「ムスコ物語」ヤマザキマリ作を読みました。「小説幻冬」連載に書き下ろしを加えて書籍化されたものなので、息子デルスの成長に合わせて順序良く書かれたものではありません。その時々の息子が登場します。ヤマザキマリさんは14歳でヨーロッパ一人旅、17歳で高校中退してイタリアへ留学、27歳でシングルマザーになりました。この本に「どんな苦労もしておくことでやがて役に立つ」と書かれています。集中力があってのめり込むタイプなので、様々な経験をされています。息子のデルスという名前は、極東ロシアの少数民族からつけられたそうです。「東シベリアの大地で、家族を失ったあとも大自然に守られながら生きる狩人の名前を彼につけようと決めたのは、人間社会が唯一の人間の生息場所だと思ってほしくなかったからだ。」と書かれています。デルスは親の都合で、日本、シリア、アメリカ、ポルトガル、イタリアなど点々としています。そしてとても優秀で数学もよくでき、もちろん言語も多数話せて、宗教にも興味を示して、スロヴェニアにある小乗仏教の寺を訪ねたほどです。ヤマザキマリさんは「私には子育てをしてきた自覚も一区切りついた達成感も何もない。本当になるようになっただけとしか思ってないし、これからもそうだ。」と書かれています。デルスの言葉にすかさず突っ込みを入れるマリさんが面白くて、それに返すデルスも面白くて、素晴らしい親子関係だと思いました。とにかく面白い。もう一度子育てをしてみたいと思わせる本でした。まだまだヤマザキマリさんの本を読みたいです。
2025-1-14(火) 図書館資料 請求番号:726.1/ヤ
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