堺市の臨海地区は、今でこそ巨大な工場が建ち並び、煙突から白煙を立ち上らせるコンビナート地帯だが、昭和の高度成長期以前、このあたりは白砂青松の海岸でした。
大阪郊外の主要な海水浴場であったとともに、1913年(大正2年)に海水を利用した「大浜潮湯」が開業。浴場のほかに食堂、劇場、遊技場なども完備した、現在の健康ランドに近い施設として人気を博したそうです。
南海線・堺駅の南隣の駅・湊駅のすぐ近くにある「湊潮湯」は、全国的にも珍しい、海水を温めたお風呂のある銭湯です。これぞまさしく「大浜潮湯」の生まれ変わりです。
ここの温泉…いや、温泉ではないのだが、そこらへんにあるスポイト温泉(現行法では白湯に温泉水をスポイトで一滴落としただけでも温泉を名乗れる)なんかよりよほど強力なのです。
一応、普通の銭湯と同様に清水の大浴槽がメインだが、この浴室の一角に、堺の海の少し沖のほうから引かれた海水を温めた、独自の潮湯を設えてあります。
海水なので当然といえば当然だが、塩辛いお湯。温泉では熱の湯とされるナトリウム泉に相当するこのお湯のこと、体ホカホカになってくる。油断したらのぼせてしまいました。
海水なのでベタベタ感があるのはしかたがないが、すぐに清水で洗い流せるし、アトピーの人にもいいのかもしれません。夏場は暑くて足が向かないが、寒い日には無性に入りたくなるお湯です。
・場所:南海電鉄湊駅・南海バス出島BS
・泉質:海水
・訪問日:2010年4月25日
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