角打ちが痛打です。

72香で退路封鎖。大山先生は銀を打って受けますが

飛車銀交換でも香まで攻めに働きます。

投了図。

米長先生の快勝譜なのですが、大山先生の明らかに疑問手というのもなく、米長邦雄の名局、というのがぴったりです。中盤の構想や43金と捨てるのも、何度並べても感心するしかないです。


#KIF version=2.0 encoding=Shift_JIS
# ---- Kifu for Windows V7 V7.23 棋譜ファイル ----
手合割:平手  
先手:米長邦雄8段
後手:大山棋聖
手数----指手--
1 7六歩(77)
2 3四歩(33)
3 2六歩(27)
4 4四歩(43)
5 4八銀(39)
6 3二銀(31)
7 5六歩(57)
8 4三銀(32)
9 6八玉(59)
10 3五歩(34)
11 2五歩(26)
12 3三角(22)
13 7八玉(68)
14 3二飛(82)
15 5八金(49)
16 6二玉(51)
17 7七角(88)
18 7二玉(62)
19 8八玉(78)
20 8二玉(72)
21 7八銀(79)
22 7二銀(71)
23 9六歩(97)
24 9四歩(93)
25 8六歩(87)
26 5二金(41)
27 1六歩(17)
28 1四歩(13)
29 6六歩(67)
30 6四歩(63)
31 6七金(58)
32 6三金(52)
33 8七銀(78)
34 7四歩(73)
35 5七銀(48)
36 5四歩(53)
37 4六銀(57)
38 3四銀(43)
39 2六飛(28)
40 7三桂(81)
41 3六歩(37)
42 同 歩(35)
43 同 飛(26)
44 4五歩(44)
45 5七銀(46)
46 4四角(33)
47 7八金(69)
48 3五銀(34)
49 3九飛(36)
50 3六歩打
51 6八銀(57)
52 1三香(11)
53 9八玉(88)
54 8四歩(83)
55 7五歩(76)
56 同 歩(74)
57 7六歩打
58 同 歩(75)
59 同 金(67)
60 7四歩打
61 6九飛(39)
62 5五歩(54)
63 7五歩打
64 同 歩(74)
65 同 金(76)
66 7四歩打
67 8四金(75)
68 8三歩打
69 7三金(84)
70 同 銀(72)
71 6五歩(66)
72 同 歩(64)
73 5五角(77)
74 6二金(61)
75 7七銀(68)
76 5二飛(32)
77 4四角(55)
78 同 銀(35)
79 4三角打
80 5六飛(52)
81 6五角成(43)
82 5八飛成(56)
83 6八飛(69)
84 5九龍(58)
85 6四歩打
86 5三金(63)
87 8五桂打
88 9五歩(94)
89 7九歩打
90 9六歩(95)
91 9二歩打
92 同 香(91)
93 9三歩打
94 同 香(92)
95 6六馬(65)
96 9五香(93)
97 4四馬(66)
98 6七歩打
99 5三馬(44)
100 同 龍(59)
101 6七飛(68)
102 6四銀(73)
103 8八玉(98)
104 4四角打
105 4三金打
106 7七角成(44)
107 同 飛(67)
108 4三龍(53)
109 7四飛(77)
110 7三歩打
111 9四飛(74)
112 5五角打
113 6六歩打
114 同 角(55)
115 7七銀打
116 5五角(66)
117 9五飛(94)
118 1九角成(55)
119 6三歩打
120 同 金(62)
121 6一角打
122 3二龍(43)
123 7二香打
124 8四銀打
125 9六飛(95)
126 9五歩打
127 同 飛(96)
128 同 銀(84)
129 同 香(99)
130 9一香打
131 7一銀打
132 8一玉(82)
133 9一香成(95)
134 同 玉(81)
135 9九香打
136 投了
まで135手で先手の勝ち
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20161224今日の一手(その437): 攻め駒を4枚にする

2016-12-24 | 今日の一手
20161224今日の一手


12月4日の名南将棋大会から、KさんとOさんの対局です。形勢判断と次の一手を考えてください。




一昨日の一手の回答

☆ 形勢判断をします。
香と銀歩の交換で、後手に持ち歩がないので歩もカウントします。成桂と馬に対して後手は竜があり、トータルでは先手の駒得です。
玉の堅さの比較は難しいですね。とりあえず同程度とみておきます。
(後手玉の囲いに迫っているものだけ数えて)先手の攻め駒は21竜と持ち駒銀で2枚。
後手の攻め駒は19竜84香と持ち駒桂で3枚です。

総合すれば互角か先手が少し良いか、というところです。

☆ 大局観として
先手の駒得ですが、後手は39歩成から金銀1枚と交換することはできそうです。12香を取って銀を取られたとしたら駒得はほとんど消えてしまいます。ですから長期戦でよし、とも言いにくい局面です。対抗策で先手も と金を作ってというのは考えてもよいです。
玉を固めるといっても57銀では65桂があるのでここではうまい手が見えません。

ということで攻めることを考えればよいでしょう。攻め駒を増やして後手の美濃囲いを削ります。場合によっては12香を取って攻め駒を増やしつつ駒得を図るのも有効です。


× 実戦では44銀と打ったのですが

17角成を防ぐという意味もあって、打ちたくなるのもわかりますが、角を逃げられると銀の利きは後手の美濃囲いに届いていないので、そのままでは打った銀を攻め駒にカウントできません。つまりもったいないのです。
71角に12竜39歩成79金49と68銀18竜59香48と

