とぎれとぎれの物語

瀬本あきらのHP「風の言葉」をここで復活させました。小説・エッセイをとぎれとぎれに連載します。

火の鳥

2013-01-09 00:05:31 | 日記
火の鳥



 手塚治虫「火の鳥」より

 私の頭の中に火の鳥がときどき現れて想念の大空を飛び回る。思い屈したとき、いや、そうでなくても突如羽音を聞くことがある。
 今までの私の体験は予想を遥かに超えていた。これからどこへ行くのか、行かないのか。私はこれから繰り広げられる世界を垣間見ることさえできない。出会い、再生、ご縁・・・。いくら言葉を重ねてもその状況を説明することはできない。ただ、私は運命に身を委ねるしかないのである。
 私はかつて何度か精神的な大きな苦境に立たされたことがある。そのとき私は火の鳥を見た。その鳥は出雲の国に住み着いているかも知れない。その鳥はある女性の化身であると私は信じている。未曾有の大きな事故の中から奇跡的に生き延びた女性。私はその女性がいたからこそ今まで生きてこられたと思っている。
 遠く離れた職場で挫折した私は出雲に転勤を命じられた。私は咄嗟にその女性のことを思い出したのである。ああ、そうだ、出雲にはあのお方がいる。あの方は火の鳥だ。火の鳥が私を守ってくださる。そう思うことが私に力を与えたのである。
 そのお方は、今、どこで何をしておられるのだろう。私は、その、現代の守護神を戴いている出雲は不滅だと思っている。三美神もその神の化身だろうと信じている。
 ・・・とすると、この度の震災の被災地には守護神の火の鳥やその化身がたくさん舞い上がっているに違いない。火の鳥よ、限りなく守れ、守れ、この秋津島根を。 

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