Sera の本棚

感動した本のことや映画を見たり、コンサートへ行ったりした感想、高槻の写真など記録できたらいいなあと思います。

あい‐永遠に在りー高田郁作

2021-08-25 10:59:14 | 

高田郁作「あい―永遠に在り」を読みました。幕末から明治にかけてのお話です。実在する「関寛斎」とその妻「あい」の物語です。2人は貧しい農村に生を受けました。この本を読んで、今私は何と幸せなんだろうと思い知らされました。不平不満を言うなんてもってのほかです。それほど厳しい生活環境の中で人のことを思い、皆が豊かになるように一生懸命知恵を働かせて暮らしています。傍らに信頼できる愛する夫、妻がいて充実した生涯を送りました。立身出世には目もくれず、貧しい人にも隔たりなく治療し、予防医学を推し進めた関寛斎。良い人の回りにはまた良い人を引き寄せるので、物語の中は尊敬できる素晴らしい人がたくさん登場します。2人には辛いことがあるとヤマモモの木が登場します。節目節目でヤマモモの木が2人の支えとなります。先日それでヤマモモの木を見に行きました。

関寛斎は70歳過ぎてから北海道の開拓に行きます。そちらでも医療においても農業においても素晴らしい功績を残しました。

「ひとの一生とは生れ落ちて死ぬまで、ただひたすらに一本の道を歩くようなものだな。どれほど帰りたい場所があろうとも決して後戻りはできぬ。別れた人と再び出会うこともない。ただ前を向いて歩くしかないのだ」と北海道へ行く前に故郷を訪れてあいにしみじみと語ります。
あいは北海道へ行き無理がたたったためか、2年後亡くなります。読み終わって関寛斎について調べていたら、82歳で自殺されていました。やはりあいがいないと生きてゆけなかったのかと思います。

北海道の斗満(トマム)のきれいな湧き水の川が流れるような物語だなと思いました。その透明な水で心が洗われた気がしました。日本には私の知らない偉人がまだまだたくさんおられると思って、嬉しくなりました。

2021ー8ー24 図書館資料 請求番号:B/タカ

コメント (2)
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