と金から金銀を逃げたはずでしたが逃げきれず金をはがされました。以下は48同金同竜43成桂62金寄53成桂

53で清算して63金を打つ、という狙いですが、攻め駒の数を見てみると、①44銀と打って-1で1枚。②12香を取って+1で2枚。③59香と使って-1で1枚、④43成桂と使って+1で2枚。⑤今53で清算して金をもって2枚のまま
結局は攻め駒が最大2枚ですね。だから攻めが続きませんでした。


△ 銀を打つなら43銀のほうが使いやすくて

62金寄に42成桂39歩成51成桂

と潜り、成桂は金と交換できます。49と61成桂同銀

ここがよくわからなくて、後手は銀を取って72銀打と粘れます。43の銀が(44銀よりも)使いやすいとはいえ、形勢不明です。


× と金を作るなら32歩ですが

39歩成31歩成26角

後手が と金を使うほうが速いです。


△ 12竜と香を取って

39歩成に45香17角成43香成62金寄42成桂

と寄せていいけば攻め駒はほぼ4枚になります。1手違いの寄せ合いで形勢不明。欲を言えば と金でで攻めたいのですが、悪い指し方ではありません。


△ 34成桂と引いて44成桂ねらい。

39歩成なら44成桂71角34歩

として と金で攻めます。
49と68銀18竜33歩成48と同金同竜43と62金寄53銀

これなら最初に32歩よりも良さそうです。千日手の可能性もありそうで形勢は互角です。

34成桂に17角成なら

33馬39歩成43成桂62金寄35歩

という感じで53銀を狙います。と金作りでは遅いので馬を使って攻めますが、できれば77~88に利かせたまま攻める感じです。


○ ここまでしっかり寄せるという感じではないので、46の銀を45に出て攻めに使ってみます。

39歩成54銀17角成43成桂51金引(62金寄もある)12竜

これで53香や63香や63銀成を狙います。攻め駒はほぼ4枚、さらに54の銀も予備で使えるのでこれなら攻めが切れないでしょう。


☆ まとめ
いろいろな寄せ方がありそうで、45銀と使うのが一番よさそうに思えます。ただし後手に持ち歩があるときは54の歩を取ると57歩とたたかれるのでケースバイケースです。46の銀は57に引いて守りに使うことのほうが多いでしょう。この場合は65桂があるので攻めに使ってみました、ということなのです。

大切なのは攻め駒の数で、ほとんどの場合攻め駒は4枚を目指します。問題図では2枚ですからまずは3枚、さらに4枚と、どの駒を攻め駒にするかを考えます。
もしすでに攻め駒が4枚あったとしたら、12竜と香を取るのは緩手の可能性があります。(細かいことを言えば、可能性としては、竜が1段目から2段目にかわるので21竜~12竜は緩手になりにくく、21竜~11竜は緩手になりやすいです。)攻め駒が4枚なら寄せを目指しましょう。
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大山将棋研究(377); 三間飛車に鳥刺し

2016-12-23 | 大山将棋研究
昭和52年10月、勝浦修先生と第29期王将戦です。


大山先生は三間飛車ですが、勝浦先生の駒組みの順番に違和感がありますね。石田流の拒否で急戦ですが、75歩には85歩で問題なし。34歩としていないのは

鳥刺しでした。関西の棋士が指すのはわかるのですが、勝浦先生が指すとは思いませんでした。

大山先生の対応が変わった指し方で、5筋を取り込ませて46銀とかわします。

勝浦先生は8筋に目を向けて、

88飛に75歩で交換し

垂れ歩です。いかにもカミソリらしい鋭い手でした。78同飛に86角の筋で攻めようというわけです。88飛には59角成のつもり。83歩同飛88飛というのもあったとは思いますが

大山先生は桂の二段跳ね、銀に当たって気持ちよく使います。

53歩も決めて

85歩から84歩のねらいです。勝浦先生は謝るわけにもいかず飛車を7筋に使いますが

大山先生の73歩から74歩というのも手筋です。

飛車のさばきを抑えれば8筋から突破できます。

勝浦先生は76歩からの と金で、どちらが速いか。

大山先生は飛車を取れます。

44桂~56桂と金を取らせている間に寄せようとしていて、勝浦先生はさらに と金で攻めます。

2枚飛車は速いのですが

51歩で頑張れるので一回両者手を戻します。大山先生のほぼ飛車得ですが、と金2枚も大きく、形勢不明です。

勝浦先生は2枚換えでもよいから飛車が欲しいというのですが

大山先生は踏み込めません。ここで65と と引いたのがどうだったか。重くても68桂成~59と と寄せを見せるべきだったか。と金を引くのは26香から攻められるのを緩和した意味もあるのですが

香を打たれ

竜を回られ64と と引けず

65の と金も取られて受けつぶしです。これで投了図ですがまだ指せば指せると思います。勝浦先生が嫌になったのでしょう。

鋭い手を好む勝浦先生は、粘るのも苦手ではないにしても好きではないのでしょう、どこかから形勢を悲観して粘るのをやめてしまいました。
なお、鳥刺しとしては52金右を省略して攻めるほうがいいでしょう。本譜のような展開でも53歩が金に当たらないのでかなり違います。


