とぎれとぎれの物語

瀬本あきらのHP「風の言葉」をここで復活させました。小説・エッセイをとぎれとぎれに連載します。

八雲立つ出雲

2013-01-05 00:30:15 | 日記
八雲立つ出雲




 新年明けましておめでとうございます。
 さて、年の初めに当たり、物語りを中断して、島根という地名の由来を確認したいと思います。島根という県名の由来は・・・、出雲国風土記に嶋根郡という地名が出てきますが、もともと「島」も「根」も岩礁を意味し、地形的に海岸線がごつごつしていたことにあるというのが定説です。
 その出雲の地で言わずもがなの第一の観光地は出雲大社です。その出雲大社は本年平成の大遷宮を迎えます。平成20年4月20日に大國主大神様を仮のお住まいの仮殿(現拝殿)にお遷しする「仮殿遷座祭」が行われました。ご修造がととのう平成25年5月にはもとのご本殿にご祭神がお還りになる「本殿遷座祭」が執り行われます。またご修造は、ご本殿のみならず、境内境外の摂社・末社等も併行して、その後の平成28年に至る間引き続き継続されるという壮大な世紀の事業が進行します。



 そのご本殿の天井には260年前に描かれた八雲之図があります。描いたのは、江戸時代の狩野派の絵師「黒田弥兵衛」と記録にありますが、竹内随流斉甫記という説もあるようです。その絵は、赤、青、黄、紫、黒などの極彩色を使い七つの雲が描かれています。 「八雲」とされながら七つの雲しか描かれていないのです。その理由説明として、松江市の神魂(かもす)神社の天井の雲が九つ描かれているので、「一つの雲が神魂神社へ飛んで行った」との伝説が残っています。また、一つだけ描かれないままで未完成ということは、出雲大社や大国主命のご威光がまだまだ未来へと連綿と続き、無限の広がりを持つという意味にもとれるという説もあります。
 また、他の雲と大きさが異なるものがあります。下段中央にある最も大きな雲は「心(しん)の雲」といい、遷宮斎行直前の午の刻(正午)、黒雲の部分に「心」入れという秘儀が行われました。ダルマの目入れのように一番最後に墨を入れ、天下泰平など祈るという意味合いがあるそうです。

「八雲立つ 出雲八重垣 妻篭みに 八重垣作る 其の八重垣を」

 和歌の初めと言われるこの歌にゆかりの素戔嗚尊(すさのおのみこと)が一時出雲大社のご祭神だった時期(中世のある時期から17世紀まで)がありました。しかし、今は素戔嗚尊は出雲大社境内の「素鵞社」(そがのやしろ)にお祀りされています。
 どうか今年は思い新たに出雲大社にお参りくださいませ。現代の出雲の阿国にひょっとして会えるかも知れません。

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