#KIF version=2.0 encoding=Shift_JIS
# ---- Kifu for Windows V7 V7.23 棋譜ファイル ----
手合割:平手  
先手:大山棋聖
後手:勝浦修8段
手数----指手--
1 7六歩(77)
2 8四歩(83)
3 5六歩(57)
4 5四歩(53)
5 7八飛(28)
6 6二銀(71)
7 6八銀(79)
8 4二玉(51)
9 4八玉(59)
10 3二玉(42)
11 3八玉(48)
12 4二銀(31)
13 5八金(69)
14 7四歩(73)
15 5七銀(68)
16 8五歩(84)
17 7七角(88)
18 5三銀(42)
19 6六歩(67)
20 6四銀(53)
21 6七金(58)
22 3一角(22)
23 5九角(77)
24 5二金(61)
25 2八玉(38)
26 5五歩(54)
27 3八銀(39)
28 5六歩(55)
29 4六銀(57)
30 7三銀(64)
31 8八飛(78)
32 7五歩(74)
33 同 歩(76)
34 同 角(31)
35 3六歩(37)
36 4二角(75)
37 5六金(67)
38 8六歩(85)
39 同 歩(87)
40 7八歩打
41 7七桂(89)
42 7九歩成(78)
43 6五桂(77)
44 6四銀(73)
45 5三歩打
46 5一金(52)
47 8五歩(86)
48 7二飛(82)
49 7三歩打
50 同 桂(81)
51 7四歩打
52 6五桂(73)
53 同 歩(66)
54 5三銀(64)
55 6六桂打
56 6九と(79)
57 3七角(59)
58 7六歩打
59 8四歩(85)
60 7七歩成(76)
61 8三歩成(84)
62 7一飛(72)
63 8四飛(88)
64 6七と(77)
65 8二と(83)
66 4四桂打
67 7一と(82)
68 5六桂(44)
69 7三歩成(74)
70 同 銀(62)
71 8一飛成(84)
72 5七歩打
73 6一と(71)
74 5二金(51)
75 7一飛打
76 5八歩成(57)
77 6二と(61)
78 5一歩打
79 5二と(62)
80 同 金(41)
81 7三飛成(71)
82 4九と(58)
83 同 銀(38)
84 6六と(67)
85 8二龍(73)
86 7一歩打
87 同 龍(81)
88 6二銀(53)
89 9一龍(71)
90 7一金打
91 8四龍(82)
92 6五と(66)
93 5四香打
94 8一歩打
95 5二香成(54)
96 同 歩(51)
97 5四龍(84)
98 6八桂成(56)
99 6五龍(54)
100 5九と(69)
101 3八銀(49)
102 5八成桂(68)
103 7二歩打
104 6一金(71)
105 8一龍(91)
106 7一歩打
107 8八龍(81)
108 投了
まで107手で先手の勝ち
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大山将棋研究(376); 力戦相居飛車

2016-12-22 | 大山将棋研究
昭和52年10月、淡路仁茂先生と第27期王将戦です。淡路先生王将リーグにも入っていたんですね。


淡路先生が1筋の位を取り、さらに84歩。穴熊にしてくださいということだったのでしょう。大山先生は居飛車に。

凸矢倉(銀立矢倉)になりました。

淡路先生は手が遅れているのですが、金を繰り出して攻め味を見せます。

いつでも75金と行ける態勢です。

少し組み合って、大山先生の待ち方が難しくなってしまいました。でも78玉くらいは指したいかなあと思うのですが、端を攻めます。

当然二枚換えになって

63角の筋を見て、86歩が狙いでした。取れば88飛もありそうです。

淡路先生は86歩を横目に玉を移動して52銀打。不倒流らしいですね。玉がいっぺんに固くなりました。

大山先生は8筋の取り込みから突き出しで勝負ですが、もう勝てる形ではなくなってきました。

57香を食らい

飛車を切って銀打。攻め駒3枚ですがかなり受けにくいです。

98角の受けに78歩から87歩と大駒を呼んでから飛車を取ります。

87歩が利いていますね。合駒は58香成から取られるだけです。

79玉で耐えて飛車打ちは詰めろですが、桂を跳ねるのが幸便。

銀を引くのは余計でしたが

詰んでいました。

大山先生は気が付けば作戦負けなんでしょう。2枚換えの筋にいくのは少し辛いです。これも作戦負けの時に自分から動くと早く負ける、という典型です。86歩同歩88飛のつもりだったのでしょう。ということは手順前後で16歩同歩86歩だったか。動く時にはよく読まなければいけません。


#KIF version=2.0 encoding=Shift_JIS
# ---- Kifu for Windows V7 V7.23 棋譜ファイル ----
手合割:平手  
先手:大山棋聖
後手:淡路仁茂5段
手数----指手--
1 7六歩(77)
2 3四歩(33)
3 6六歩(67)
4 1四歩(13)
5 7八銀(79)
6 1五歩(14)
7 5六歩(57)
8 5四歩(53)
9 6七銀(78)
10 8四歩(83)
11 4八銀(39)
12 8五歩(84)
13 7七角(88)
14 6二銀(71)
15 5七銀(48)
16 3二銀(31)
17 7五歩(76)
18 4四歩(43)
19 7六銀(67)
20 4三銀(32)
21 7八金(69)
22 5三銀(62)
23 6九玉(59)
24 5二金(61)
25 5八金(49)
26 6四歩(63)
27 6七金(58)
28 6三金(52)
29 2六歩(27)
30 7四歩(73)
31 同 歩(75)
32 同 金(63)
33 7五歩打
34 8四金(74)
35 2五歩(26)
36 3二金(41)
37 5九角(77)
38 7二飛(82)
39 7七金(78)
40 1三角(22)
41 3六歩(37)
42 3三桂(21)
43 1六歩(17)
44 同 歩(15)
45 同 香(19)
46 5七角成(13)
47 同 金(67)
48 1六香(11)
49 8六歩(87)
50 4二玉(51)
51 1四歩打
52 1二歩打
53 6七金(57)
54 5二銀打
55 8五歩(86)
56 7五金(84)
57 8四歩(85)
58 1九香成(16)
59 3七桂(29)
60 7六金(75)
61 同 金(77)
62 5七香打
63 7七角(59)
64 7六飛(72)
65 同 金(67)
66 6七銀打
67 9八角打
68 7八歩打
69 同 飛(28)
70 8七歩打
71 同 角(98)
72 7八銀成(67)
73 同 玉(69)
74 3八飛打
75 7九玉(78)
76 5八香成(57)
77 7一飛打
78 4五桂(33)
79 同 桂(37)
80 同 歩(44)
81 6五歩(66)
82 6二銀(53)
83 7二飛成(71)
84 6九成香(58)
85 投了
まで84手で後手の勝ち
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20161222今日の一手(その436): 守りの駒を交換したら打ってしまうほうが手堅い

2016-12-22 | 今日の一手
20161222今日の一手


12月4日の名南将棋大会から、NさんとYさんの対局です。形勢判断と次の一手を考えてください。



一昨日の一手の回答

☆ 形勢判断をします。
駒の損得はありません。
玉の堅さは先手のほうが堅いです。
先手の攻め駒は持ち駒角1枚。
後手の攻め駒は44角1枚。

総合すればやや先手もちです。

☆ 大局観として
後手の陣形が弱いですね。32金42金の形ならしっかりしているのですが。44の角は71角から馬を作る筋に対応して仕方なく打たされたものです。
先手は四間飛車から向い飛車、さらに4筋にまわって、4筋から攻めようとしました。その攻めの継続ができるか、という問題です。
玉の堅さは上回っていますから、駒得にするか、攻め駒を増やすか、でさらに指しやすくなるはずです。
駒得にするなら、ぴったりの手が見えますね。ただし守りの駒ですから見た目より得でもないので、その後の展開に注意しましょう。
攻め駒を増やすなら、今の戦場は4筋ですから、48飛や47金や37桂を使うということになります。でもできれば77銀くらいは攻めに使えないかな?と考えます。
さて、どの手を指したいですか?形勢が少しでも良ければ、自然な手ならほぼよい手になります。


△ 実戦は57金と飛車先を通して、後手は43歩と受けました。

44飛~71角の筋を受けたわけです。45桂75歩33桂成同角

銀桂交換に成功しましたが、65桂があります。(でも多分実戦ではスルーしてこの手順だと思うのですが)44歩76歩43歩成同金右66銀44桂

となって、36桂の筋を狙われ、怪しくなりました。
37銀35歩同歩36歩26銀55歩34銀

という派手な展開になりました。34銀は危険な手で、銀を渡して37銀と打ち込まれ、受け間違えてあっさり終わってしまいました。34銀は怖いので、38金と受けるか、45歩56桂46飛~36飛としておくか、とにかく37の地点を守れるような指し方にすれば悪くないです。

戻って、65桂は食らいたくないので66銀とかわしておくものでしょう。

後手は76歩(あるいは86歩)で、45銀23玉35歩同歩71角

として、玉頭で戦えば先手が有利です。36桂が気になりますが、今は(36同銀同歩として)飛車取りのほうが大きいので大丈夫。


○ 57金は43歩とされてしまうので、黙って45桂のほうが良さそうで

75歩くらいなら33桂成同角45銀として守りの駒を交換したならまた打ってしまうほうが手堅い指し方です。43金右(あるいは23玉)に35歩同歩71角

として35角成の味が良いので先手有利です。駒得が拡大して、玉の堅さに差が付きます。


× 45歩と位を取っても悪くはないのですが53角

という図は48飛が生きていないので、この後の指し方に悩みます。


○ 4筋を攻めたいならば46金もよさそうな手です。

75歩なら45金62角44歩43歩

54金44銀66銀

と左銀も繰り出して55銀を狙います。

46金に75歩は役に立たなかったので62角と先に逃げれば

45金には43金右でそこまで。55歩同歩66銀

と応援を繰り出すほうがいいですね。銀をぶつけて交換できればかなり攻めやすくなります。


△ 66角と合わせると

66同角に同銀86歩45桂

87歩成33桂成同金83歩

という反撃の筋があって、83同飛には61角82飛83銀62飛72角成

はあまり効率は良くないのですが、飛車を取ればわかりやすいです。

戻って33桂成を同桂なら

35歩同歩71角

で馬を作って玉頭を攻めます。

後手は66同角同銀に43歩でしょうか。

71角から馬を作る筋はあっても、86歩からの遅いけれど確実な攻めがあります。また77銀と戻っておいて、それからでしょうか。

あるいは最初の66角に62角とかわすのもよくわかりません。


☆ まとめ
45桂と跳ねて桂と銀の交換になるので、まずはその筋を考えたいところです。このときは桂馬を渡すので36桂の筋(44桂と控えて打つ筋も)に気をつけます。ですから交換したら45銀と打ってしまうのがわかりやすいのです。その後で35歩同歩71角から馬を作って玉頭戦なら先手が指しやすくなります。
守りの駒を交換したら守りに打ってしまうほうが手堅いもので、手持ちにして攻め駒として活用するよりも有効なときもあります。まだ敵玉を寄せられないときなら、囲いを強化しましょう。玉頭戦になるなら攻めにも働きますから一石二鳥です。

守りの桂がいなくなると自玉が薄くなる、と感じたら47の金を少し前に出して(突っ込み過ぎないようにして)77の銀を55に持っていくイメージで指します。後手の角が手持ちだと反撃をくらいやすいのですが、この場合は打ってあるので攻めの目標になります。
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大山将棋研究(375); 三間飛車穴熊に銀冠

2016-12-21 | 大山将棋研究
昭和52年10月、大内延介先生と第16回連盟杯争奪戦です。


大内先生の三間飛車で

さらに穴熊に。

大山先生は左美濃です。

74歩に72飛というのもたまに出てきますね。美濃囲いが低い(位を取っていない)ので、右側の駒を使うのは自然です。

大内先生は角交換を狙い

4筋の歩を切って駒組みです。

大山先生は位を取って(欲張りますね)

端の位も。

大内先生も怒って攻めます。

大山先生も ここはごめんなさいで

金を締まれば一安心。作戦勝ちです。

大内先生は3筋の歩を交換しますが、金を寄られても切る手がないなら形勢悪し。

大山先生は銀を好位置につけて、玉の堅さで上回りました。大内先生の主張は持ち歩が多いことなのですが、飛車が隠居しているので攻めの体制を作りにくいのです。

大山先生は7筋を攻め

歩を成り捨てる。77同歩は76歩が嫌なので

角で取れば銀を引いておく、そういうものなんですね。この図を見れば感心します。

大内先生は銀をぶつけていくのですが、これが敗因でしょう。手数がかかっても飛車を移動しておくものです。

大山先生は銀交換の後でふわっと飛車を浮いておきます。中段の飛車の横利きで攻めるのが好きです。

大内先生は角の筋で攻めるしかありません。

しつこく。

でも飛金を逃げられて空振り。

手がありません。飛車を活用できていないのです。

軽い垂れ歩ですが、これが大山先生の決め手で

飛車を成れました。

大内先生のポカですが、やる気が無くなって わざ指したのかもしれません。

投了図。

大山先生の快勝譜。欲張った指し方をしているとおもえるところがあるのですが、それが通ってしまいました。大内先生は薄い穴熊で攻めなければ勝てないのですが、全部封じられてしまいました。後手をもって並べてみましょう。

#KIF version=2.0 encoding=Shift_JIS
# ---- Kifu for Windows V7 V7.23 棋譜ファイル ----
手合割:平手  
先手:大内延介8段
後手:大山棋聖
手数----指手--
1 7六歩(77)
2 3四歩(33)
3 9六歩(97)
4 4四歩(43)
5 7五歩(76)
6 6二銀(71)
7 7八飛(28)
8 5四歩(53)
9 6八銀(79)
10 4二玉(51)
11 4八玉(59)
12 3二玉(42)
13 3八玉(48)
14 5二金(61)
15 2八玉(38)
16 1四歩(13)
17 1八香(19)
18 4三金(52)
19 1九玉(28)
20 3三角(22)
21 2八銀(39)
22 2二玉(32)
23 3九金(49)
24 3二銀(31)
25 7四歩(75)
26 7二飛(82)
27 7三歩成(74)
28 同 銀(62)
29 4六歩(47)
30 7四銀(73)
31 4五歩(46)
32 7五歩打
33 4四歩(45)
34 同 金(43)
35 6六歩(67)
36 6四歩(63)
37 6七銀(68)
38 5五歩(54)
39 5八金(69)
40 2四歩(23)
41 4七金(58)
42 4五歩打
43 5六歩(57)
44 同 歩(55)
45 同 銀(67)
46 5五歩打
47 6七銀(56)
48 1五歩(14)
49 9五歩(96)
50 2三銀(32)
51 7六歩打
52 同 歩(75)
53 9七角(88)
54 5四金(44)
55 7六銀(67)
56 6三銀(74)
57 6七銀(76)
58 7四歩打
59 7六飛(78)
60 3二金(41)
61 7九角(97)
62 8四歩(83)
63 3六歩(37)
64 7五歩(74)
65 8六飛(76)
66 8二飛(72)
67 3五歩(36)
68 同 歩(34)
69 同 角(79)
70 4四金(54)
71 6八角(35)
72 8五歩(84)
73 9六飛(86)
74 8六歩(85)
75 同 歩(87)
76 5四銀(63)
77 7七桂(89)
78 7二飛(82)
79 8五桂(77)
80 7六歩(75)
81 7八歩打
82 6五歩(64)
83 同 歩(66)
84 同 銀(54)
85 6六歩打
86 7七歩成(76)
87 同 角(68)
88 5四銀(65)
89 9七飛(96)
90 2五歩(24)
91 5六歩打
92 同 歩(55)
93 同 銀(67)
94 5五歩打
95 6五銀(56)
96 同 銀(54)
97 同 歩(66)
98 7六飛(72)
99 5四歩打
100 同 金(44)
101 3四歩打
102 2四角(33)
103 5六歩打
104 6六歩打
105 5五歩(56)
106 同 金(54)
107 6七銀打
108 4六歩(45)
109 4八金(47)
110 7一飛(76)
111 6六銀(67)
112 4五金(55)
113 5七銀(66)
114 5五歩打
115 4七歩打
116 同 歩成(46)
117 同 金(48)
118 6六歩打
119 同 角(77)
120 3八歩打
121 同 金(39)
122 7八飛成(71)
123 4八歩打
124 6九龍(78)
125 5九歩打
126 同 龍(69)
127 5六銀(57)
128 同 金(45)
129 投了
まで128手で後手の勝ち

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初めて読んだ本

2016-12-20 | 将棋本 断捨離
18日に太陽将棋研究会にお邪魔しました。皆さま楽しい時間を過ごさせていただきありがとうございました。

友人のブログにもありますが、打ちあげ忘年会で初めて読んだ本の話になりました。
Tくんの初めての将棋本は詰め将棋だったとは、感心しました。最初の本の影響ってあるものなんですね。彼は詰将棋作家でもあります。

私の初めての将棋本を思い出せなかったのですが、そういえば分厚い文庫本だったなあ、というヒントでやっと見つけました。
振り飛車で強くなろう―大山名人将棋入門教室
という本でした。文庫本で350ページ、4色カラーくらいで紙が厚いので、分厚い本だったと思います。これは振り飛車側の形だけいろいろな種類が書いてあって、定跡みたいなものもあったかもしれませんが記憶にありません。(火事でなくしてしまったので記憶だけです。)

最初に出会う本の影響というのは大きいかもしれません。これを読んで近所の大人には負けなくなったので、振り飛車ばかりで勝っては申し訳なく思って、逆に居飛車党になりました。
こういう形が良いとか、こういう狙いがあるとか、そういう解説を何度も読んでいたので、形の違いに敏感になったのだろうという気がします。

多分その後居飛車の戦法も覚えようと
初歩の基本戦法 (1960年) (将棋上達全書〈第1〉
を買ってもらったのだと思います。矢倉崩しとか、相掛かり腰掛銀(がっちゃん銀)とか、相振り飛車とか、こういう形になれば攻めつぶせる、という定跡が書いてあったと思います。
それにしても詰め将棋の本を買ったなんてずっと後のことで、社会人になってからでしょう。最初に詰め将棋から入って読みを鍛えるべきだったかという話題でした。

私の場合は変に詰め将棋から始めて、解けなくて挫折しなくてよかったというべきなんでしょう。
読みを得意とする人もいれば、直感を得意とする人もいるので、好みのものを学ぶというのは大事なことだと思います。
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大山将棋研究(374); 中飛車に玉頭位取り

2016-12-20 | 大山将棋研究
昭和52年10月、土佐浩司先生と第16期十段戦です。


土佐先生の中飛車?大山先生が76歩34歩に26歩だったせいなのですが、土佐先生の振り飛車は記憶にありませんが、このころは指していたのですね。奨励会で香落ち上手があるせいかもしれません。

大山先生は玉頭位取りに。

土佐先生は5筋の歩を交換して銀を進出し

向い飛車で飛車をぶつける。

軽く攻める振り飛車です。

37桂を誘って桂頭に手を出し

3筋を狙います。

大山先生が抑え込もうとすれば

どーん。

大山先生は桂得ですが銀が浮いています。57銀と引けば46歩なので金を寄るのは仕方なく

45銀から銀交換になりました。大山先生は角をさばいて

土佐先生は香損でも気持ちよく桂を打ちます。

ここからは大駒の配置をめぐっての細かい応酬です。大山先生としては自玉を固め駒得を生かします。土佐先生も19竜~17角成とゆっくりしたいところなんですが、手数がかかるので実現できず。

4筋に歩を打ちあって、馬を引けば

馬の筋を止めます。

土佐先生は端を詰めるのですがあまり効果がなく、96桂と跳ねる筋を含みに29竜だったのかと思うのです。大山先生の86歩は懐を広げ桂馬を攻める手で

銀を打たせて攻防の香打ち。これで大山先生が有利になりました。

馬を引き金を引いて

がっちり銀を打ちます。

竜と馬が振り替わって、この桂打ちは厳しそうです。

角を打って、大山先生の圧勝かと思いましたが

土佐先生も魅せますね。銀を捨てて同金とは取れず

87同玉に58竜左から69竜。きれいな手順です。

でも馬の利きがあるので金を寄って受かっていました。

投了図。

香1枚取れるか取れないかの差なのですが、それを生かしてしまう大山先生の指し回しがうまいです。居飛車振り飛車どちらを持っても参考になる将棋でしょう。並べる価値があります。

#KIF version=2.0 encoding=Shift_JIS
# ---- Kifu for Windows V7 V7.23 棋譜ファイル ----
手合割:平手  
先手:大山棋聖
後手:土佐浩司4段
手数----指手--
1 7六歩(77)
2 3四歩(33)
3 2六歩(27)
4 4四歩(43)
5 2五歩(26)
6 3三角(22)
7 4八銀(39)
8 4二銀(31)
9 5六歩(57)
10 5二飛(82)
11 6八玉(59)
12 6二玉(51)
13 7八玉(68)
14 7二玉(62)
15 5八金(49)
16 4三銀(42)
17 9六歩(97)
18 9四歩(93)
19 5七銀(48)
20 8二玉(72)
21 6八銀(79)
22 7二銀(71)
23 7五歩(76)
24 5四歩(53)
25 7七銀(68)
26 5五歩(54)
27 同 歩(56)
28 同 飛(52)
29 5六歩打
30 5二飛(55)
31 6六歩(67)
32 5四銀(43)
33 6七金(58)
34 2二飛(52)
35 7六銀(77)
36 6四歩(63)
37 7七角(88)
38 2四歩(23)
39 同 歩(25)
40 同 飛(22)
41 2五歩打
42 2二飛(24)
43 8八玉(78)
44 5二金(41)
45 7八金(69)
46 1四歩(13)
47 3六歩(37)
48 1三桂(21)
49 1六歩(17)
50 4五歩(44)
51 3七桂(29)
52 3五歩(34)
53 2六飛(28)
54 4四角(33)
55 4六歩(47)
56 3二飛(22)
57 4五歩(46)
58 7一角(44)
59 3五歩(36)
60 同 飛(32)
61 4六銀(57)
62 2五飛(35)
63 同 飛(26)
64 同 桂(13)
65 同 桂(37)
66 4九飛打
67 5七金(67)
68 4五銀(54)
69 同 銀(46)
70 同 飛成(49)
71 6五歩(66)
72 2五龍(45)
73 1一角成(77)
74 2二歩打
75 4一飛打
76 8四桂打
77 6七銀(76)
78 2七龍(25)
79 6八銀打
80 3五角(71)
81 4六歩打
82 4三歩打
83 1二馬(11)
84 4四角(35)
85 5五歩(56)
86 2三歩(22)
87 5六金(57)
88 9五歩(94)
89 1三馬(12)
90 9六歩(95)
91 9八歩打
92 2六角(44)
93 8六歩(87)
94 7六銀打
95 7七香打
96 6七銀成(76)
97 同 銀(68)
98 5九角成(26)
99 3五馬(13)
100 5三歩打
101 4五馬(35)
102 3八龍(27)
103 7四歩(75)
104 同 歩(73)
105 5七金(56)
106 6九馬(59)
107 5八銀打
108 5一金(52)
109 6九銀(58)
110 4一金(51)
111 6六桂打
112 9二玉(82)
113 5八銀(67)
114 5九飛打
115 2七角打
116 8七銀打
117 同 玉(88)
118 5八龍(38)
119 同 金(57)
120 9七歩成(96)
121 同 歩(98)
122 6九飛成(59)
123 6八金(78)
124 1九龍(69)
125 7八玉(87)
126 4四歩(43)
127 5六馬(45)
128 投了
まで127手で先手の勝ち

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20161220今日の一手(その435): 長期戦か寄せ合いか

2016-12-20 | 今日の一手
20161220今日の一手

11月26日の名南将棋大会から、MさんとKさんの対局です。形勢判断と次の一手を考えてください。




一昨日の一手の回答

☆ 形勢判断をします。
桂香と金銀歩歩の交換で、と金や(後手の)竜と成香もあります。先手がやや駒得ですが、終盤なので重視しません。
玉の堅さは先手のほうが堅いです。
先手の攻め駒は56飛を数えるかどうかは微妙なところですが、持ち駒だけでも角金銀銀4枚あります。
後手の攻め駒は88竜54香64角と持ち駒桂で4枚です。

総合すれば先手がやや有利です。

終盤で寄せ合いなら、何手で詰めろかを数えるほうが正確ですが、後手玉は広いので数えにくいですね。52銀~41銀不成同玉52金(が取れないとして)31玉42金打22玉31角12玉32金で詰めろ。3手すきか。
先手玉は56香~58香成~49成香で詰めろ。4手すきくらい。持ち駒によっては36桂の筋もあります。
先手の番ですから素直に進めば1手勝ち位になるでしょう。ですから先手有利です。


☆大局観として
終盤なので読むだけ、と思えば大局観は必要ないのですが、現状は飛車取りで、56香~58香成というわかりやすい手があるのでこれに対処する必要があります。寄せ合い1手勝ちとみて斬り込んでいくか、後手の攻め筋を避けて息長く指すか。(先手の駒得なので長期戦もあり得ます。)どちらを考えますか?



× 実戦は46飛と逃げて

46同角同歩58香成

先手の駒得はなくなり、次の49成香が詰めろですから寄せ合いにもできません。飛車をほかの筋に逃げたとしても同じようなものです。このまま後手Tさんの勝ちに終わりました。


△ 54同飛ならどうか。

36桂17玉54銀25銀

後手はななめ駒がないので36桂は指し過ぎのようです。

後手は単に54同銀として

46香98飛59銀

これで難しいです。例えば53角に55歩63銀54銀同銀同歩97角成53角

先手玉が堅いので、後手玉を寄せるだけでよいというのが強みで、入玉されなければ先手が勝ちやすいでしょう。先手もちです。


○ 寄せ合いならセオリーで考えます。すぐに王手は無効、41金を攻めるということになります。52歩成では手がかりが無くなるので52銀です。

今なら後手は52で清算できないので好都合ですね。駒は取られる前が一番働いてるという例です。
56香に41銀不成同玉52銀同銀同歩成同玉54金

後手玉は詰めろになっていませんが、角を取れば攻防の詰めろになりますから58香成の余裕はありません。36桂18玉28飛17玉35銀

として先手玉が詰めろ。でも53銀同角63角42玉53金同玉54金42玉53角

で35の銀を抜いてしまえば勝ちです。

後手が25銀と打って詰めろなら35角

が詰めろ逃れの詰めろなので、これも先手の勝ち。

複雑な終盤ではありますが、後手が34歩を突いていない(鳥刺しだった)のが災いして先手の勝ちのようです。

戻って2回目の52銀では45角

も良さそうな手です。63角成はかなり厳しいので54銀打56角36桂17玉

飛車1本では36桂の筋も怖くはなく、23角成や62金を見て先手が有利です。

なお、さらに戻って41の金を取らずに63銀成

では後手玉が安全なので58香成64成銀49成香

で先手玉が詰めろなので負けです。


× 蛇足ですが62金から入って56香63金58香成

でも同じく先手の負けです。


○ 先ほど45角が有力だという変化がありました。先に45角なら

56香に63角成

58香成に52銀

としてどうか。(前と同じく64馬49成香では負けです。)後手玉は詰めろです。52同金同歩成49成香

これは先手玉が詰めろ、後手玉は詰みません。

戻って52同金に41銀と急ぐしかありません。

銀を取っても逃げても、41銀22玉の形を作って角を取れば詰めろなので先手の勝ちです。

後手は52銀に31金と逃げると

43銀成同玉64馬

ならば詰めろなので、先手が優勢です。(32玉には58金から受けることもできる。)

途中43銀成に22玉なら58金同竜49銀打

36桂には同馬があるので(それで竜を逃げてまだ長いが)先手が有利です。

また、かなり戻って45角56香48金寄

というのは形勢不明です。


△ 48金寄として56香45角

でも同じことで、銀取りを受けさせて56角とします。形勢不明です。飛桂と金銀歩歩の交換なので駒割は互角、まだ長いです。

☆ まとめ
もし秒読みの状態で問題図なら、飛車を逃げられない、54同飛と切って粘りに行くのかな、と考えるかもしれません。それでもまだ先手が駒損ではない(わずかに駒得か)ですし、攻め駒は5枚で(1枚は守りに使うとしても4枚)持ち歩もあるのでまだ指せると思います。

持ち駒は豊富にあるから寄せ合いでどうか、といえば、1手違いです。指し手は寄せのセオリーで考えればよく、52銀から攻めてみれば、結構手が続くとわかるでしょう。

45角は少し遠回りのようですが、45角~63角成~52銀で詰めろなので4手すき(52銀~41銀不成同玉52銀同銀同歩成同玉54金~64金で詰めろ、同じく4手すき)速度は同じです。

この時に後手は56香~58香成~49成香の筋以外に、36桂もあるので話がややこしいのですが、鳥刺し戦法だったために33歩の形が災いして先手が1手勝ちになるようです。(もちろん後手玉が上から攻められにくくなっているというメリットもあります。)

こう書いていると升田先生がアマチュアの待ち駒は汚いという論争に、「76歩と突くのが詰みに役立つ、でも待ち駒になるからだめなのか?」(正確ではありませんが)と言って否定したのを思い出します。小学生のころ待ち駒は汚いといわれて、ひたすら王手をかけたものですが、今はシバリの手筋とか左右挟撃とか、高級な手筋になってだれもそんなことは言いませんね。

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大山将棋研究(373); 力戦中飛車

2016-12-19 | 大山将棋研究
昭和52年10月、有吉道夫先生と第16期十段戦です。


後手番で位を取るのは古い指し方で、今なら52飛ですね。

ここで34飛として56歩から乱戦、というのがこれより昔に流行ったことがあります。木村14世名人のころです。塚田正夫先生が研究して名人を取ったのがこれだったような気がします。
28飛とすれば穏やかで

今なら54飛と構えるところですが、大山先生は右銀を繰り出します。

中央が手厚いです。玉はどちらに囲うつもりだったのでしょう。

26角とされて、45歩があるので61玉しかなくなりました。

この図は有吉先生が十分でしょう。45歩からの仕掛けを見て、でもそれもやってみれば大変だと思うのですが。

大山先生から動きました。作戦負けの時に自分から動くと早く負けるもので、じっと受けているほうが良かったです。

継ぎ歩で攻めたら味よく桂を打たれて

銀桂交換。これでは悪いです。

それでもこの桂馬は良さそうな手で、まだまだと思えるのですが

これが嫌味な歩です。53同金は22歩成同飛51角成、あるいは22歩成に同金42角成です。62金でも同じですね。

大山先生は玉頭から攻めるしかないのですが、と金を作られ

角を成られ、

有吉先生はあっさり と金を捨てて飛角交換で飛車を下ろし

また控えの桂です。これが決め手になりました。

清算して

角を取って詰みでした。


大山先生の珍しい作戦でした。若いころにはこういうのも指していたのでしょう。
控えの桂の手筋が3回出てきます。それを覚えておきましょう。


#KIF version=2.0 encoding=Shift_JIS
# ---- Kifu for Windows V7 V7.23 棋譜ファイル ----
手合割:平手  
先手:有吉道夫8段
後手:大山棋聖
手数----指手--
1 7六歩(77)
2 3四歩(33)
3 2六歩(27)
4 5四歩(53)
5 2五歩(26)
6 5五歩(54)
7 2四歩(25)
8 同 歩(23)
9 同 飛(28)
10 3二金(41)
11 5八金(49)
12 5二飛(82)
13 2八飛(24)
14 2三歩打
15 4八銀(39)
16 6二銀(71)
17 6八玉(59)
18 5三銀(62)
19 7八玉(68)
20 5四銀(53)
21 6八銀(79)
22 4二銀(31)
23 4六歩(47)
24 7四歩(73)
25 4七銀(48)
26 4四歩(43)
27 6六歩(67)
28 6四歩(63)
29 6七金(58)
30 6二金(61)
31 9六歩(97)
32 9四歩(93)
33 3六歩(37)
34 4三銀(42)
35 7七銀(68)
36 6三金(62)
37 7九角(88)
38 7三桂(81)
39 6八角(79)
40 6五歩(64)
41 同 歩(66)
42 同 銀(54)
43 6六歩打
44 5四銀(65)
45 5九角(68)
46 3一角(22)
47 2六角(59)
48 6一玉(51)
49 3七桂(29)
50 3三桂(21)
51 3五歩(36)
52 同 歩(34)
53 同 角(26)
54 7二玉(61)
55 2六角(35)
56 5一飛(52)
57 6八金(69)
58 6四角(31)
59 3六銀(47)
60 3四銀(43)
61 3五歩打
62 4三銀(34)
63 2九飛(28)
64 8四歩(83)
65 1六歩(17)
66 2四歩(23)
67 4九飛(29)
68 2五歩(24)
69 同 桂(37)
70 同 桂(33)
71 同 銀(36)
72 5六歩(55)
73 同 歩(57)
74 5五歩打
75 4七桂打
76 5六歩(55)
77 5五歩打
78 同 銀(54)
79 同 桂(47)
80 同 角(64)
81 1五角(26)
82 2一飛(51)
83 2三歩打
84 1四歩(13)
85 2四角(15)
86 6四桂打
87 3四銀(25)
88 5四銀(43)
89 5三歩打
90 8五桂打
91 5二歩成(53)
92 7七桂成(85)
93 同 金(67)
94 7五歩(74)
95 2二歩成(23)
96 同 金(32)
97 5一角成(24)
98 8五桂(73)
99 6一馬(51)
100 同 飛(21)
101 同 と(52)
102 同 玉(72)
103 8一飛打
104 5二玉(61)
105 6七桂打
106 7七桂成(85)
107 同 金(68)
108 7六歩(75)
109 4三銀打
110 同 銀(54)
111 同 銀成(34)
112 同 玉(52)
113 5五桂(67)
114 投了
まで113手で先手の勝ち

コメント
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